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サンテール王国編
水槽とシキシラセ
しおりを挟む朝になりマーマンの兵士に、地上まで送られ俺はギルドに帰った。
「おかえりコナー!」
ギルドに入るとクロが笑顔で出迎えてくれた。
「ねぇなんで私の事置いていったの……」
「呼ばれたのは俺一人だし、それにお前あの時間寝てただろ……」
「それで?マーメイドの嬢ちゃんとなんの話してきたんだ?」
酒を飲みながらカードで遊んでいたジョゼフさんに聞かれ先日体験した全てを伝えた。
「人魚の国に、サハギンの大群との戦闘、それにあの嬢ちゃんがマーメイドのお姫様ねぇ……まるで現国王の冒険譚みたいな体験だな」
「それでなんですが、向こうの女王様が国王様とお話したいと言っていたんですが、ジョゼフさんのお知り合いに国王様と繋がりのある人とかっていたりしませんか?」
「王子に頼めば会うことはできるかもしれねぇが……話すのは難しいかもしれねぇな……」
「なにかあるんですか?」
「あ~そういえばお前だいぶ田舎から引っ越してきたって話してたな、知らなくても当然か。王様はもう三百歳を超えててマトモに話すことができねぇんだよ。」
「三百!?」
「正確な年齢は覚えてねぇけどな、口が聞けなくなっても退位させないあたり、その方が都合のいいヤツらが多いんだろうな。」
「どうしましょう……」
「まぁやれるだけやってみればいいんじゃねぇか?とりあえず王子様に話しておいてやるから、その日までにできることはしとけよ。」
「わかりました!クロ、今から父さんに会いに行くけどお前も来るか?」
「行く!」
具体的に何をしておけと言われたわけではない、今俺が何をしたいかはもうわかっていた。
「すみませんアラン・エイベルに会いに来たんですが。」
俺とクロは父さんに会うため冒険者ギルドにやってきていた。
「おーい、アランお前をご指名だぞ~。」
冒険者ギルドの一人が大きな声で父さんを呼んでくれた。
「おっコナーじゃないか!それにクロエちゃんも!水槽の件だろ!今から一緒に見に行くか?」
俺たちは冒険者ギルドから父さんの知り合いのガラス職人の元へと向かった。
「おう!アランじゃねぇか、そっちはお前の子供か?アランに顔が似なくてよかったな!頼まれてた物なら既にできてるぜ!」
ガラス職人のおっちゃんが指を指す方を見ると見事な水槽ができていた。
「ありがとうございます!早速水を入れて試してみてもいいですか?」
「あぁいいぜ!けどこんなもの何に使うんだ?」
「海の生き物を飼育するんです。クロ、魔法で水槽に水を入れてみて。」
「海の生き物ってお前……まぁアランが何も言わないってことは大丈夫なんだろうが、俺を巻き込まないでくれよ。」
ガラス職人のおっちゃんが何のことを話しているのかは分からなかったが、今はとにかく実験だ!クロに魔法で水を入れてもらい、水槽の中に石ころを入れ形が歪まないか試した。
「うん、完璧です!こんなに早くできるなんて思いませんでした。お代はおいくらですか?」
「もうアランから貰ってるからいらねぇよ。」
「!?ありがとう父さん!」
「これでも父さん、稼いでるからな。これくらいどうってことないさ!」
「父さん言いにくいんだけど……」
「なんだ?言ってみろ。」
「水槽がこれ一つじゃ足りなくて……」
「何個でもいいぞ父さんに任せなさい!」
「じゃあ、おじさんこの水槽の三倍の大きさのを五つ作れますか?」
「できるとは思うが……代金も三倍近くになるぞ……いいのか?」
「……あぁ大丈夫だ……やってくれ……」
泣いている父さんにお礼とお別れを伝えると俺は水槽を持って海へと向かった。
「すみませ~ん、マーマンの兵士さんいますか~。」
「戻ってきたか少年、それで女王様にはなんとお伝えすればいいんだ?」
「あっ違うんです、今回はその件じゃなくて。なにか飼育のしやすい生き物を教えてもらいたくて。」
「あぁなんか女王様が言ってたな……ちょっと待ってな取ってきてやる。」
そういうとマーマンの兵士は海に潜り、あっという間に魚を捕まえてきてくれた。
「こいつはシキシラセって言って季節によって色を変えるんだ、基本なんでも食べるし小さい魚だから飼育には向いてるんじゃないか?」
「ありがとうございます!大事に育てます!あぁそれと国王様との謁見の件なんですが。」
俺はジョゼフさんとの会話の内容を伝えた。
「なるほど、わかった一応女王様に伝えておく。もう一人を近くに待機させておくから用があったらまた呼んでくれ。」
そういうとマーマンの兵士は海に潜り去っていった。
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