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金曜の夜、2人で
しおりを挟む金曜の夜、ゲームをしてたら炭酸が飲みたくなって1階に降りて冷蔵庫開けたんだけど、開けてから思い出した。一昨日飲み切ってたよ…。
しまった。学校帰りに買っときゃ良かった。
でもそこで諦めて寝るには未だ少し勿体なく感じるじゃん、週末の夜って。
なので、近所のコンビニ迄行く事にする。
部屋に戻ってパーカー羽織って、スマホをポケットに突っ込む。財布は…いっか。決済アプリで。
シューズを履いて玄関を出ると、夜風はもう冷たい。
そこそこ寒いのわかったのに炭酸欲消えないな…、と思ってたら隣から翔ちゃんがスニーカーの爪先トントンしながら出てきた。
え、何?奇跡?
「翔ちゃん、何処行くの?」
「いや、部屋の窓からマナが出てくのが見えたからコンビニかなって。」
い、以心伝心じゃん…。
「すごい。よくわかったね。」
「…いや、お前、金曜とか土曜の夜って大体コンビニ行くじゃん…。」
把握してくれてる!!愛!?
感動してたら早く来いと急かされた。
そんなちょっと強引なとこも好き…。
朝の登校時じゃないんだし、ゆっくり歩こうよ、と手を掴んでみたら、大人しくペースを合わせてくれる。優しい。
ついでに手を繋いでみたら一瞬微妙な顔をしてたけど、まあいっか、みたいに繋いだままにしてくれた。超絶優しい。
は…これってもう付き合ってね?
翔ちゃんの手、すごくあったかい。体温高いからかな。
これから寒くなるから抱っこして寝たいなー。
コンビニ迄の道は5分。夜のこの時間は人通りも少ない。
街頭の灯りで見る翔ちゃんの横顔にドキドキする。
静かな暗い夜道を歩いてると、何だか世界に2人だけみたい。
ずっとこうして2人で居たいなあ…出来れば一生。
まあ、5分でコンビニ着いちゃうんだけど。
夜のコンビニって何故か昼より好きなんだけど、僕だけだろうか。
カゴに翔ちゃんと僕の炭酸を取って、ついでにチョコとスナック菓子を入れる。
ちょっと冷えたから、ホットのカフェラテでも買おっと。
「翔ちゃん、カフェラテとか飲む?」
「飲む。」
暖か~い缶も入れようね。2本。
カゴの中を見て自己満足。何だか夫婦みたいだなあ~。
レジを済ませて表に出ると翔ちゃんにホット缶を渡す。
「サンキュ」
と受け取りながら小銭を渡して来る。要らないんだけど返したら怒られるから受け取る。
受け取らないと、
「俺ら未だ自分で稼いでる訳じゃないだろ。ちゃんと取っとけ。」
って叱られるからさ…。
そういう律儀なとこも男前。
経済観念しっかりしてるから家計任せても安心出来そう。
やっぱり翔ちゃんしかいないなあ。絶対翔ちゃんがいい。
缶が熱くて袖で持つ。あったかい。
翔ちゃんはそういうの、平気なんだよな。普通に持って普通に開けて飲んでる。逞しい。
…良いんだ。寒かったからカイロ代わりにしようと思ってたのもあるし。
どうせ何時も冷めてからしか飲めないから、ウチに着いてから飲む事になりがち。
でも良いんだ、あったかいから。
しょんぼりしてたら翔ちゃんが、
「コンビニ来る前って何してたん?」
って聞いてきたから、
「ゲーム。」
って答えたら、
「暇だから行こっかな。帰るの面倒だし泊めて。」
って、一気に気分が天国に引き上げられた。
お風呂断られたけど泊まりには来てくれるの!?!
「……俺寝てる横でオナるなよな。」
……ちょっと気不味い事がバレてても、敬遠せずに気さくに泊まりに来てくれる翔ちゃんはやっぱりすごく男前だ。
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