私が好きなのはあなたじゃないですよ?

夜明シスカ

文字の大きさ
14 / 55

呼び出しと過去のミス

しおりを挟む
コンコンコン
「どうぞ~」
カチャリと静かな音を立てて扉が開いて入ってきたのはこの家の執事のメンデル。
「やぁ、メンデル、こんな時間にどうかしたかい?」
夕食も終わり、夜の寝支度をしているような時間だ。
急用か??と首を傾げる。
「リオル様、お休み前のお時間に申し訳ありません。
今しがた、キッシュ家のサリエル様からと御手紙が届けられました。
早馬でしたので、お急ぎの用件かと思いまして持ってきた次第です。
どうぞ、こちらです。」

銀色のトレーに乗せられた封筒の封蝋は間違いなくキッシュ家の物。
差出人は友人であるサリエル・キッシュからだった。
「こんな時間まで仕事をさせてしまってすまない、しっかり受け取ったよ、ありがとう。」
「いえ、問題ありません。それでは、おやすみなさいませ。」
「あぁ、おやすみ」

丁寧な礼をとり、部屋を去っていった。

さてと・・サリエルからか。
しかも早馬でなんてそんな急を要する用事とはなんだ。
流石にもう寝ようとしてたのに・・とブツブツ小言を言いながらも、封を開けて手紙を確認する。

寝台に座り、いつ寝てもいいような姿勢で読み始めると・・
ビクっ!!となり、寝る体勢どころではなくなった。

手紙の内容は・・
クラナに最悪な虫が付いた。
相手はマトワ・ルティ伯爵子息 ルティ家の次男で、先のパーティーでクラナに目を付けて、先日家にペアの申し込み書が届いたこと。
当のクラナは、マトワとペアになって婚約することになったりでもしたら死んだほうがマシだと言ってるくらい嫌っている・・怯えていると。
キッシュ家でルティ家の情報を集めているが、どれも危険だと警戒せざるえないことばかり出てくること。
これにより、対策を立てたいからよければ相談に乗ってくれないか?

とのことだった。

親父さんとの意見を纏める会が1週間後にあるから、その前までに会いたいこと。
しっかり時間を取れる日にしたいとのこと。

クラナ・・
いったい俺の知らない間に何が起こっているんだ。

こうしちゃいられない、とにかく明日は確か午後は予定が空いていたな、追加で明後日の朝~15時までと4日後は1日空いていることを手紙に記した。
明日の朝1番に手紙を持っていってもらうことにしよう。

クラナのペアか・・
素敵な相手と繋がってくれていたなら俺も祝福出来ただろうに・・
キッシュ家がこんなに慌てるような相手なんて、絶対に認めない。

俺は・・俺はいまでもずっとクラナが好きなんだ。

10歳の時、ペアリングパーティーで申し込まれて仕方なくペアを組んだ。
仕方なく1ヶ月に1度の交流会も我慢して参加した。
仕方なく彼女の好きな観劇や街歩きにも付き合った。
どれもこれもペアだから仕方なく。

あぁ、婚約者じゃなくて本当に良かった。
俺はこの子を好きになれないし、婚約・・ましてや結婚なんて絶対無理。
まず、好きなことが違いすぎる。
俺は騒がしいのが苦手。
本を読んだり、何かに集中するのが好きだ。
甘党だけど流行りとか関係なく美味しいかどうかに拘る、お茶にはちょっとうるさいし(苦笑)
対して彼女は、街歩きや観劇やカフェで流行りのお菓子やお茶をいただくのが好き。
友達とワイワイはしゃぐのも好きだし、じっとしているのは苦手みたい。

そんなの・・絶対相性最悪。

なんでペアになりたかったのか聞いたことがある。

単純だった。
”顔が好みだったのと、連れて歩いたら自慢できそうだから”
なんて頭の悪そうな答え・・
それを聞いた時から心底無理になった。
絶対に解消してやると意気込み続けていると、
なんと幸運か、あちらから相談してきた。
12歳の秋に、”他に好きになった人がいるから、ペア解消したのだけどダメかしら?”と。
願ってもない!!!!
彼女の気が変わらないうちにと、その日のうちに書類作成をしてもらいさっさと提出までしてきた。

晴れて俺はフリーになったのだ。

いや・・言葉の選定を間違えた。正しくは
”クラナに選んでもらえる立場になれた”

その時はあまりに気分が高揚して忘れていた。
ペア解消したことをトルディア家の外へ発していなかったこと。
1番大事なキッシュ家へ伝え損ねていたことを・・

なんという凡ミス(苦笑)

はぁ・・あの時の俺、馬鹿だなぁ。

それが現在まで続いてるもんだから・・うん、サリエルに会う日にしっかり伝えないとな。
そして、クラナへの想いも。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

王様の恥かきっ娘

青の雀
恋愛
恥かきっ子とは、親が年老いてから子供ができること。 本当は、元気でおめでたいことだけど、照れ隠しで、その年齢まで夫婦の営みがあったことを物語り世間様に向けての恥をいう。 孫と同い年の王女殿下が生まれたことで巻き起こる騒動を書きます 物語は、卒業記念パーティで婚約者から婚約破棄されたところから始まります これもショートショートで書く予定です。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。 彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。 公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。 しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。 だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。 二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。 彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。 ※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。

お好きになさって下さい、私は一切気にしませんわ

Kouei
恋愛
婚約者のクレマンド様は、いつも私との約束を破ってばかり。 理由は決まって『従妹ライラ様との用事』 誕生日会にすら来なかった彼に、私はついに告げた。 「どうぞ、私以外のご令嬢をエスコートするなり、お出かけするなり、関係を持つなり、お好きになさって下さい。私は一切気にしませんわ」 二人の想いは、重なり合えるのだろうか …… ※他のサイトにも公開しています。

三年の想いは小瓶の中に

月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。 ※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。

【完結】私を捨てた国のその後を見守ってみた。

satomi
恋愛
侯爵令嬢のレナは公然の場でというか、卒業パーティーで王太子殿下イズライールに婚約破棄をされた挙句、王太子殿下は男爵令嬢のラーラと婚約を宣言。 殿下は陛下や王妃様がいないときを狙ったんでしょうね。 レナの父はアルロジラ王国の宰相です。実家にはレナの兄が4名いますがみんなそろいもそろって優秀。 長男は領地経営、次男は貿易商、3男は情報屋、4男は…オカマバー経営。 レナは殿下に愛想をつかして、アルロジラ王国の行く末を見守ろうと決意するのです。 次男監修により、国交の断絶しているエミューダ帝国にて。

あなたが決めたことよ

アーエル
恋愛
その日は私の誕生日パーティーの三日前のことでした。 前触れもなく「婚約の話は無かったことにしよう」と言われたのです。 ‪✰他社でも公開

嫌われたと思って離れたのに

ラム猫
恋愛
 私は、婚約者のカイルに嫌われたと思った。冷たくそっけなく、近づくたびに避けられる日々。  距離を置くことを選び、留学の準備も進めて心を落ち着かせようとするけれど——。

処理中です...