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炎の神編
ドワーフの集落
しおりを挟むジル王子と別れた翌日、コナーたちは目的地のドワーフの集落へと辿り着いた。
「コナー・エイベル様!お待ちしておりました。……ジル王子のお姿見えないのですが?」
集落に入ると先に来ていたドラン王国の兵士が駆け寄ってきた。コナーたちは魔法使いたちの集落で起きたことや獣人の草原でのことをこと細かく衛兵たちに説明した。
「そんなことがあったのですね……ご苦労さまでした。本日はドワーフの代表とお話をしたらゆっくり休むとよいでしょう。炎の神アハウ様を探すのは明日にしましょう。」
コナーたちは兵士にドワーフの長のいる家へ案内をされた。
「おう!ようやく着いたか!はるばるよく来たな!」
「ヴァルコさん!お久しぶりです。襲撃を受けたとお聞きしたのですが、大丈夫でしたか?」
「……同胞が二人殺された。ここに来た魔人は二人殺して満足したのか帰っていったよ。」
「それは……ご愁傷さまでした……」
「気ぃ使わせちまって悪ぃな。ここには飯や酒はたらふくある!今日はゆっくり休んで英気を養ってくれ!」
コナーたちはヴァルコの住む家を離れ、しばらく集落を探索し眠りについた。
「コナー、おっはよ~!」
「……おはよう……クロ……その様子だとよく眠れたみたいだね。」
「うん!久しぶりにぐっすり!そんなことよりご飯の時間だよ!はやくはやく!」
コナーは朝から元気すぎるクロに連れられ食卓へと向かった。
「おはようコナー。もうみんな来てるわよ。」
ドワーフは食事を全員で食べる種族のようで、外に置かれた大きなテーブルにこれでもかと料理が並べられていた。料理の種類はそれほど多くなく、肉料理が大半だ。
「よし!コナーも来て全員揃ったところでいつものやるぞ~」
ドワーフたちがジョッキを上に掲げ、コナーたちも真似るようにジョッキを上に掲げた。
「炎の神アハウに!」
「「「「かんぱーい!!」」」」
ドワーフの食事の形式はバイキングでテーブルに並べられた食事を手に取りその場で食べている。
「……っ!」
口に入れた肉は焼きたてのように熱く、噛んだ瞬間肉汁がこれでもかと溢れ出した。食べ進めると肉の中に石が入っており、どうやら熱した石を食材の中に入れてドワーフは調理をするらしい。
食事が終わるとドワーフたちはそれぞれの生活に戻っていった。朝食べるにしては少し重たい食事であったが、とても美味しく食べきった後にはもっと食べたいと思ってしまっていた。
「コナーくん、ヤンくん。ちょっと着いてきてくれ。」
食事が終わり、兵士たちと炎の神のいる火山へ向かおうとしていると、白い髭の生えた他のドワーフよりも歳をとっているであろうドワーフに呼ばれ急いでそちらへ向かった。
「これをお前さんたちに渡したくてな。」
コナーたちが老人ドワーフに渡されたのは自分たちの使う武器と姿形が全く同じ武器だった。
「これは?」
「お前さんたちがアハウ様のいる火山へ行くと聞いていてもたってもいられなくてな。ついつい腕がなってしまった。使い心地については心配要らんぞ。お前さんたちが湯に浸かっている間に武器を見たからな。重さ以外は同じはずじゃ。」
剣を鞘から抜き試してみるが、確かに剣が前より少し思いが振り心地は変わらない。
「お前さんたちの武器は鞘が重くて剣が少し軽かったからのう。そして何より切れ味も悪かった。この武器ならリザードマンも真っ二つにできるはずじゃ。」
武器をくれたドワーフに深々とお礼をし。武器を改めた二人とクロ、シルヴィ、ドラン王国の兵士二十人は炎の神の眠る火山へと向かった。
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