私が好きなのはあなたじゃないですよ?

夜明シスカ

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破滅への序章

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ユスランが王城で謁見してから1週間後、ここは王都の審問議会。

この議会では、貴族の罪を捌いたり大規模な組織的犯罪への対策・思案・懲罰などすぐには罪が決められない複雑な案件に対して開かれる場だ。

今日は晴天だ。
まるで今日でしっかりと決着が着くと示されているかのようだな・・

そう思いながら、ユスランは最後まで書類をまとめ、確認を怠らない。

ああいう部類の人間は、賠償金や慰謝料では払えば罪を償ったと勘違いして、また同じことをするからな、ここはプライドの大元である爵位剥奪が一番効くだろう。

シェリアーナ夫人・・いや、もうシェリアーナ嬢か。
彼女からも証言をしてもらえたし、他の被害者家族や親類からも嘆願書や署名など預かっている。
なんなら半分くらいは今日の末路を見届けてやりたいと意気込んで、議会観覧に来てるはずだ。

楽しくなってきたな。
もちろん、うちのクラナを追い詰めてくれたことが一番許せんがな。

ゴーンゴーンゴーン
荘厳な鐘の音が鳴った、そろそろ議会の始まる合図だ。
ユスランも準備をして会場へ歩き出した。

中はまだ数人の観覧者がいるだけだ。
見知った顔ばかりだ。
ここ数週間、渡り歩いた家の人々・・みんな希望を抱いてここに来たんだな。
それに報えるように、私も尽力しなくては。



10分後、開会となった。


議会長はもちろん、陛下だ。
宰相もこちらに視線を向けて頷いている。
「では今日の議会開会を告げる。
神の名の下、嘘偽り無く述べるように。」
それだけを告げて陛下も席につく。
隣の宰相が、
「陛下、ありがとうございます。
では、知っての通り、質問・意見については挙手願います。
今日の議題は、ルティ伯爵家についてです。
何代も前から彼らの行動は目に余るものがあったことをご承知でしょうか?」

他の議会員が挙手する。
「ボルモン伯爵、どうぞ」

「失礼します。
私が知っているルティ家の行動とは、お金についてのことではないと思っておりますが、いかがですか?」
ボルモン伯爵はシェリアーナの実家だ・・期待も大きいのだろう。
少し震えていらっしゃる。

「その通りです、彼らには女性関係で悪い噂がございましてね。
まぁ、社交界といえど狭い世界です・・皆さんもおわかりかと。」

宰相のその言葉に、ボルモン伯爵はにわかに確信したであろう。
瞳が輝きを増したように思えた。

他の貴族や、観覧している人々もおぉっと声をあげた。
みんなそれぞれに苦汁を舐めさせられた仲間というわけだ。

「続けます。
調べたところによりますと、ルティ家の男は厄介な性質を持っていました。
彼らは、女性を見初めると相手の気持ちが自分に向いていなくても、とにかく自分の気持ちを押し付けます。
どんなことをしてでも絶対に自分のモノにするという信念の下、相手に近づく男は全て排除、女友達といる時間も邪魔をし、どんどん孤立させていき終いには自分以外は頼る相手が居ないように仕向けます。
出かけている時も、偶然を装って現れそのまま一緒に過ごすという厚かましさ・・・
私がそれをやられたらと思うと、嫌悪しかありません。

更には相手に婚約を考えている相手がいようが、慕う相手がいようが構わず強引に奪うという。

なんと非人道的な行動かと思いました。」

会場中がうんうんと頷いている、同意ということだ。
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