6 / 6
元引きこもり令嬢と卵の殻
しおりを挟む
「私は″患者を連れて来てくれ″って言ったんだ。オルフェリア嬢自身が患者になれとは言ってないぞ」
気がついた時には自室のベッドの上にいて、グランツ医師の顔が目の前にあった。
私はどうやら気を失っていたようだ。
私は、落石が当たる直前、殿下が引っ張ってくれたおかげで直撃は免れたらしい。
だけど、その時のショックと限界を超えた体調のせいで意識を失ったとのことだ。
そんな状態の私を殿下はかかえて王都まで戻って来てくれた。
途中で近衛兵が何度も代わろうとしたけれど、殿下は頑として譲らなかったという。
「左肩は骨にヒビが入ってる。丸二日も目を覚まさないほどの高熱だった。しばらくは絶対安静にして貰うぞ」
どうりで痛かったわけだと、どこか他人事のように聞いていた。そういえば衣服も寝間着に着替えている。誰が着替えさせてくれたのかな、とか考えていて、ずいぶんと精神力が鍛えられた自分に苦笑していた。まあ一日で一年分以上の恥ずかしい思いをした気がするから、そうなってもおかしくないかな。
私は変装していたため、私が外出していたことは表沙汰にはならなかった。ブランシェール公爵家には完全にバレてしまったけど、殿下が上手く説得してくれたらしい。
けど殿下はそうもいかず、無断外出の罰として、一か月の謹慎処分が下されたそうだ。
ただ、まあ普段から品行方正であるから、だいぶ軽い処分で済んだ、というのが私は救いだった。
ルカちゃんは無事…でもないけどちゃんと生きて救出された。馬車の事故で命が助かっただけでも奇跡的なのだが、グランツ医師が言うには投薬があと一刻でも遅かったら危なかったそうだ。
本当にどれだけ殿下に迷惑をかけて、助けてもらっただろう。
命を救われただけじゃない。
私の失敗も、勝手な行動も、全部かばってくれた。
謝りたくても、殿下は謹慎中。
その間、私は何度も手紙を書いては破り、会いたい気持ちをどうにか押し殺していた。
そして今日。
ようやく、一ヶ月の謹慎が解けた。
私の怪我も体調も完治したし、面会許可が降りたと聞いて、気づけば駆け出していた。
思いつく限りの感謝の言葉と、謝罪を口にしたが、殿下は一言、無事で良かった、とだけ言ってくれた。
それを聞いてまた、私は泣き出してしまった。
「ただ、オルフェの友達が男だとは思わなかったな」
「えっ?あれ?お伝えしていませんでしたか?」
思わず素っ頓狂な声を出してしまった。
そう言えば、言ってなかった気がする。
ルカちゃんは男系血筋が途絶えた公爵家に、遠縁の男爵家から養子に行ったのだ。
私の中では当然のことだったため、殿下に説明するのをすっかり忘れていた。誤解させてしまっていたのかもしれない。
だけど殿下の次の言葉に、私はまるで頭を殴られたような衝撃で固まってしまった。
「だから……オルフェとは、婚約を解消しようかと思っている」
*
僕は別に聖人と言うわけじゃない。
ただ人よりちょっと世渡りが上手いだけだ。
王位継承権を破棄した時だって、もともと周囲が勝手に持ち上げていただけで、国王なんて面倒なことはやりたくなかった。
だから兄上の為、派閥争いを無くす為、のような言い方をして破棄をしたにすぎない。国王なんてそんなもの兄上がやりたいって言うなら兄上にやらせておけばいいじゃないか。それだけの話だ。美談みたいにしてるのは周りの人間だ。
オルフェリアのことだってそうだ。僕だって男だから、婚約者に対して格好つけたいし、公爵家の人間の命を助けたということであれば相当な恩を売れるだろう。グレイモア公爵家と王家はあまり良好とは言えない関係だ。それを改善できるというのなら、無断外出の罪なんてお釣りが来るぐらい安い。助けられなかったとしても十分なアピールになるだろう。
まあ、つまりは全部下心だ。
オルフェリアの事は婚約前から良く耳にしていた。
妃教育は礼法・言語・政務補佐・宗教儀礼どれも完璧。特に言語は普通三ヶ国語のところを四ヶ国語覚えている。
乗馬の大会では落馬して優勝はできなかったようだが、そもそも男性騎士の部に出るぐらいの腕なのだ。
楽器の演奏も三つの楽器を演奏できる上に頭ひとつ抜け、貴族院での総合成績なんて歴代一位だ。
感情を抑えるのと社交はちょっと苦手なようだけど、それを補って余りある才能で、その努力と優秀さは、素直に尊敬していた。
そんな中で、オルフェリアとの婚約発表会、あまりにも鮮やかだったオルフェリアのステップに、僕の方がついていけず彼女のスカートを踏んでしまったのだ。オルフェリアは裾をどこかに引っ掛けたと思っているようだったけど、それ以来部屋に閉じこもるようになってしまったので、とても申し訳なく思っていた。
毎日彼女の部屋の扉の前で声をかける日々だったけど、突然親友のルカと言う子の相談をされた。
オルフェリアの閉じこもっていた殻を破れるほどの親友ってどんな人だろうと思っていたけど、それがまさか男だとは思わなかったのだ。
まあ確かに、婚姻ではなく養子に行ったと言う話で気づかなかったことが不覚だし、必要以上の情報を見ようとしなかったのも裏目に出たとは思う。
災害現場にボロボロになりながら一人で来たオルフェリア。あとから聞いた話だと、変装して窓から抜け出して、自作の許可証で門を押し通り、盗賊に襲われながら増水した川を横断し、怪我と発熱を森で採取した薬草で誤魔化しながら来たと言うではないか。
意味がわからなかった。
耳を疑ったし、何かの間違いなんじゃないかと思った。未だに理解はできないけど、ただそれだけ深く、オルフェリアとルカ君は信じ合っている、と言うのだけはわかった。
オルフェリアの婚約者に僕が選ばれたのは誇らしいと思っている。だけど、これだけ衝撃的なものを見せられたのだ。
僕とオルフェリアが婚約している事自体が、二人の仲を引き裂いている気になるのも仕方がないだろう。
少なくともオルフェリアの殻を破らせる事は、僕にはできなかったんだ。
ルカ君の方がオルフェリアの婚約者に相応しいと思わざるをえなかった。
「オルフェとは、婚約を解消しようかと思っている」
だから、そう伝えればオルフェリアは喜ぶと思った。そうすればルカ君と一緒になる事ができるから。
「わ、わたし……わたしは……」
だけど予想に反して、オルフェリアは泣き出してしまった。僕は慌ててフォローを入れる。
「お、落ち着いて。……そのほうが、オルフェのためだと思うんだ」
「……私の、ため……?」
「あの友達のことが好きなんだろう?だからあれだけ必死になって助けに行ったんじゃないのか?だからオルフェがあの子と結婚したいと思うなら、身を引こうと思うんだ。また公爵家にも王家にも迷惑かけてしまうけど、しっかりと説明すればわかってくれるさ」
オルフェリアは目を瞬いた。
「……え?私がルカちゃんを?大事な友達ですけど、別にそんなふうに思ったことはないですよ?」
僕はえ?え?と困惑してしまう。
オルフェリアもえ?え?え?と困惑してるようだ。
「……オルフェは、恋愛感情もなく、あんなことをしたのかい?」
「友達って助け合うものでしょう?私も色々助けて貰っていましたし。私、殿下が同じ状況でも助けに行きますよ?」
衝撃だった。
呼吸をするのを忘れた。
世界に一瞬火花が散ったような気さえした。
「ははっ、あははは!」
それと同時に、目に涙が滲むほどの笑いが心の底からこみ上げて来た。
ーー殿下が同じ状況でも助けに行きますよ
それは僕が一番欲しかった言葉だった。
目を背けていた自分の気持ちにようやく気づいた。
そうか、僕はルカ君に嫉妬してたんだ。
あれほどまでにオルフェリアに頑張って貰える事が羨ましかったんだ。
命がいくつあっても足りない冒険も、オルフェリアにとっては友達のための当たり前の行動に過ぎない。
大事なのは結局、相手を思う気持ちそのものということだ。
少なくともオルフェリアの親友枠に入れて貰えただけだって十分じゃないか。愛とか恋とかの前に、まずは僕自身がオルフェリアに追い付かなきゃいけないんだから。
「そうか、それは大変だ、それでは絶対に危険な目に遭うわけにいかないな。ははっ、一ヶ月悩んでいたのがバカらしく思えて来たよ」
そう言って、オルフェリアの頭を撫でた。少し笑顔になったのが堪らなく嬉しい。
「これ、本当に些細なものですけど、私のできる精一杯のお礼です」
そう言って出してきたのは、小さな銀のペンダントだった。中央に小さなロケットが付いている。
「一週間前、私の飼ってるアウルリンクの卵がまた孵ったんです。私が自分の殻を破る事が出来たのは、この鳥のおかげなので、お守りとして卵の殻を砕いたものをロケットに入れて身につけてるんですよ」
そう言って胸元の同じペンダントを見せて来る。ちょっとドキッとしてしまった。
僕は受け取ったペンダントを着けて、その重みを確かめる。指でロケットを摘み上げると中でサラサラと音がした。
「ありがとう、オルフェ。いつか君に追いつけるように頑張るよ。これからもよろしく」
気がついた時には自室のベッドの上にいて、グランツ医師の顔が目の前にあった。
私はどうやら気を失っていたようだ。
私は、落石が当たる直前、殿下が引っ張ってくれたおかげで直撃は免れたらしい。
だけど、その時のショックと限界を超えた体調のせいで意識を失ったとのことだ。
そんな状態の私を殿下はかかえて王都まで戻って来てくれた。
途中で近衛兵が何度も代わろうとしたけれど、殿下は頑として譲らなかったという。
「左肩は骨にヒビが入ってる。丸二日も目を覚まさないほどの高熱だった。しばらくは絶対安静にして貰うぞ」
どうりで痛かったわけだと、どこか他人事のように聞いていた。そういえば衣服も寝間着に着替えている。誰が着替えさせてくれたのかな、とか考えていて、ずいぶんと精神力が鍛えられた自分に苦笑していた。まあ一日で一年分以上の恥ずかしい思いをした気がするから、そうなってもおかしくないかな。
私は変装していたため、私が外出していたことは表沙汰にはならなかった。ブランシェール公爵家には完全にバレてしまったけど、殿下が上手く説得してくれたらしい。
けど殿下はそうもいかず、無断外出の罰として、一か月の謹慎処分が下されたそうだ。
ただ、まあ普段から品行方正であるから、だいぶ軽い処分で済んだ、というのが私は救いだった。
ルカちゃんは無事…でもないけどちゃんと生きて救出された。馬車の事故で命が助かっただけでも奇跡的なのだが、グランツ医師が言うには投薬があと一刻でも遅かったら危なかったそうだ。
本当にどれだけ殿下に迷惑をかけて、助けてもらっただろう。
命を救われただけじゃない。
私の失敗も、勝手な行動も、全部かばってくれた。
謝りたくても、殿下は謹慎中。
その間、私は何度も手紙を書いては破り、会いたい気持ちをどうにか押し殺していた。
そして今日。
ようやく、一ヶ月の謹慎が解けた。
私の怪我も体調も完治したし、面会許可が降りたと聞いて、気づけば駆け出していた。
思いつく限りの感謝の言葉と、謝罪を口にしたが、殿下は一言、無事で良かった、とだけ言ってくれた。
それを聞いてまた、私は泣き出してしまった。
「ただ、オルフェの友達が男だとは思わなかったな」
「えっ?あれ?お伝えしていませんでしたか?」
思わず素っ頓狂な声を出してしまった。
そう言えば、言ってなかった気がする。
ルカちゃんは男系血筋が途絶えた公爵家に、遠縁の男爵家から養子に行ったのだ。
私の中では当然のことだったため、殿下に説明するのをすっかり忘れていた。誤解させてしまっていたのかもしれない。
だけど殿下の次の言葉に、私はまるで頭を殴られたような衝撃で固まってしまった。
「だから……オルフェとは、婚約を解消しようかと思っている」
*
僕は別に聖人と言うわけじゃない。
ただ人よりちょっと世渡りが上手いだけだ。
王位継承権を破棄した時だって、もともと周囲が勝手に持ち上げていただけで、国王なんて面倒なことはやりたくなかった。
だから兄上の為、派閥争いを無くす為、のような言い方をして破棄をしたにすぎない。国王なんてそんなもの兄上がやりたいって言うなら兄上にやらせておけばいいじゃないか。それだけの話だ。美談みたいにしてるのは周りの人間だ。
オルフェリアのことだってそうだ。僕だって男だから、婚約者に対して格好つけたいし、公爵家の人間の命を助けたということであれば相当な恩を売れるだろう。グレイモア公爵家と王家はあまり良好とは言えない関係だ。それを改善できるというのなら、無断外出の罪なんてお釣りが来るぐらい安い。助けられなかったとしても十分なアピールになるだろう。
まあ、つまりは全部下心だ。
オルフェリアの事は婚約前から良く耳にしていた。
妃教育は礼法・言語・政務補佐・宗教儀礼どれも完璧。特に言語は普通三ヶ国語のところを四ヶ国語覚えている。
乗馬の大会では落馬して優勝はできなかったようだが、そもそも男性騎士の部に出るぐらいの腕なのだ。
楽器の演奏も三つの楽器を演奏できる上に頭ひとつ抜け、貴族院での総合成績なんて歴代一位だ。
感情を抑えるのと社交はちょっと苦手なようだけど、それを補って余りある才能で、その努力と優秀さは、素直に尊敬していた。
そんな中で、オルフェリアとの婚約発表会、あまりにも鮮やかだったオルフェリアのステップに、僕の方がついていけず彼女のスカートを踏んでしまったのだ。オルフェリアは裾をどこかに引っ掛けたと思っているようだったけど、それ以来部屋に閉じこもるようになってしまったので、とても申し訳なく思っていた。
毎日彼女の部屋の扉の前で声をかける日々だったけど、突然親友のルカと言う子の相談をされた。
オルフェリアの閉じこもっていた殻を破れるほどの親友ってどんな人だろうと思っていたけど、それがまさか男だとは思わなかったのだ。
まあ確かに、婚姻ではなく養子に行ったと言う話で気づかなかったことが不覚だし、必要以上の情報を見ようとしなかったのも裏目に出たとは思う。
災害現場にボロボロになりながら一人で来たオルフェリア。あとから聞いた話だと、変装して窓から抜け出して、自作の許可証で門を押し通り、盗賊に襲われながら増水した川を横断し、怪我と発熱を森で採取した薬草で誤魔化しながら来たと言うではないか。
意味がわからなかった。
耳を疑ったし、何かの間違いなんじゃないかと思った。未だに理解はできないけど、ただそれだけ深く、オルフェリアとルカ君は信じ合っている、と言うのだけはわかった。
オルフェリアの婚約者に僕が選ばれたのは誇らしいと思っている。だけど、これだけ衝撃的なものを見せられたのだ。
僕とオルフェリアが婚約している事自体が、二人の仲を引き裂いている気になるのも仕方がないだろう。
少なくともオルフェリアの殻を破らせる事は、僕にはできなかったんだ。
ルカ君の方がオルフェリアの婚約者に相応しいと思わざるをえなかった。
「オルフェとは、婚約を解消しようかと思っている」
だから、そう伝えればオルフェリアは喜ぶと思った。そうすればルカ君と一緒になる事ができるから。
「わ、わたし……わたしは……」
だけど予想に反して、オルフェリアは泣き出してしまった。僕は慌ててフォローを入れる。
「お、落ち着いて。……そのほうが、オルフェのためだと思うんだ」
「……私の、ため……?」
「あの友達のことが好きなんだろう?だからあれだけ必死になって助けに行ったんじゃないのか?だからオルフェがあの子と結婚したいと思うなら、身を引こうと思うんだ。また公爵家にも王家にも迷惑かけてしまうけど、しっかりと説明すればわかってくれるさ」
オルフェリアは目を瞬いた。
「……え?私がルカちゃんを?大事な友達ですけど、別にそんなふうに思ったことはないですよ?」
僕はえ?え?と困惑してしまう。
オルフェリアもえ?え?え?と困惑してるようだ。
「……オルフェは、恋愛感情もなく、あんなことをしたのかい?」
「友達って助け合うものでしょう?私も色々助けて貰っていましたし。私、殿下が同じ状況でも助けに行きますよ?」
衝撃だった。
呼吸をするのを忘れた。
世界に一瞬火花が散ったような気さえした。
「ははっ、あははは!」
それと同時に、目に涙が滲むほどの笑いが心の底からこみ上げて来た。
ーー殿下が同じ状況でも助けに行きますよ
それは僕が一番欲しかった言葉だった。
目を背けていた自分の気持ちにようやく気づいた。
そうか、僕はルカ君に嫉妬してたんだ。
あれほどまでにオルフェリアに頑張って貰える事が羨ましかったんだ。
命がいくつあっても足りない冒険も、オルフェリアにとっては友達のための当たり前の行動に過ぎない。
大事なのは結局、相手を思う気持ちそのものということだ。
少なくともオルフェリアの親友枠に入れて貰えただけだって十分じゃないか。愛とか恋とかの前に、まずは僕自身がオルフェリアに追い付かなきゃいけないんだから。
「そうか、それは大変だ、それでは絶対に危険な目に遭うわけにいかないな。ははっ、一ヶ月悩んでいたのがバカらしく思えて来たよ」
そう言って、オルフェリアの頭を撫でた。少し笑顔になったのが堪らなく嬉しい。
「これ、本当に些細なものですけど、私のできる精一杯のお礼です」
そう言って出してきたのは、小さな銀のペンダントだった。中央に小さなロケットが付いている。
「一週間前、私の飼ってるアウルリンクの卵がまた孵ったんです。私が自分の殻を破る事が出来たのは、この鳥のおかげなので、お守りとして卵の殻を砕いたものをロケットに入れて身につけてるんですよ」
そう言って胸元の同じペンダントを見せて来る。ちょっとドキッとしてしまった。
僕は受け取ったペンダントを着けて、その重みを確かめる。指でロケットを摘み上げると中でサラサラと音がした。
「ありがとう、オルフェ。いつか君に追いつけるように頑張るよ。これからもよろしく」
1
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
噂の聖女と国王陛下 ―婚約破棄を願った令嬢は、溺愛される
柴田はつみ
恋愛
幼い頃から共に育った国王アランは、私にとって憧れであり、唯一の婚約者だった。
だが、最近になって「陛下は聖女殿と親しいらしい」という噂が宮廷中に広まる。
聖女は誰もが認める美しい女性で、陛下の隣に立つ姿は絵のようにお似合い――私など必要ないのではないか。
胸を締め付ける不安に耐えかねた私は、ついにアランへ婚約破棄を申し出る。
「……私では、陛下の隣に立つ資格がありません」
けれど、返ってきたのは予想外の言葉だった。
「お前は俺の妻になる。誰が何と言おうと、それは変わらない」
噂の裏に隠された真実、幼馴染が密かに抱き続けていた深い愛情――
一度手放そうとした運命の絆は、より強く絡み合い、私を逃がさなくなる。
お姫様は死に、魔女様は目覚めた
悠十
恋愛
とある大国に、小さいけれど豊かな国の姫君が側妃として嫁いだ。
しかし、離宮に案内されるも、離宮には侍女も衛兵も居ない。ベルを鳴らしても、人を呼んでも誰も来ず、姫君は長旅の疲れから眠り込んでしまう。
そして、深夜、姫君は目覚め、体の不調を感じた。そのまま気を失い、三度目覚め、三度気を失い、そして……
「あ、あれ? えっ、なんで私、前の体に戻ってるわけ?」
姫君だった少女は、前世の魔女の体に魂が戻ってきていた。
「えっ、まさか、あのまま死んだ⁉」
魔女は慌てて遠見の水晶を覗き込む。自分の――姫君の体は、嫁いだ大国はいったいどうなっているのか知るために……
その婚約破棄は喜ばれた――猫が未来をつむぐ国
イチイ アキラ
恋愛
国王と寵姫の息子であるアシュトン王子は、己の婚約者に婚約破棄を告げた。
ところが、その婚約破棄は喜ばれてしまう。しかも彼女には本当に好いた男がいた様子。
あれぇ? となるアシュトンに、弟王子のジェラールが教えてくれた。
「真実の愛ですよ」
…と。
根暗令嬢の華麗なる転身
しろねこ。
恋愛
「来なきゃよかったな」
ミューズは茶会が嫌いだった。
茶会デビューを果たしたものの、人から不細工と言われたショックから笑顔になれず、しまいには根暗令嬢と陰で呼ばれるようになった。
公爵家の次女に産まれ、キレイな母と実直な父、優しい姉に囲まれ幸せに暮らしていた。
何不自由なく、暮らしていた。
家族からも愛されて育った。
それを壊したのは悪意ある言葉。
「あんな不細工な令嬢見たことない」
それなのに今回の茶会だけは断れなかった。
父から絶対に参加してほしいという言われた茶会は特別で、第一王子と第二王子が来るものだ。
婚約者選びのものとして。
国王直々の声掛けに娘思いの父も断れず…
応援して頂けると嬉しいです(*´ω`*)
ハピエン大好き、完全自己満、ご都合主義の作者による作品です。
同名主人公にてアナザーワールド的に別な作品も書いています。
立場や環境が違えども、幸せになって欲しいという思いで作品を書いています。
一部リンクしてるところもあり、他作品を見て頂ければよりキャラへの理解が深まって楽しいかと思います。
描写的なものに不安があるため、お気をつけ下さい。
ゆるりとお楽しみください。
こちら小説家になろうさん、カクヨムさんにも投稿させてもらっています。
わたくしが悪役令嬢だった理由
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、マリアンナ=ラ・トゥール公爵令嬢。悪役令嬢に転生しました。
どうやら前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生したようだけど、知識を使っても死亡フラグは折れたり、折れなかったり……。
だから令嬢として真面目に真摯に生きていきますわ。
シリアスです。コメディーではありません。
悪役令嬢だった彼女についての覚え書き
松本雀
恋愛
それは悲しみというより、むしろ一種の贅沢だったのかもしれない。日々の喧噪の中で、誰かの存在を「思い出す」という行為ほど、密やかで贅沢な時間はない。
◆◆◆
王太子との婚約を破棄され、「悪役」として物語から退場した彼女。
残された私は、その舞台にひとり立ち尽くす。ただの友人として、ただの照明係として。それでも記憶のなかで彼女は、今も確かに呼吸している。
これは、悪役令嬢の友人の記憶をなぞりながら辿った、ささやかな巡礼の記録。
【本編完結】真実の愛を見つけた? では、婚約を破棄させていただきます
ハリネズミ
恋愛
「王妃は国の母です。私情に流されず、民を導かねばなりません」
「決して感情を表に出してはいけません。常に冷静で、威厳を保つのです」
シャーロット公爵家の令嬢カトリーヌは、 王太子アイクの婚約者として、幼少期から厳しい王妃教育を受けてきた。
全ては幸せな未来と、民の為―――そう自分に言い聞かせて、縛られた生活にも耐えてきた。
しかし、ある夜、アイクの突然の要求で全てが崩壊する。彼は、平民出身のメイドマーサであるを正妃にしたいと言い放った。王太子の身勝手な要求にカトリーヌは絶句する。
アイクも、マーサも、カトリーヌですらまだ知らない。この婚約の破談が、後に国を揺るがすことも、王太子がこれからどんな悲惨な運命なを辿るのかも―――
【完結】無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない
ベル
恋愛
旦那様とは政略結婚。
公爵家の次期当主であった旦那様と、領地の経営が悪化し、没落寸前の伯爵令嬢だった私。
旦那様と結婚したおかげで私の家は安定し、今では昔よりも裕福な暮らしができるようになりました。
そんな私は旦那様に感謝しています。
無口で何を考えているか分かりにくい方ですが、とてもお優しい方なのです。
そんな二人の日常を書いてみました。
お読みいただき本当にありがとうございますm(_ _)m
無事完結しました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる