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ありがち
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例えば 恋人。いや、もうワンランク上げて、婚約者や伴侶の不貞を目の当たりにした時、人はどういう行動をするだろうか。
その場で咎めて罵倒する?
取り敢えず写真を取ってその場は去り、その他の証拠集めをした上で法的措置を取る?
或いは知らないフリで嵐(浮気)が過ぎ去るのを待つ?
有無を言わさず切り捨てる?
対応はひとにより、千差万別かと思われる。
が、俺の場合、おそらくそのどれもに該当はしない。
正解は、疑念が確信に変わった瞬間、全てをリセットして、去る。
これが、恋人や婚約者に悉く裏切られ、5回の婚約破棄を経験した俺の行き着いた対処法である。
佐田川 穂積。28歳。
何の変哲もない、その辺にいそうなありふれたモブである。
その割には結構相手がいたな?ってのは、ほっといて欲しい。
その点は俺自身も、ちょっと不思議に思ってて、酔った時とか仕事中、暇を持て余した時などに(仕事しろ)色々考察したりしてみた事もあるのだが、おそらく…おそらくなんだけど、これが一番近いのでは、というひとつの結論(暫定)に辿り着いた。
ーーちょうどいい…。ーー
多分、コレなのではないか。
(暫定)、じゃなくて十中八九、これだって。間違いない。
自慢じゃないが俺は可もなく不可もない、本当に立派な普通のモブなのだ。
容姿が良くて浮気が心配になる事も、途中で我に返って、(なんでコイツと付き合ってるんだっけ…?)…と、生理的に受け付けなくなりそうな不細工でもない。
マジで頗る普通。
性格すらフラット。
だから、まあ…なんだ。
横に置いときゃちょうど良い引き立て役にもなるし、ちょうど良い抱き枕にもなるし、ちょうど良いペットにもなるし、ちょうど良い…
…きりがねーわ。
とにかく、多分俺って人間は、全てにおいて他人にとって“ちょうど"都合の良い、奇跡のモブなんだろうな、って事。
だからそれなりに需要があるんだな。
特に、何かあって弱ってる人間には、自分を癒す為のリハビリにうってつけみたいで、そういう人がよく寄ってきた。
そしてある程度復活して自信を取り戻したら、大概は同じような行動を取る。
例えば、今現在、俺の契約してるマンションの、俺の部屋の俺が買ったベッドで、俺の何人か前の彼氏を抱いてる俺の53人目の彼氏で、6番目の婚約者であるコイツのように。(ややこしくてすまない。)
ドアを開けた時、6番目の婚約者・大智と、ずっぷり挿入されてる…ええと…、確か…27?28?人目の彼氏だった………ゆ…ゆ、ゆい…ゆえ…違うか、ゆき…ゆし……いや、やっぱあ行だった気がする。
……ゆうき!そうだ、優希!
あ~、すっきりしたァ…。
…じゃなかった、27か28か29人目らへん(この辺ははっきりしなかった)の彼氏であった優希は、真っ最中でめちゃくそ汗だくでおせっせなさっていたのに俺の姿を確認した瞬間、大智はギョッとした顔をしたし、優希はパァァッ と、喜色満面の笑顔になった。
まあ、わかる。
大智はバレちゃってメンドクセ…で、優希は略奪成功!!だよな。
フゥ、とちょっと溜息をついて苦笑いする俺。
「さすがに俺ん家に連れ込むのはルール違反でしょ。笑」
せめてホテル行きなよ~、と、脱ぎ散らかされた2人の服を拾い左腕に掛けながらやんわり愚痴る俺。
…アレ?俺今、お母さんじゃん…。
驚いちゃって萎えたのか、頭を掻きながら大智がベッドを降りてきた。
「ごめん…酔ってて、出来心でつい、、、」
「今日休みだって言ってたもんな。」
え?そういう返し?
と言わんばかりの大智の戸惑いが伝わってくるが、別に逆上も責めもしねえっての。
そんな性格でもないだろ、俺。
何期待してんの…。
「家で飲んだんじゃないのにわざわざ連れて来たの?変な事するね。」
リビングにもここにも酒やツマミの皿なんてものはひとつも無かった。
そして、大智はそういうものの片付けを出来るタイプじゃない。てことは、本当に飲んだなら外って事になる。
「…本当にごめん。」
頭を下げる大智と、下げられる俺、
それを未だにベッドの中でニヤニヤ見ていた優希、という妙な図になっていた。
ヤレヤレ、とチェストの上に鞄を置き、空気を読まず着替えを始める俺。
途端に2人共がギョッとお揃いの顔になった。
仲良いな。
「ち、ちょっと穂積!!?」
「ひ、久しぶりのづみの肌…」
……何なんお前ら…。
その場で咎めて罵倒する?
取り敢えず写真を取ってその場は去り、その他の証拠集めをした上で法的措置を取る?
或いは知らないフリで嵐(浮気)が過ぎ去るのを待つ?
有無を言わさず切り捨てる?
対応はひとにより、千差万別かと思われる。
が、俺の場合、おそらくそのどれもに該当はしない。
正解は、疑念が確信に変わった瞬間、全てをリセットして、去る。
これが、恋人や婚約者に悉く裏切られ、5回の婚約破棄を経験した俺の行き着いた対処法である。
佐田川 穂積。28歳。
何の変哲もない、その辺にいそうなありふれたモブである。
その割には結構相手がいたな?ってのは、ほっといて欲しい。
その点は俺自身も、ちょっと不思議に思ってて、酔った時とか仕事中、暇を持て余した時などに(仕事しろ)色々考察したりしてみた事もあるのだが、おそらく…おそらくなんだけど、これが一番近いのでは、というひとつの結論(暫定)に辿り着いた。
ーーちょうどいい…。ーー
多分、コレなのではないか。
(暫定)、じゃなくて十中八九、これだって。間違いない。
自慢じゃないが俺は可もなく不可もない、本当に立派な普通のモブなのだ。
容姿が良くて浮気が心配になる事も、途中で我に返って、(なんでコイツと付き合ってるんだっけ…?)…と、生理的に受け付けなくなりそうな不細工でもない。
マジで頗る普通。
性格すらフラット。
だから、まあ…なんだ。
横に置いときゃちょうど良い引き立て役にもなるし、ちょうど良い抱き枕にもなるし、ちょうど良いペットにもなるし、ちょうど良い…
…きりがねーわ。
とにかく、多分俺って人間は、全てにおいて他人にとって“ちょうど"都合の良い、奇跡のモブなんだろうな、って事。
だからそれなりに需要があるんだな。
特に、何かあって弱ってる人間には、自分を癒す為のリハビリにうってつけみたいで、そういう人がよく寄ってきた。
そしてある程度復活して自信を取り戻したら、大概は同じような行動を取る。
例えば、今現在、俺の契約してるマンションの、俺の部屋の俺が買ったベッドで、俺の何人か前の彼氏を抱いてる俺の53人目の彼氏で、6番目の婚約者であるコイツのように。(ややこしくてすまない。)
ドアを開けた時、6番目の婚約者・大智と、ずっぷり挿入されてる…ええと…、確か…27?28?人目の彼氏だった………ゆ…ゆ、ゆい…ゆえ…違うか、ゆき…ゆし……いや、やっぱあ行だった気がする。
……ゆうき!そうだ、優希!
あ~、すっきりしたァ…。
…じゃなかった、27か28か29人目らへん(この辺ははっきりしなかった)の彼氏であった優希は、真っ最中でめちゃくそ汗だくでおせっせなさっていたのに俺の姿を確認した瞬間、大智はギョッとした顔をしたし、優希はパァァッ と、喜色満面の笑顔になった。
まあ、わかる。
大智はバレちゃってメンドクセ…で、優希は略奪成功!!だよな。
フゥ、とちょっと溜息をついて苦笑いする俺。
「さすがに俺ん家に連れ込むのはルール違反でしょ。笑」
せめてホテル行きなよ~、と、脱ぎ散らかされた2人の服を拾い左腕に掛けながらやんわり愚痴る俺。
…アレ?俺今、お母さんじゃん…。
驚いちゃって萎えたのか、頭を掻きながら大智がベッドを降りてきた。
「ごめん…酔ってて、出来心でつい、、、」
「今日休みだって言ってたもんな。」
え?そういう返し?
と言わんばかりの大智の戸惑いが伝わってくるが、別に逆上も責めもしねえっての。
そんな性格でもないだろ、俺。
何期待してんの…。
「家で飲んだんじゃないのにわざわざ連れて来たの?変な事するね。」
リビングにもここにも酒やツマミの皿なんてものはひとつも無かった。
そして、大智はそういうものの片付けを出来るタイプじゃない。てことは、本当に飲んだなら外って事になる。
「…本当にごめん。」
頭を下げる大智と、下げられる俺、
それを未だにベッドの中でニヤニヤ見ていた優希、という妙な図になっていた。
ヤレヤレ、とチェストの上に鞄を置き、空気を読まず着替えを始める俺。
途端に2人共がギョッとお揃いの顔になった。
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……何なんお前ら…。
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