ドS皇子が婚約破棄までして歳上教師の俺に求愛してくる

Q矢(Q.➽)

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34 皇城だより。進捗

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「おはようございます。
可愛い寝顔ですね。」

「……ぉはよ。朝っぱらからちんこまさぐるのやめてくれる?」

翌朝、俺が虫に這われているような違和感で目覚めると、めっちゃ良い笑顔の宇城に腕枕されていた。かったい。
何か硬いなと思ってたら宇城の腕だったのかよ。首痛って。
結局あの後直ぐにことんと眠りに落ちた宇城に、俺は悶々としながらも一緒に横になっていた。抱きしめられて剥がれなかったから仕方ない。酔ってヘロヘロだった癖にその力は何なんだ。
結局その状態で一晩寝てたんだけど、何時の間に腕枕されてたのか覚えがない。
今誰かがここだけ見たら事後だよな…と思ってたら、俺が起きたのを感知したのか隠月が入ってきた。ベッドの上にいる俺達を見て一瞬静止して、次になるほど…みたいな顔をしてから深々と礼をされる。

「おめでとうございます。」

「悪いけど誤解だ。」

俺は未だ未開通ですが。






何故か上機嫌の宇城は、俺の部屋で遅めの朝食を一緒にとった。
なあ、第三皇子ってそんなに暇なの?何か俺んとこにいる率高くない?勉強とか公務とかないの?

因みに今朝のメニューは小海老と貝柱入り、三つ葉とクコの実トッピングの中華粥。ちょっと生姜の風味もする。
朝に粥って、もしかして昨日宇城が酔ってたから?
こないだ元の部屋の夢を見た時にキッチンにレトルト粥のパウチがあった事を思い出した。
やっぱり只の夢じゃなくてリンクしてたのかも。あっちの俺の額に貼りついてた冷却シートと粥。あっちの世界に行って早々に風邪ひいて熱出したとしか思えんが。

レンゲに掬った粥を小刻みに振りながら冷ますのは俺の癖だ。息を吹き掛けて冷ますよりこっちの方が早い気がするからだ。あくまで俺自身の体感でしかないけれど…。


「昨日、先生の御両親にお会いしてきたんですが…。」

同じく粥を品良く啜っていた宇城が、レンゲを置いて口を開いた。

「先生?」

「はい、七晴さんの。」

「…あ、俺か。…え?俺の?」

この世界の俺の両親に、って事か。

「マスコミでの正式発表の前に状況をお話しなければならないなと思いまして。
お二人には何とか時間のご都合をつけていただけたのが昨日なんですよ。」

「そうだったんだ。」

「すみません。一緒に連れて行くのは、未だ無理かと思って敢えて言いませんでした。」

「まあ、そだな。」

元々の此方の世界の俺と、俺とは性格が全く違うようだし、親子仲は良くなかったとは聞いたけど、それでも実の親なら違和感に気づくかもしれない。
というか、親じゃなくても元の俺を知っている人間相手に見抜かれないっていう自信が無いから誘われても行かなかっただろうし、口にするだけ意味の無い行為になっただろう。宇城の対応は正解だ。

「元気そうだった?こっちの俺の親。」

元の世界の両親の事を思い出しながら、一応そう聞いてみる。ドライかもしれないけど、見た目は同じかもしれないけど、こっちの親は俺にとっちゃ会った事も無い他人だ。

「お元気でしたよ。相変わらずご多忙なご様子でした。
婚約破棄でも結婚でも、此方のタイミングにお任せしますと仰っていただきましたよ。今後は気遣いはご無用だとも。」

「…ま、好きにしろって事ね。」

一応息子が皇族と結婚するってのに何つー言い草だよ。仲が悪いというより無関心なのでは?
別に思い入れがある訳でもないのに何となくゲンナリして、俺のレンゲも止まる。

「まあ、自由にして良いというのならありがたい事ですが。」

「皇族が絶対の国で反対される事なんてあるのか?」

「最初の打診の段階では、身分違いを心配される親御さんも多いと聞いてます。」

「あー、まあ普通はそうなんだろうなあ。」

それすら気にかけて貰えないって、何だかこっちの俺が可哀想になってきたぞ…。何故そんなに関係が希薄になったのか、気にならないと言えば嘘になる。
俺と元の世界の両親との親子仲は、ベタベタする事はなかったけど概ね普通だったと思うから、余計に。

「この国は他国より皇族の権威が強めですからね。一般庶民が皇族入りすると苦労するなんて思われているんですね、きっと。
しかし昔のようにしきたりだのにうるさくも無いし、公式行事は純皇族の義務になってますから、配偶者には重責も課せられないんですがね。」

「そうなんだ…。」

「まあ…皇后や、将来皇后に立つ立場になれば話は別ですが。」

「あ、やっぱそういうのはあるんだな。そりゃそうか…。」

長男嫁以外はいきなり気楽って事か。何処の世界もまだまだ大変なんだな、長男って。その分、長男の伴侶になる人はそれなりの家柄でそれなりの人品が問われるのだろうが…。
俺は三男嫁の立場って事になるから、どうやら挙式を挙げるかお披露目するかも本人達の意向が尊重されるらしい。
何だか温度差凄いな。



「そういう訳ですので、これから先はお任せ下さいね。」

宇城はそう言って、隠月の入れた茶を一口飲んだ。
俺はこくこく頷きながら残りの粥を口に運んだ。
元より俺には何も出来ない。
情けないけど、この世界に来た最初から俺は宇城のものだったんだから、選択肢も無い。
そんな状況が俺にとって幸いだったというか、そこ迄苦痛に感じていないのは、宇城が優しいって事もあるけど、元の世界の宇城の事を、俺が憎からず思っていたっていう下地があったからだ。
それに、俺自身が…結構流され体質だから、強引なくらいの方が合ってるみたいだ。
男でも女でも。

「来週中には従姉妹に会って、双方合意の上での婚約解消という事でカタをつけるつもりでいます。
その後は七晴さん用の婚約指輪と結婚指輪をオーダーして…。
それが落ち着いたら、デートに行きましょう。」

宇城は俺を見ながらニコニコしていて、やっぱり機嫌が良さそうだ。

そんな宇城を見ていると俺も何となく嬉しくなって、少し笑って頷いた。

とりま外に行ったら、たこ焼き食べたいな。






















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