イケメン騎士の貞操を奪ったのは誰だ!ーイケメン嫌いな私と彼の密かな追いかけっこの行方

黎明まりあ

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第3章 ウワサの行方(ゆくえ)

33、会いたくない人<前>

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 はぁ~っ、食堂のご飯が恋しいわぁ~

 した果物くだものをムシャムシャかじりながら、マーガレットはため息をついた。

 しかもココ、風下かざしもになるらしく、かなりにおう……

 それもそうだ、マーガレットが居る場所は、馬小屋が近い。

 干物ほしものを持っていないもう片手で、マーガレットは自分の鼻をつまんだ。

 少し前に立て続けに起こったエドワード様との遭遇そうぐうは、マーガレットにかなりの衝撃しょうげきを与えた。

 さすがにこれ以上エドワード様と接触せっしょくする機会が増えると、いつかファンクラブメンバーにエドワード様のご乱心らんしん場面を目撃されそうな気がして、マーガレットはエドワード様をけた方がいいと考えたのだが……問題はどうやってエドワード様に会わずに食堂でお昼を食べよう?ということだった。

 職場は、やはり高貴な方々の衣装をあつかう場所なので、そもそも飲食は厳禁げんきんだ。

 自分の宿舎しゅくしゃに戻るのも、往復おうふくの時間がまぁまぁかかるため……面倒めんどう

 いい案が思いつかなくてたまらずマリコさんに相談したところ、そもそも食堂に行かなくて、自分でお昼用意して誰もいないところ食べたらイイじゃん!というかみ回答が出てきた。

 しかし、オススメ場所は、おトイレ!らしい。

 なんでも、マリコさんの知識では、「ぼっちメシはおトイレ!」という考えが普通だったとのこと。

 マリコ語の「ぼっち」って何?と疑問に思いながら、マーガレットはマリコさんの説明をふんふん言いながら聞いていたが、残念ながらマリコ案は採用さいようになった。

 ここ王城では大勢おおぜいの人々が働いている。
 しかも誰も彼もが結構けっこう忙しい。

 サッサと用を足してサクッと現場に戻らないといけないのに、少ないトイレ個室の一室をそれなりの時間占拠せんきょしていたら、たちまちドンドンと扉をたたかれ、早く出ろと督促とくそくされてしまう。

 皆んな忙しいから、サボりに対する目もきびしく、すぐ上司に報告され、何らかの罰が与えられるだろう。

 そうマリコさんに説明したところ、じゃあ、どこでもイイからクサい場所へ行け!と言われ、ひらめいたのが、ここ馬小屋だった。

 しかも普段騎士様たちが利用される軍馬がいる場所は、馬との関係性を高めるために、頻繁ひんぱんに騎士様がいらっしゃると聞いたことがあるので、マーガレットたち下級官吏かんりが利用できる馬たちがいるところにした。

 確かにこのお昼どき、馬を世話する者たちも食堂へ行くので、誰にも会わないけど……

 プーンとする動物特有とくゆうのニオイと、ヒヒィーンという声だけの場所で、少量の携帯食を食べ続ける日々は……わびしい

 せめてにおいだけは遮断しゃだんしたいと、鼻をつまみながらも……マーガレットの頭の中には、エドワード様のことでいっぱいになっていた。

 ひとつ、制服しとはいえ、手の平でつかめるほど立派なっぱいの感触かんしょくは、「ごちそうさま」を思い出すこと

 ひとつ、マリーという誰も使わない愛称あいしょうで呼ばれたこと

 ひとつ、「約束を覚えている?」と問いかけられたこと

 胸の中から見上げた美しいお顔が、あの泥酔でいすいした朝に見上げた顔と、遠い記憶にある天使の笑顔とかさなりそうになったところ……

『食べちゃった相手とおもい出の天使クンと城内イチのイケメン騎士が同一人物だったってコトか……』

 マッ、マッ、マリコさぁ~ん!
 そのセリフは、主人公であるワタシが、たっぷり間をめてから言うコトでしょう!!

 マーガレットは思わず、鼻をつまんでいる指に力を入れてしまった。

 アッテテテッ

『だって、どうせ、さっきのつぶやきの続きは「ねっ、どう思うマリコさん?」って言うつもりだったでしょう?
 だから、親切にも先に出てきて、結論を言ってあげたワケ!

 だってそうしないと、この物語、全然進まないじゃん!
 読んでる人もいい加減かげん、先イケよ!と絶対思ってる!』

 いやいやいや、やっぱりソコはねぇ、ワタシが物思いにふけって、つぶやかないと……

 そう反論したマーガレットだったが、マリコさんの「呼び出しされているって言ってなかった?」という言葉で全てをふうじられてしまう。

「そうだった!
 問い合わせがあるって言われてたわ!」

 念のため、なるべく城内を歩き回ることもけていたマーガレットだったが、今回は、前、自分が刺繍ししゅうした場所についての件だったので、気は全く進まないが、どうしても自分が行かなければならなかったのだ。

 しかも、呼び出しぬしは……

「ロベリアなのよねぇ~」

 5歳年下の義妹いもうとだ。

 手に残っていた干物ほしもの一気いっきに口の中に入れ、もぐもぐ咀嚼そしゃくすると、若干じゃっかん遠い目をしながら、手をパンパンとはらい、マーガレットは渋々ひぶしぶ立ち上がった。
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