93 / 120
客足
しおりを挟む
「信っじられへん!」
大広間に紅蓮の大声が響き渡る。
現在、夜の七時を過ぎ、紫雫楼は営業時間真っ只中。それなのに紫雫楼の中心で怒りを叫ぶ紅蓮を瑞鳳が許しているのは、客が一人もいないから。
鳳西区でナイトクラブがオープンしてから一週間が経つのだが、瑞鳳たちの予想は最悪の結果で裏切られ、閑古鳥が鳴いている状態となった。
「どないするん?」
雪儿が瑞鳳を見上げて問いかけるも瑞鳳は煙管を咥えながら肩を竦めるだけ。
「どうしようもないさね。売上は客次第。来る来ないも客次第。強制はできないんだよ」
「皆でナイトクラブ行って偵察する?」
「偵察したところで、だろ。向こうは乾杯しながらのどんちゃん騒ぎ、こっちは優雅に酒飲みながら芸事楽しむ。趣向が違う。真似はできない」
「チラシ作る?」
「なんの?」
「んー……紫雫楼で香姫と一緒に賭け事しませんか、とか?」
「まあ、言い換えれば悪くはないね」
瑞成に言われて、瑞鳳はすぐに香姫たちと話し合いをした。
これからどうなっていくわからない。瑞成の言うとおり、時代には波があり、それに乗れたものだけが進んでいける。変わらない良さもあるが、それに胡座をかいていてはダメだと。だから紫雫楼独自の賭け事を考えると話し、良いものが出来上がったと思えるものになったのだが、客が来ないのでは披露できない。
チラシを作る効果がないわけではないが、香月街の人間は香月街でのみチラシの配布を許可されている。他の区域に出ての配布は認められていないのだ。
瑞成の話によると香月街全体の売り上げが落ちているという。客が来ないということは香月街に足を運ぶ人の数が減っているということ。その配布活動にどれだけの意味があるのか、と迷うところではある。
しかし、やらなければ客は戻らないかもしれない。
「手伝ってくれるかい?」
「ええよ」
やってダメなら仕方ないと最悪の結果だけは頭に置いておこうと目を閉じ、雪儿と一緒にチラシを作りに向かった。
────
珍しく三兄弟が父親のもとに集まっていた。
父親の机の側に立つ凌鷹。壁に背中を預ける辰龍。ソファーに腰掛けてテーブルの上で足を組む瑞成。
彼らが仲良くテーブルを囲むことはない。
「随分と売上が落ちているようだな?」
「決めつけた発言だね」
「上がっているのか?」
「上がってるとは言ってない」
「現状維持できていると?」
「できてないよ」
「落ちてるんじゃないか」
「落ちてないとも言ってないしね」
瑞成と父親の会話に辰龍が嘲笑する。
「相変わらずの減らず口だな」
「やあ、辰龍。茶香里の売上はどうなの? 唐志龍と葉子豪が消えちゃったんだって? 御愁傷様」
「テメェ……」
挑発するような声色に苛立つ辰龍を見ながら紫煙を吐きかける。
「俺は許してないけどね、お前のこと」
「お前だぁ!? 誰に向かって口利いてんだ! あ゙あ゙ッ!?」
「お前だよ、お前。目ぇ合ってんだろ、辰龍」
「テメェッ!」
「やめないか」
辰龍が壁から身体を離したことで父親が手を叩いた。
呆れたように大きな溜め息をつきながらかぶりを振る父親は成長するにつれて兄弟の絆というものが薄れていくことを危惧していたが、もう修復不可能であることに毎日溜め息を吐き続けている。
「辰龍、また机を壊すつもりか? 今度はソファーか?」
「俺が悪いってのか!? こいつの態度に問題はねぇのか!?」
「子供かよ」
嘲笑する瑞成に拳を握りながら睨みつけるもその表情に怯えはない。
「辰龍、苛立ちを物にぶつけるな」
「わかった。こいつに直接ぶつける。許可出たんだ、恨むなよ」
「親父、呼び出した理由言ってくれる? この脳筋、撃ち殺しちゃ駄目なんでしょ?」
「辰龍、拳を下ろせ。凌鷹と喧嘩したくないだろう」
「なんで兄貴が出るんだよ!」
「卑怯じゃん」
凌鷹なら弟二人を一瞬で仕留めることができる。それは条件が重なれば、という奇跡的なものではなく、凌鷹には簡単なことだ。それがわかっているから二人は言い合いをやめて黙った。
「銃は玩具じゃないと言っただろう」
「人殺しの道具でしょ、わかってる。だから辰龍に向けたくなるんじゃん」
「瑞成」
「親父、茶香里潰して香月街広げさせてくんない? あんなとこでいつまでも屋台なんて古臭いことやってても大した儲けは出ないじゃん? 暴君が二人もいなくなった今だからこそ改革のときだと思わねぇ?」
「駄目だ」
父親の即答に辰龍が嘲笑する。
「売上を落としている香月街の拡大にメリットはない」
「そのうち落ち着くって」
「落ちた分の補填はどうする? お前が出すのか?」
「俺が? なんで? 俺個人の問題じゃないのになーんで俺が補填しなくちゃいけないわけ?」
「お前の担当区だろう」
瑞成は末っ子というのもあって、三兄弟の中で誰よりも父親をなめている。
嘲笑を堪えて溜め息をつき、やれやれとかぶりを振りながら煙草の灰を灰皿に落とした。
「あのさぁ、香月街の常連客がどこに流れてるか知ってんだよね?」
「鳳西区だろう」
「ならさぁ、問題は俺じゃなくて鳳西区を自由にしてる親父にあると思うのは俺だけ? 毎月ちゃーんと金を納めてたら自由にしていいよーなんて甘っちょろい許可出してるせいじゃん」
「瑞成、口を慎め」
「凌鷹兄さんは黙っててよ。俺は今、親父と話してんだから」
父親が凌鷹に向かって手のひらを見せたことで凌鷹はその場で腕を組むだけ。
「親父はどう思う? 俺の言ってること、間違ってると思う?」
「お前の努力不足だ」
「じゃあさ、親父に一ヶ月任せたら売上戻せんの?」
「お前の担当だ」
「あーあーあーあーあー、出たよ出たよ出たよ出たよ。これが龍豪昇だよ。高みの見物しかしないくせに現場の人間には偉そうに言うんだよ。こっちが反論したら一つ覚えみたいにそればっか。聞き飽きたっての」
「お前の手に負えんなら凌鷹に渡せばいい」
「おい親父! なんで俺じゃねぇんだよ!」
香月街に近い茶香里担当の自分ではなく、娼館や娼婦とは縁のない人生を送ってきた凌鷹に任せようとすることに声を荒げるも豪昇にはわかっていた。
「お前は私物化するだろう」
「はははははははっ! 間違いないね! 親父さすがじゃん!」
凌鷹でさえ庇いはしない。
「あー笑った。すげー的を得てんじゃん」
「殺すぞ……」
「でもさぁ、親父。俺さ、マジで思ってんだよね。鳳西区が金を払ってるからって自由にさせてんのは馬鹿じゃんって」
「瑞成、いい加減にしろ」
凌鷹の静かな注意は間違いではないが、父親に気分を害した様子はなく、表情を変えずに瑞成を見る。
「何故そう思う?」
昔から瑞成には先見の明があり、マフィアとしては誰よりも上手くやってきた。面倒事を上手くこなすための方法を見つけるのが上手いとも言える。
香月街の売上を倍にしたのは瑞成の一言からで、任せるとあっという間に金の流れができた。マフィアにとって瑞成の行動は黒龍白虎の安定した資金源を得るものとなった。
だからこそ、今回の挑発めいた言葉にも耳を傾けようとしている。
「アイツらは龍渓にとっては異物だよ。他所から来た流れ者が俺たちに敬意も払わず自分たちの国を作り上げようとしてる」
「御用達だろう?」
「もちろん。あそこは楽しいよ~。色々あっていいよね」
「問題視する理由は?」
「時代の流れだよ。アイツらを自由にさせすぎると時代の流れに合わせて龍渓は喰われることになる。奴らは金を払うことで俺たちに敬意を払ってると思わせたいんだろうけどさ、本音は別。金を払ってんだからごちゃごちゃ言ってくんなよって話」
それに異論を唱える者はいない。鳳西区は今や黒龍白虎も無視できないほど拡大しつつある。どこかで噂を聞きつけた野良たちがどんどん鳳西区に集まっている。良くも悪くも賑やかで、その賑やかさは“裏”を作る囲いとなる。賑やかであればあるほど多少の怪しさは簡単に隠せてしまう。
鳳西区に通っている瑞成だからこそわかることでもあった。
「お前ならどうする?」
「鳳西区を俺にくれるってんなら話してもいいよ」
「調子乗ってんじゃねぇぞ瑞成!」
父親に笑顔を向けていた瑞成は表情はそのままに舌打ちをして辰龍に言い放った。
「いちいちデカい声出すんじゃねぇよ。お前の声なんか耳に残したくねぇんだわ」
「んだとぉ!?」
「辰龍、外に出ていろ」
「なんで俺が──……クソッ!」
父親の表情にビクッと肩を跳ねさせたことを恥とし、壁を叩いて廊下へと出ていく。壁が大きくヘコみ、ドアの蝶番が片方外れた。
幼少期から物に当たることをやめられない息子に父親はかぶりを振った。
大広間に紅蓮の大声が響き渡る。
現在、夜の七時を過ぎ、紫雫楼は営業時間真っ只中。それなのに紫雫楼の中心で怒りを叫ぶ紅蓮を瑞鳳が許しているのは、客が一人もいないから。
鳳西区でナイトクラブがオープンしてから一週間が経つのだが、瑞鳳たちの予想は最悪の結果で裏切られ、閑古鳥が鳴いている状態となった。
「どないするん?」
雪儿が瑞鳳を見上げて問いかけるも瑞鳳は煙管を咥えながら肩を竦めるだけ。
「どうしようもないさね。売上は客次第。来る来ないも客次第。強制はできないんだよ」
「皆でナイトクラブ行って偵察する?」
「偵察したところで、だろ。向こうは乾杯しながらのどんちゃん騒ぎ、こっちは優雅に酒飲みながら芸事楽しむ。趣向が違う。真似はできない」
「チラシ作る?」
「なんの?」
「んー……紫雫楼で香姫と一緒に賭け事しませんか、とか?」
「まあ、言い換えれば悪くはないね」
瑞成に言われて、瑞鳳はすぐに香姫たちと話し合いをした。
これからどうなっていくわからない。瑞成の言うとおり、時代には波があり、それに乗れたものだけが進んでいける。変わらない良さもあるが、それに胡座をかいていてはダメだと。だから紫雫楼独自の賭け事を考えると話し、良いものが出来上がったと思えるものになったのだが、客が来ないのでは披露できない。
チラシを作る効果がないわけではないが、香月街の人間は香月街でのみチラシの配布を許可されている。他の区域に出ての配布は認められていないのだ。
瑞成の話によると香月街全体の売り上げが落ちているという。客が来ないということは香月街に足を運ぶ人の数が減っているということ。その配布活動にどれだけの意味があるのか、と迷うところではある。
しかし、やらなければ客は戻らないかもしれない。
「手伝ってくれるかい?」
「ええよ」
やってダメなら仕方ないと最悪の結果だけは頭に置いておこうと目を閉じ、雪儿と一緒にチラシを作りに向かった。
────
珍しく三兄弟が父親のもとに集まっていた。
父親の机の側に立つ凌鷹。壁に背中を預ける辰龍。ソファーに腰掛けてテーブルの上で足を組む瑞成。
彼らが仲良くテーブルを囲むことはない。
「随分と売上が落ちているようだな?」
「決めつけた発言だね」
「上がっているのか?」
「上がってるとは言ってない」
「現状維持できていると?」
「できてないよ」
「落ちてるんじゃないか」
「落ちてないとも言ってないしね」
瑞成と父親の会話に辰龍が嘲笑する。
「相変わらずの減らず口だな」
「やあ、辰龍。茶香里の売上はどうなの? 唐志龍と葉子豪が消えちゃったんだって? 御愁傷様」
「テメェ……」
挑発するような声色に苛立つ辰龍を見ながら紫煙を吐きかける。
「俺は許してないけどね、お前のこと」
「お前だぁ!? 誰に向かって口利いてんだ! あ゙あ゙ッ!?」
「お前だよ、お前。目ぇ合ってんだろ、辰龍」
「テメェッ!」
「やめないか」
辰龍が壁から身体を離したことで父親が手を叩いた。
呆れたように大きな溜め息をつきながらかぶりを振る父親は成長するにつれて兄弟の絆というものが薄れていくことを危惧していたが、もう修復不可能であることに毎日溜め息を吐き続けている。
「辰龍、また机を壊すつもりか? 今度はソファーか?」
「俺が悪いってのか!? こいつの態度に問題はねぇのか!?」
「子供かよ」
嘲笑する瑞成に拳を握りながら睨みつけるもその表情に怯えはない。
「辰龍、苛立ちを物にぶつけるな」
「わかった。こいつに直接ぶつける。許可出たんだ、恨むなよ」
「親父、呼び出した理由言ってくれる? この脳筋、撃ち殺しちゃ駄目なんでしょ?」
「辰龍、拳を下ろせ。凌鷹と喧嘩したくないだろう」
「なんで兄貴が出るんだよ!」
「卑怯じゃん」
凌鷹なら弟二人を一瞬で仕留めることができる。それは条件が重なれば、という奇跡的なものではなく、凌鷹には簡単なことだ。それがわかっているから二人は言い合いをやめて黙った。
「銃は玩具じゃないと言っただろう」
「人殺しの道具でしょ、わかってる。だから辰龍に向けたくなるんじゃん」
「瑞成」
「親父、茶香里潰して香月街広げさせてくんない? あんなとこでいつまでも屋台なんて古臭いことやってても大した儲けは出ないじゃん? 暴君が二人もいなくなった今だからこそ改革のときだと思わねぇ?」
「駄目だ」
父親の即答に辰龍が嘲笑する。
「売上を落としている香月街の拡大にメリットはない」
「そのうち落ち着くって」
「落ちた分の補填はどうする? お前が出すのか?」
「俺が? なんで? 俺個人の問題じゃないのになーんで俺が補填しなくちゃいけないわけ?」
「お前の担当区だろう」
瑞成は末っ子というのもあって、三兄弟の中で誰よりも父親をなめている。
嘲笑を堪えて溜め息をつき、やれやれとかぶりを振りながら煙草の灰を灰皿に落とした。
「あのさぁ、香月街の常連客がどこに流れてるか知ってんだよね?」
「鳳西区だろう」
「ならさぁ、問題は俺じゃなくて鳳西区を自由にしてる親父にあると思うのは俺だけ? 毎月ちゃーんと金を納めてたら自由にしていいよーなんて甘っちょろい許可出してるせいじゃん」
「瑞成、口を慎め」
「凌鷹兄さんは黙っててよ。俺は今、親父と話してんだから」
父親が凌鷹に向かって手のひらを見せたことで凌鷹はその場で腕を組むだけ。
「親父はどう思う? 俺の言ってること、間違ってると思う?」
「お前の努力不足だ」
「じゃあさ、親父に一ヶ月任せたら売上戻せんの?」
「お前の担当だ」
「あーあーあーあーあー、出たよ出たよ出たよ出たよ。これが龍豪昇だよ。高みの見物しかしないくせに現場の人間には偉そうに言うんだよ。こっちが反論したら一つ覚えみたいにそればっか。聞き飽きたっての」
「お前の手に負えんなら凌鷹に渡せばいい」
「おい親父! なんで俺じゃねぇんだよ!」
香月街に近い茶香里担当の自分ではなく、娼館や娼婦とは縁のない人生を送ってきた凌鷹に任せようとすることに声を荒げるも豪昇にはわかっていた。
「お前は私物化するだろう」
「はははははははっ! 間違いないね! 親父さすがじゃん!」
凌鷹でさえ庇いはしない。
「あー笑った。すげー的を得てんじゃん」
「殺すぞ……」
「でもさぁ、親父。俺さ、マジで思ってんだよね。鳳西区が金を払ってるからって自由にさせてんのは馬鹿じゃんって」
「瑞成、いい加減にしろ」
凌鷹の静かな注意は間違いではないが、父親に気分を害した様子はなく、表情を変えずに瑞成を見る。
「何故そう思う?」
昔から瑞成には先見の明があり、マフィアとしては誰よりも上手くやってきた。面倒事を上手くこなすための方法を見つけるのが上手いとも言える。
香月街の売上を倍にしたのは瑞成の一言からで、任せるとあっという間に金の流れができた。マフィアにとって瑞成の行動は黒龍白虎の安定した資金源を得るものとなった。
だからこそ、今回の挑発めいた言葉にも耳を傾けようとしている。
「アイツらは龍渓にとっては異物だよ。他所から来た流れ者が俺たちに敬意も払わず自分たちの国を作り上げようとしてる」
「御用達だろう?」
「もちろん。あそこは楽しいよ~。色々あっていいよね」
「問題視する理由は?」
「時代の流れだよ。アイツらを自由にさせすぎると時代の流れに合わせて龍渓は喰われることになる。奴らは金を払うことで俺たちに敬意を払ってると思わせたいんだろうけどさ、本音は別。金を払ってんだからごちゃごちゃ言ってくんなよって話」
それに異論を唱える者はいない。鳳西区は今や黒龍白虎も無視できないほど拡大しつつある。どこかで噂を聞きつけた野良たちがどんどん鳳西区に集まっている。良くも悪くも賑やかで、その賑やかさは“裏”を作る囲いとなる。賑やかであればあるほど多少の怪しさは簡単に隠せてしまう。
鳳西区に通っている瑞成だからこそわかることでもあった。
「お前ならどうする?」
「鳳西区を俺にくれるってんなら話してもいいよ」
「調子乗ってんじゃねぇぞ瑞成!」
父親に笑顔を向けていた瑞成は表情はそのままに舌打ちをして辰龍に言い放った。
「いちいちデカい声出すんじゃねぇよ。お前の声なんか耳に残したくねぇんだわ」
「んだとぉ!?」
「辰龍、外に出ていろ」
「なんで俺が──……クソッ!」
父親の表情にビクッと肩を跳ねさせたことを恥とし、壁を叩いて廊下へと出ていく。壁が大きくヘコみ、ドアの蝶番が片方外れた。
幼少期から物に当たることをやめられない息子に父親はかぶりを振った。
20
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
悲報!地味系令嬢、学園一のモテ男に「嘘の告白」をされる。
恋せよ恋
恋愛
「君のひたむきさに心打たれた」
学園の王子様、マーロン侯爵令息から突然の告白。
けれどそれは、退屈な優等生である彼が仕掛けた「罰ゲーム」だった。
ターゲットにされたのは、地味で貧乏な子爵令嬢・サブリナ。
彼女は震える声で告白を受け入れるが――眼鏡の奥の瞳は、冷徹に利益を計算していた。
(侯爵家の独占契約……手に入れたも同然だわ!)
実は、サブリナの正体は王都で話題の「エアハート商会」を率いる敏腕マネージャー。
「嘘の告白」をした男と、「嘘の快諾」をした女。
互いに利用し合うつもりが、いつの間にか本気に……?
お互いの本性を隠したまま進む、腹黒×腹黒の騙し合いラブコメディ!
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!
王太子妃専属侍女の結婚事情
蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。
未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。
相手は王太子の側近セドリック。
ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。
そんな二人の行く末は......。
☆恋愛色は薄めです。
☆完結、予約投稿済み。
新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。
ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。
そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。
よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる