私が好きなのはあなたじゃないですよ?

夜明シスカ

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破滅へと

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それから、ルティ家現当主と長男セス、次男マトワの意中の女性へのあるまじき行為についても報告された。

聞き終えた場内の人々は、息をするのも忘れる勢いで喋りだした。

「なんということだ!そんな行為がいままで何代も見過ごされてきたというのかっ」

「そうだ!!女性の人権を無視しているぞ!これは人権剥奪の罪に問うべきだ!」

「なんだって、屋敷内ではなく森の中に放置だと・・
そんなこと許されるわけがないだろう!
俺のっ私の娘はそんな扱いを受けるために生まれたわけじゃないっ!!
望まれて、幸せになるために生まれたんだ・・
それをあいつめ・・さんざん無理矢理家族から引き離して連れていったくせに!!!」
そう叫んでいるのは、もちろんボルモン伯爵だ。
そう・・彼は、ルティ家現当主に嫁いだ夫人であった人、シェリアーナ嬢の父である。

いままで便りもなく、連絡も取れず娘がどこでどうしているのか、幸せなのか孫はどうなのか・・嫁いでからは一切連絡が途絶えたとのこと。

どうにかルティ家へ行き、娘に会わせて欲しいと頼み込んだことも1度や2度じゃないという。
それでも、ルティ家の門が開かれることは無かったと。

愛娘が消息不明・・もしかしたらもうすでにこの世には居ないのかと考えたこともあったという。
・・・
場が静まり返る。
彼の独白に、すすり泣く者も。

静かに挙手する者がいた。
「サザリンド伯爵、どうぞ」

「ボルモン伯爵の独白、誠に心に響いた。そのような事、伝えるのも躊躇するはずだがよくぞ話して下さったと感謝しかない。」
そしてボルモン伯爵へ向けて一礼してから話を続けた。
「うちの被害者はとうに亡くなったが、私の曾祖母だ。
3代前のルティ家当主へ嫁いだんだが、彼女もまた執拗に追い回され、焦燥し、逃げられないと悟り、何もかもを諦めて嫁いだと聞かされている。
女性は人形でも玩具でも奴隷でもない!!
彼女もまた他の女性たちも守られるべき立場なのだ。
それなのに守られていないとは・・あり得ないだろう。
どうか、今後このような被害者を出ささない為にも公正な判断をお願い致します。
取り乱しまして誠に申し訳ございませんでした。」

この場の皆に謝罪の礼をしてから、着席してシュンと肩を落としている。

彼もまた、ずっと曾祖母の敵を討ちたかった1人かもしれないな。

その場に集まった人々の目には”許すな絶対に”と心の声が聞こえそうなほどの炎が宿っているようだ。

「陛下、私からも進言致します。
貴族としての地位にいる人物が、血筋でこのような性質が受け継がれ続けるなど、今後あってはならないのではないでしょうか!
女性を意中の人と言えば、どんな扱いをしても良いと思っているのでは?
到底同じ人間の所業とは思えませんし、思いたくもありません。
どうか、先に述べていただいた証言も含め考慮して下さるようお願い申し上げます。」

っっ
皆の視線は宰相に釘付けである。
それもそのはず、この宰相モリー・イリアドル公爵は王家の次に偉い家柄であり、代々陛下を支えてきた宰相の家計であるからして、滅多なことでは頭を下げない。
ましてや、このような公の場では有り得ないのだが、それだけ大事だということだ。

それを見た陛下も渋い顔をしながら、頭をあげよ!と言っている。
そりゃ・・幼馴染に頭を下げられるなて、そんなこといままで無かったからなぁ。

そんなこんなで、陛下は思案しつつ宰相と私含めとりあえずの関係者と少し話してから裁決を下した。



「静粛に、我アサディ・コーラリアン、神の名の下に告げる。
ルティ伯爵家、当主ネイサン、長男セス・次男マトワ 現存するルティの血を引く男系の人物は、揃って平民へと身分を落とし、国内の交通の無い島へと流す。
そこから出ることは許さぬ。
理由としては、宰相が先程言っていた通りだ。
これ以上危ない因子を生かしてはおけない・・輪を乱すものはいらんのだよ。
皆のもの、それ良いか?」

これでもかと思うほどの処遇を与えてくれたのに、誰が否を言えようか。


ユスランは少し荷が下りたなと安堵しつつ、周りを眺めた。
あれは、ボルモン伯爵・・
陛下へ向かって拝んでいる(苦笑)

「陛下、ありがとうございますっこれで我が娘も危険なくのびのびと生活出来ますぞ。」
頬には涙が流れているが、嬉しいのだ放って置く。

その1つ隣では、サザリンド伯爵だ。
彼もまた、陛下へ向かって膝をついて拝んでいるじゃないか・・

「あぁ、曾祖母様やっとです。貴女の敵は討てませんがこれから先、貴女と同じような女性は出ません。」
と呟き泣いた。

ふと、隣のボルモン伯爵と目が合ってお互いに良かったなと握手を交わした。

このような場だが、ここから始まる縁もあるかもしれないな。

この場で参加しながらも、終始静黙って見守っていたキッシュ家当主は、こちらへ目線をくれると静かに頷いて、深々とお辞儀をしていた。

俺も嫁のためにやったんだ、気持ちは同じだと拳を握ってお辞儀を返した。

さてと、俺も早く屋敷へ戻って家族とクラナに報告しよう!

家族は喜んでくれるだろう。
クラナは安心してくれるだろうか・・

”クラナの笑顔が見たいな”


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