物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜

丸顔ちゃん。

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妊娠が判明してから数日。
公爵家は、まるで春が訪れたように明るくなっていた。

廊下を歩くだけで、
侍女たちが柔らかく微笑む。

「セレナ様、お身体冷やされませんように」
「こちら、段差がございますので……」
「お水をどうぞ」

セレナは照れながらも、
胸が温かくなる。

(……わたし……
 本当に大切にされてる……)



ある日の午後。
レオンがセレナを連れて、
屋敷の一室の前に立った。

「セレナ。
 ここを……
 子どもの部屋にしようと思う」

扉を開けると、
柔らかな光が差し込む広い部屋。

窓からは庭園が見え、
風が優しくカーテンを揺らしていた。

セレナは思わず息を呑む。

「……素敵……
 こんなに明るい部屋……」

レオンは微笑む。

「君とこの子が……
 安心して過ごせる場所にしたい」

セレナの胸がじんと熱くなる。

(……この部屋に……
 赤ちゃんが……)

想像しただけで、
涙がこぼれそうになった。


ミーナがメモ帳を片手に駆け寄る。

「セレナ様!
 赤ちゃん用のベッドはどのようなものがよろしいでしょう?
 木製で温かみのあるもの、
 あるいは白を基調とした柔らかいデザインも……!」

別の侍女も続く。

「壁紙はどうしましょう?
 淡い色が落ち着くかと……!」

セレナは戸惑いながら笑う。

「みんな……
 そんなに急がなくても……」

レオンは腕を組み、
真剣な顔で言った。

「急ぐべきだ。
 この子のためだ」

ミーナが頷く。

「レオン様は……
 すっかり“お父様”ですね」

レオンは少し照れたように咳払いした。



その夜。
セレナとレオンは寝室で並んで座り、
小さなノートを開いていた。

レオンが言う。

「名前を……
 考え始めてもいいだろうか」

セレナは驚きつつも微笑む。

「もう……?
 まだ早い気もするけど……」

「早すぎることはない。
 この子は……
 私たちの未来だ」

レオンは真剣な表情でノートに向かう。

「女の子なら……
 “ルナ”はどうだろう。
 月のように優しく、美しい」

セレナは胸が温かくなる。

「素敵……
 レオン様らしい名前……」

「男の子なら……
 “エリオス”はどうだ?
 光を意味する」

セレナはそっとお腹に手を当てた。

(……この子は……
 どんな子になるんだろう……)

レオンはセレナの手に自分の手を重ねる。

「どんな名前でも……
 君が呼ぶ声が一番美しい」

セレナは顔を赤くしながら笑った。



寝る前。
セレナはベッドに横になり、
お腹をそっと撫でた。

(……この子のために……
 わたし……
 もっと強くなりたい……)

レオンが隣に座り、
優しく髪を撫でる。

「セレナ。
 君はもう十分強い。
 でも……
 これからは私も一緒に強くなる」

セレナはレオンの胸に寄りかかり、
静かに目を閉じた。

(……この人と……
 この子と……
 わたしの未来が始まるんだ……)

その夜、
セレナは穏やかな眠りについた。

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