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第5話 皇太子と側近、市場に降り立つ
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フェリクスは露店の並ぶ通りを歩きながら、興味深そうにあちこちを見て回る。
「見ろよ、ルーク。あの果物、王宮にはない種類だぞ」
「殿下、触らないでください。買うつもりがないなら」
「堅いなぁ、お前は」
フェリクスは笑うが、ルークは真剣そのものだ。
(……殿下が無事でいること。それが最優先だ)
そう思いながらも、胸の奥では別のざわつきが続いていた。
市場の中央に近づいた時、
ルークは足を止めた。
「……?」
「どうした、ルーク?」
「いえ……」
言葉を濁しながらも、耳が自然と市場の奥へ向く。
(……歌声?)
まだはっきりとは聞こえない。
けれど、風に乗って届くような、柔らかい気配。
十年前の記憶が、また胸をかすめた。
白い小花を髪に挿し、歌いながら花を配っていた少女。
あの時の光景が、ふっと蘇る。
(まさか……いや、そんなはずはない)
ルークは自分に言い聞かせるように首を振った。
「いらっしゃい! 今日は新鮮な果物だよ!」
「薬草ならこっちだよ、安くしとくよ!」
「お嬢ちゃん、花はいらないかい?」
「歌姉ちゃん、今日も来てるかなぁ?」
最後の声に、ルークの耳が反応した。
(……歌姉ちゃん?)
フェリクスも同じ声を聞いたようで、興味深そうに言った。
「歌姉ちゃん、か。噂の“歌で癒す娘”かもしれないな」
「……噂、ですから」
ルークは冷静に返すが、胸のざわつきは強くなるばかりだった。
フェリクスが歩き出す。
「行ってみよう。市場の奥の方らしい」
「殿下、危険がないとは限りません」
「ルークがいるだろう?」
軽く言われ、ルークは小さく息をついた。
(……殿下は本当に、私を信頼しすぎだ)
だが、その信頼に応えたい気持ちも確かにある。
二人は市場の奥へと進んでいく。
「見ろよ、ルーク。あの果物、王宮にはない種類だぞ」
「殿下、触らないでください。買うつもりがないなら」
「堅いなぁ、お前は」
フェリクスは笑うが、ルークは真剣そのものだ。
(……殿下が無事でいること。それが最優先だ)
そう思いながらも、胸の奥では別のざわつきが続いていた。
市場の中央に近づいた時、
ルークは足を止めた。
「……?」
「どうした、ルーク?」
「いえ……」
言葉を濁しながらも、耳が自然と市場の奥へ向く。
(……歌声?)
まだはっきりとは聞こえない。
けれど、風に乗って届くような、柔らかい気配。
十年前の記憶が、また胸をかすめた。
白い小花を髪に挿し、歌いながら花を配っていた少女。
あの時の光景が、ふっと蘇る。
(まさか……いや、そんなはずはない)
ルークは自分に言い聞かせるように首を振った。
「いらっしゃい! 今日は新鮮な果物だよ!」
「薬草ならこっちだよ、安くしとくよ!」
「お嬢ちゃん、花はいらないかい?」
「歌姉ちゃん、今日も来てるかなぁ?」
最後の声に、ルークの耳が反応した。
(……歌姉ちゃん?)
フェリクスも同じ声を聞いたようで、興味深そうに言った。
「歌姉ちゃん、か。噂の“歌で癒す娘”かもしれないな」
「……噂、ですから」
ルークは冷静に返すが、胸のざわつきは強くなるばかりだった。
フェリクスが歩き出す。
「行ってみよう。市場の奥の方らしい」
「殿下、危険がないとは限りません」
「ルークがいるだろう?」
軽く言われ、ルークは小さく息をついた。
(……殿下は本当に、私を信頼しすぎだ)
だが、その信頼に応えたい気持ちも確かにある。
二人は市場の奥へと進んでいく。
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