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炎の神編
新たな目的地
しおりを挟む「アハウ様から雷の魔力を貰えたんだね!よかった。」
コナーは森の中で帰りを待っていた、ジル王子たちと合流し、雷の魔力全てを取り込むと人格をチャクに奪われるということを隠し、洞窟の中での出来事を話した。
「とはいえ!これで残り三人の神様に力を貰えばいいんだよね!結構順調かも!」
「そうも言っていられないよ、クロエくん。先程交戦したジャン・バラボーもだが、闇の神が生み出したという魔人たちが私たちの行く手を阻むはず。今の僕たちの実力では五人がかりでも魔人に勝つのは難しいかもしれない……。」
ジル王子の言葉は正しかった。コナーとヤンは魔力循環を、クロエとシルヴィは魔力操作を身につけることに成功し、大きく力を伸ばしたが、ジャンを倒し切ることはできなかった。
「コナーくん。雷の魔力を手の平から出してくれないかな。」
「こうですか?」
「問題なく使うことはできるみたいだね。その魔力は欠片とはいえ神の魔力。コナーくんがその魔力を使いこなせるようになれば魔人にも対抗することができるかもしれない。」
話を程々に来た道を戻ると、首と胴体の離れた死体と対面した。
「ジル王子、この兵士さんたちの死体を国に持ち帰ることはできないかしら……」
「……いや、それはできない。私たちは死んでしまったもののためにも旅を続けなくてならない。……ただ。」
ジル王子は死体に近づき、抜くことなく鞘に収まっている剣をそっと手に取った。
「この剣には兵士一人一人の名前が刻まれている。これくらいは国に返してやりたい。頼む回収するのを手伝ってくれ。」
コナーたちはジル王子の頼みを聞き入れ武器を回収しドワーフの集落へと再び歩みを進めた。
「ジル王子、あなた変わったわね。旅が始まった時は少し怖かったけど今は頼れるリーダーって感じ。」
「……すまない、玉座争いを優位に進めるには、自分一人の活躍でコナーくんと神様を会わせる必要があると思っていたんだ。今はみんなのことを頼りにしている。」
ジル王子の心の内を聞き、中が深まったコナーたちは、無事にドワーフの集落へと戻ってくるそとができた。
「……そうか、兵士の人らは死んでしまったか。あいつらには俺たちも世話になった。あいつらか笑顔で天に登れるように今日はみんなで飲まないとだな!」
ドワーフたちは死体を回収しに行くことを提案したがリザードマンたちは炎の神の魔力により生み出された存在のため、おそらく既に復活しているという理由でジル王子が断った。
「お前さんたちも、今日はたらふく飲んでくれ。」
酒樽に竹芍の入ったものを兵士の剣の前に置くと、ドワーフの族長ヴァルコはコナーたちの向かいに座った。
「っで?お前さんたちは次、どこに向かうんだ?」
「次はエルフの住む大森林、その奥地に住むウイル様に会いに行きます。」
「あの頑固頭たちのところか……大変な思いすることになるとは思うが、まぁ儂らの打った二本の魔剣があれば大丈夫だろうて!」
「魔剣?」
「……待て。もしかして聞いとらんのか?」
コナーとヤンは深く頷いた。
「はぁ……自分たちが分かるようなことは他の種族も分かると思っている、ドワーフの悪い癖だな……本当にすまない。」
ヴァルコはコナーたちに深く謝罪をした後、剣の説明を始めた。
「コナー、お前さんのが風傷石を使った剣で、ヤンのが炎焼石を使った剣だ。それぞれが対応する魔力に反応し魔力の斬撃を飛ばすことができる。そこらの魔法使いが使う魔法よりも威力や速射性に優れている。」
コナーたちの頭に、魔剣ということを知っていれば勝てただろうか、という疑問が過ぎるが、全員が勝てなかっただろう、という結論に至った。
「悪い、儂は説明をしなかった奴らに用があるから、お前たちだけで楽しんでくれ!」
そう言いドワーフの族長ヴァルコは席を離れ、ドワーフの集まる場所に怒鳴り声をあげながら向かった。コナーたちは食事を黙々と食べた。初日は重くて食べるのが大変だった食事も、疲れきったコナーたちの体には最適だった。
兵士を弔う宴が終わり、全員が眠りについた中、眠れない男が二人いた。
「ヤン、お前も眠れないのか?」
「眠れるわけないだろ。明日からまた、しばらく馬車の上だ。今強くならなきゃ明日死ぬのは俺だ。」
「……だよな。提案なんだが一人より二人の方が実践的な訓練ができると思うんだけど、どうかな?」
「……!そうだな!二人でやろう!」
コナーとヤンは寝る間も惜しんで戦いの腕を磨き続けた。
「ドワーフの皆さん、大変お世話になりました。」
翌日、コナーたちはドワーフたちに別れを告げ、集落を去り、新たな目的地、エルフの大森林へと馬車を走らせた。
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