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収まりました
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少し打ち解けてきたところで、そう言えばと本題を思い出した。
チラリと横のメロウ様へ視線をやると、あちらも目を合わせて「わかっている」と言うように頷いてくれた。
それに頷き返して少し背筋を伸ばす。
「ユスラン、少し落ち着いたところで本題に入っていいかな?」
「ん?なんだ、結婚の報告が本題かと思ったが・・違うのか?」
ユスランの顔を見る限り、本当に本題は終わったと思っていたみたいだ。
「あぁ、実は今日こっちを訪ねたのは別件なんだ。
ユスラン、君がいまは亡きルティ伯爵家の使用人たちを僕の家で雇ってくれないかと頼んできたことだよ。」
そう伝えると、あぁ!と相槌が返ってきた。
「そんなこともあったな。
つい最近のことなのに、色々バタついていたからだいぶ前のことのようだな。その事で何か問題でもあったのか??」
ユスランは首を傾げている。
「いや、問題があったわけじゃないよ。紹介してくれた使用人たちはみんな最高の仕事をしてくれるし、元々屋敷に居た使用人たちとも早々に仲良くなって日々屋敷は賑やかになったよ。
彼らのことでは何の問題もない。
そうじゃなくてな、彼女のことなんだ。」
ん?
と続きを促された。
「シェナのことだ。
実は彼女は元ルティ伯爵夫人なんだよ。
君が使用人たちに出ていく前に探して欲しいと頼んだと聞いたぞ。
おかげでこうして僕と出会えて妻になってもらえたよ。
この出会いはユスラン無しでは成り立たなかったんだ。
本当に感謝している。」
!!??
「なるほど!そうだったか。
確かに執事のトレリルと言ったか?彼に頼んでおいたが。
まさかシェリアーナが元ルティ伯爵夫人だったとはな。
そうかそうか、存在は知っていたが何しろ顔も覚えてなくてね。
いや、そうなると本当にいまが幸せそうで良かったよ・・
うん、無事で居てくれて、メロウと出会えて良かったな。
これから先も何かあったらうちを頼ってくれよ!!
トルディア侯爵家は助力を惜しまん!」
そう言い切って、柔らかく微笑んだ。
メロウもシェリアーナもホッと息をついて安心した顔を見せた。
その反対側で、何やらリオルがクラナを心配している。
ミラ様がハッとなって、
「クラナちゃん!大丈夫よ!ここはトルディア家よ、誰にも貴方に手出しはさせないわっ、ね・・安心して。」
その言葉の後にリオルはクラナを安心させるように、優しく肩を抱いた。
その様子が・・クラナちゃんの怯え方が異常で、
でもどこかわかるような・・
シェリアーナは思った、この怯え方は私がよく知っている と。
「クラナちゃん・・もしかして、ルティ家に何かされたの?」
と刺激しないようにそっと聞く。
それでも少し体をビクつかせて反応した。
どうしよう・・話題がダメだったのね。
と、その時ユスランが話出した。
「クラナ、大丈夫だ。
もう大丈夫なんだからな。
ルティ家はもう没落したんだ、もう君が怯えるようなことは二度と起きないよ。約束する。」
その言葉の数秒後、スッと少し涙目になっている顔を見せてくれた。
もう落ち着ついたから、と言うようにリオルに頷いている。
その後を引き継いで、ユスランが話しだした。
「実はな・・」
と、クラナがルティ家のマトワにされて怯えていたことを経過順に説明した。
メロウもシェリアーナも知らなかった話に驚き心が痛くなったが、
何よりシェリアーナにとっては息子であるマトワがクラナを怯えさせた張本人だということが許せなかった。
母親らしいことは何もしていない、
顔を見たのも生まれた時だけ、
息子と呼べるほどの繋がりもないけれど、それでも・・自分が産み落としたんだ。
この世にあの害でしかない一族の血を持った子どもを。
申し訳なかった・・・
とてもじゃないけど、謝罪しないでいるなんて無理で、土下座して謝った。
私が産んでしまったから、貴女をこのような目に合わせてしまったのだと。
マトワに言えなかったことも、全部受け止めるから罵りでも何でも私にぶつけて欲しいと。
そこで、クラナはやっとシェリアーナも被害者なんだと認識した。
この人は嫌々無理矢理嫁がされて、産まされてそれなのに子どもは取り上げられて・・監禁までされて・・
そんなの母親って言わないわ。
こんなに優しい人に八つ当たりなんてしたくない。
でも、悪いと思っているから・・
クラナは考えた、考えて決めた。
この人への罰を。
・・・
「シェリアーナ様、お顔を上げてそして土下座なんてしないで下さい。
私伝えたいことがあって、聞いてもらってもいいですか?」
クラナからの申し出に、とりあえずメロウ様の横へ座って、静かに頷く。
「あのね、私確かにマトワのこと大嫌いです。そして、いまも許せません。
でも、トルディア家やキッシュ家、みんなが私を支えてくれました。
私、段々と心も健康になってきているんです。
毎日少しずつ楽しいを見つけて、大好きなお勉強も少しずつ進めてます。
いろんな事が知れて楽しいです。
シェリアーナ様のことは怒ってないし、あんな人がいるお屋敷から出られて良かったって思います。
でも、私は許せないのも事実です。
だから、罰を与えたいと思いました。」
そこまで聞いて、当たり前のことだと納得しているシェリアーナは頷いた。
罰を受け入れる覚悟は出来ているのだ。
隣でメロウ様は少しソワソワしている。
心配してくれているのだろう。
「シェリアーナ・モンス伯爵夫人、貴女への罰は どうかこの先絶対に幸せになってください ということ。
そして、出来たら私とお友達になってくださいっ」
いいですよね?
と少しはにかんで伝えてくる。
こんな罰・・受け入れないわけないじゃないっ
いっぱい悩んだだろう・・なんて寛容な子なのかしら。
「えぇ、もちろんです!その罰、しっかり受け入れさせていただきます。
それから・・
私も監禁されていてお友達が居ないので、是非お友達になっていただけると嬉しいです。
クラナと呼んでも?私のこともシェナと呼んでください。」
ふふっと微笑んで、握手を求めるためそっと手を差し出す。
クラナも少しはにかんでから、握手をしてくれた。
「シェナ・・さん、さすがに年上の方に呼び捨ては無理ですけど、私のことはクラナで。
これから仲良くしてくださいっ」
「もちろんっ」
そうして2人でニッコリ笑い合った。
周りでハラハラ見守っていたみんなも、穏便に収まったことに安堵したのかはぁ~~~と深い息を吐いてお茶を飲みだした。
後に、ミラ、シェナ、クラナ、クラナの義姉になるキャステル、アミカの5人で開くお茶会は毎回色々な追加の催しもあって楽しいと大人気になるのである。
チラリと横のメロウ様へ視線をやると、あちらも目を合わせて「わかっている」と言うように頷いてくれた。
それに頷き返して少し背筋を伸ばす。
「ユスラン、少し落ち着いたところで本題に入っていいかな?」
「ん?なんだ、結婚の報告が本題かと思ったが・・違うのか?」
ユスランの顔を見る限り、本当に本題は終わったと思っていたみたいだ。
「あぁ、実は今日こっちを訪ねたのは別件なんだ。
ユスラン、君がいまは亡きルティ伯爵家の使用人たちを僕の家で雇ってくれないかと頼んできたことだよ。」
そう伝えると、あぁ!と相槌が返ってきた。
「そんなこともあったな。
つい最近のことなのに、色々バタついていたからだいぶ前のことのようだな。その事で何か問題でもあったのか??」
ユスランは首を傾げている。
「いや、問題があったわけじゃないよ。紹介してくれた使用人たちはみんな最高の仕事をしてくれるし、元々屋敷に居た使用人たちとも早々に仲良くなって日々屋敷は賑やかになったよ。
彼らのことでは何の問題もない。
そうじゃなくてな、彼女のことなんだ。」
ん?
と続きを促された。
「シェナのことだ。
実は彼女は元ルティ伯爵夫人なんだよ。
君が使用人たちに出ていく前に探して欲しいと頼んだと聞いたぞ。
おかげでこうして僕と出会えて妻になってもらえたよ。
この出会いはユスラン無しでは成り立たなかったんだ。
本当に感謝している。」
!!??
「なるほど!そうだったか。
確かに執事のトレリルと言ったか?彼に頼んでおいたが。
まさかシェリアーナが元ルティ伯爵夫人だったとはな。
そうかそうか、存在は知っていたが何しろ顔も覚えてなくてね。
いや、そうなると本当にいまが幸せそうで良かったよ・・
うん、無事で居てくれて、メロウと出会えて良かったな。
これから先も何かあったらうちを頼ってくれよ!!
トルディア侯爵家は助力を惜しまん!」
そう言い切って、柔らかく微笑んだ。
メロウもシェリアーナもホッと息をついて安心した顔を見せた。
その反対側で、何やらリオルがクラナを心配している。
ミラ様がハッとなって、
「クラナちゃん!大丈夫よ!ここはトルディア家よ、誰にも貴方に手出しはさせないわっ、ね・・安心して。」
その言葉の後にリオルはクラナを安心させるように、優しく肩を抱いた。
その様子が・・クラナちゃんの怯え方が異常で、
でもどこかわかるような・・
シェリアーナは思った、この怯え方は私がよく知っている と。
「クラナちゃん・・もしかして、ルティ家に何かされたの?」
と刺激しないようにそっと聞く。
それでも少し体をビクつかせて反応した。
どうしよう・・話題がダメだったのね。
と、その時ユスランが話出した。
「クラナ、大丈夫だ。
もう大丈夫なんだからな。
ルティ家はもう没落したんだ、もう君が怯えるようなことは二度と起きないよ。約束する。」
その言葉の数秒後、スッと少し涙目になっている顔を見せてくれた。
もう落ち着ついたから、と言うようにリオルに頷いている。
その後を引き継いで、ユスランが話しだした。
「実はな・・」
と、クラナがルティ家のマトワにされて怯えていたことを経過順に説明した。
メロウもシェリアーナも知らなかった話に驚き心が痛くなったが、
何よりシェリアーナにとっては息子であるマトワがクラナを怯えさせた張本人だということが許せなかった。
母親らしいことは何もしていない、
顔を見たのも生まれた時だけ、
息子と呼べるほどの繋がりもないけれど、それでも・・自分が産み落としたんだ。
この世にあの害でしかない一族の血を持った子どもを。
申し訳なかった・・・
とてもじゃないけど、謝罪しないでいるなんて無理で、土下座して謝った。
私が産んでしまったから、貴女をこのような目に合わせてしまったのだと。
マトワに言えなかったことも、全部受け止めるから罵りでも何でも私にぶつけて欲しいと。
そこで、クラナはやっとシェリアーナも被害者なんだと認識した。
この人は嫌々無理矢理嫁がされて、産まされてそれなのに子どもは取り上げられて・・監禁までされて・・
そんなの母親って言わないわ。
こんなに優しい人に八つ当たりなんてしたくない。
でも、悪いと思っているから・・
クラナは考えた、考えて決めた。
この人への罰を。
・・・
「シェリアーナ様、お顔を上げてそして土下座なんてしないで下さい。
私伝えたいことがあって、聞いてもらってもいいですか?」
クラナからの申し出に、とりあえずメロウ様の横へ座って、静かに頷く。
「あのね、私確かにマトワのこと大嫌いです。そして、いまも許せません。
でも、トルディア家やキッシュ家、みんなが私を支えてくれました。
私、段々と心も健康になってきているんです。
毎日少しずつ楽しいを見つけて、大好きなお勉強も少しずつ進めてます。
いろんな事が知れて楽しいです。
シェリアーナ様のことは怒ってないし、あんな人がいるお屋敷から出られて良かったって思います。
でも、私は許せないのも事実です。
だから、罰を与えたいと思いました。」
そこまで聞いて、当たり前のことだと納得しているシェリアーナは頷いた。
罰を受け入れる覚悟は出来ているのだ。
隣でメロウ様は少しソワソワしている。
心配してくれているのだろう。
「シェリアーナ・モンス伯爵夫人、貴女への罰は どうかこの先絶対に幸せになってください ということ。
そして、出来たら私とお友達になってくださいっ」
いいですよね?
と少しはにかんで伝えてくる。
こんな罰・・受け入れないわけないじゃないっ
いっぱい悩んだだろう・・なんて寛容な子なのかしら。
「えぇ、もちろんです!その罰、しっかり受け入れさせていただきます。
それから・・
私も監禁されていてお友達が居ないので、是非お友達になっていただけると嬉しいです。
クラナと呼んでも?私のこともシェナと呼んでください。」
ふふっと微笑んで、握手を求めるためそっと手を差し出す。
クラナも少しはにかんでから、握手をしてくれた。
「シェナ・・さん、さすがに年上の方に呼び捨ては無理ですけど、私のことはクラナで。
これから仲良くしてくださいっ」
「もちろんっ」
そうして2人でニッコリ笑い合った。
周りでハラハラ見守っていたみんなも、穏便に収まったことに安堵したのかはぁ~~~と深い息を吐いてお茶を飲みだした。
後に、ミラ、シェナ、クラナ、クラナの義姉になるキャステル、アミカの5人で開くお茶会は毎回色々な追加の催しもあって楽しいと大人気になるのである。
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