王道学園のコミュ障ニセチャラ男くん、憧れの会長と同室になったようで

伊月乃鏡

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密着! 夏休み旅行!

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そう、水瀬は少し前から部活の変更やら何やらに追われていて、ろくに会えていなかったのだ。いいことだよ? いいことだし俺だって今更友達にベタベタそんなするわけないし? そんな毎日旧校舎にいるか確認していなくてがっかりなんて──

「そういや今日からまた委員会行けっから」
「マジ!?!?」
「おーおー喜ぶな喜ぶな」

やったー!!!!!!!!!
ごめん強がりました。嬉しいです。できればたくさん一緒に遊んでほしいと思っています。数少ない友達なので。

ちなみに数少ない友達ってずっと言ってるのは、俺は小学校の頃から友達をカウントしているからである。この学校の友達数? 二人ですが。おい、笑うな。

「しばらく来れてなくて悪かったな委員長」
「良いに決まってんだろ! ウチは自分の進路や夢優先。委員会ってのはより良い進路のための布石でしかないんだから、」
「でも寂しかったろ。お前は友達がいない」
「は!? いっいいいるし!?!? 別に周囲のキャピキャピに付いていけず、しかし今自分が不機嫌や気まずさをあらわにしてはいけないと思って草木に語りかけてたりとかしてねぇし!!!!」
「ちょっと目離した隙に可哀想なことになるなぁお前は」

もう言っちゃいけんこと全部口から出る。死のっかな。

「面白すぎるだろお前。ちょいちょい顔出せば良かったな~~何でそんなに陰キャ極まってるんだよ」

根暗だからだよ。たとえ体育祭で活躍しようが舎弟がなぜか増えようが係る範囲が広がろうが根暗だからこんな奇行に走るんだよ。
俺の性質を知る人間からは時折、人生に何か悲観的になる理由があったんじゃないかと聞かれる。

「あったんか」
「ねぇよ。あったら苦労してねぇよ」

無い。別にガキの頃も全然根暗だった。言葉は足りなけりゃ性格も悪いしすぐに手足が出る。乱暴者タイプの根暗である。

そんで中学に上がり、姉に似て荒い気性を押さえつけるとあら不思議姉とは正反対の暗いインキャの完成である。

「根明な奴が根明な理由がないように、根暗にも根暗な理由はなくて良くね……? 何で人が悲観的で文句ばっかりでそのくせプライドが高い社会不適合者ってだけで人生の機微を疑われるんだ」
「悲観的で文句ばかりで無能な割にプライドだけ高い社会不適合者だからじゃね?」
「ハイ」

水瀬の正論パンチ、いつも周りに崇められたり煽てられて調子に乗りかけた俺を諌めてくれるから好きだ。なんかそう言う奴隷持ってた王様いたよな。

「悲しいことに、俺の言う『あの頃のこれが原因』は十中八九インキャでいて良い理由探しなんだよ。あの頃これがあって、だから仕方ないよねって誰にともなく言い訳してんだよ」

水瀬と並んで廊下を歩く。歩けば歩くほど影の形が変わって、一定を超えたらまた戻っていくのが面白かった。こんなものを面白がっているので俺はぼっちなのである。

「その癖に嫌がらせされてんだな。なんか可哀想だ。ハムスターに細い棒の上を渡らせてるのを見た時みたいな気持ちになる」
「何だその可愛いア○ギは」

しかしそう、俺はハムスターなのである。水瀬は呆れ顔で俺の手持ちの袋を見て、俺もため息で返す。本当ならこれは全部キャンプファイアーとかにくべてしまいたいのだが。

「全部見ずに捨てるとかしねーの?」
「んや……たまにホンモノ入ってるし」

本当のラブレターが入っている時もあり、さすがに捨てるのはしのびないので全部手で精査している。こういうのこそをAIがやってくれよ~~

「あとあれだな」
「?」

ここ最近の懸念といえば、でパッと出てくる悩みどころがら俺にはあった。
それはある日、旧校舎で拾った小冊子について。

「俺の本。大切にしてくれてた人だから、拾ったの見てたら返してほしい的な手紙くんじゃないかなと思って」
「……なるほど」

水瀬は何だか呆れ返っているようだった。お前良い奴だな、と呟かれるが、これがあまり褒めていないのは俺だってわかる。

「そ? っへへへ!!」

まぁ水瀬から嘘でも褒められるのは珍しいので調子に乗るんだけど。
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