傾国の性悪Ωは悪役令息に恋をする

Q矢(Q.➽)

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発現 (※微R18表現)

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(あ、始まりそうかも…。)


そう思ったのはエリオの匂いを感じて翌日の事だ。

何が?

勿論、ヒートだ。

Ωとして生きる上で最大にして最悪のネック、発情期。


(最悪だァ…。)


朝食の席迄は少し熱っぽいかなって程度だった。
それから部屋に帰って、エリオも勉強の時間で自室に戻り、俺も借りてる客間に帰ってベッドに座って本を読んでいたのだが。


「…ぁっつい…。」


火照ってきた。
下腹の奥がムズムズする。
脈が乱れている。

この様子では夕方には本格的に突入してしまうだろう。
他人の家でそれはならぬな。流石に迷惑。

一刻も早く屋敷に帰り、部屋に籠る準備をしないと。

番持ちの公爵閣下や兄君は大丈夫だろうけど、エリオはもしかしたら…という危惧。

俺は取り敢えず、常に携帯している抑制剤を水で流し込む。
そして帰る旨を伝えようと部屋を出て、エリオの部屋のドアをノックした。

「エリオ、すまないんだけど、使いを出してウチの馬車呼んでくんないかな。」

少しすると部屋のドアが開いた。

出て来てくれたエリオは顔が赤かった。
目が潤んでて、息苦しそうな様子。
…あれ、まさか…これって、まさか…。

風邪…では、ないよな。
朝普通だったもんな。

「急に、なんか…体が…。」

エリオの、戸惑いを含んだ不安げな声に確信する。


(…遅かった…。)


きっと発現しかかってるエリオの匂いに俺がまずアテられて、それでヒートが来た俺のΩの匂いに反応したエリオがアテられる、というややこしい事態が起きたのだ。

今、俺達はお互いに欲情しているんだ。


しかし、しかしだ。

エリオは未だ発現したてで、しかも同じ歳の連中よりだいぶ純粋で奥手な…なんつーか、中身は少し幼い。
性知識なんてあんまり無いんじゃないかなんて思ってしまう。

…まあ?俺だって?実際セックスした事はないけど?

座学だけだけど房中術なら習ったし、知識はある。

何も知らないエリオのアレをああして、コレをこうして気持ち良くさせるなんて、御茶の子さいさいですけど?

かといって、ホントにそれやるとまるで子供においたをする悪い大人みたいじゃないか…と思って、俺は手を後ろで組んだ。

エリオに触っちゃダメだ。
きっと抑えがきかなくなる。

今は速やかに、この屋敷を去らなくては。


「ごめんな、それ、俺のせいなんだ。
直ぐに屋敷に戻るから、エリオも医師を呼んで早目に抑制剤を…、」


そう言った途端、肩を掴まれて部屋に引き入れられた。
腹をエリオの腕で抱えられ、無様に膝をつく事はなかったが、びっくりはしてる。
後ろでドアが乱暴に閉められた音。

そして、力の入らない体は簡単に自由と唇を奪われた。

エリオに。



「嫌だよ、帰らないで…。」


俺より少しだけ背の高い細い体は、少し震えながら俺を抱きしめる。
部屋に充満する甘い匂いが鼻腔を、耳孔を、口腔を犯していく。

(こんなにも、突然に…開花するのか、、、。)



この匂いは完全に覚醒したαのものだ。

今迄のαと違うのは、それがとてつもなく馨しいものだという事。
それから、俺の嫌悪する、生々しい獣じみた欲望で制圧しようとするものではないという事。


「いいにおい…セス、とってもいいにおい…。」


俺の首筋や顎に鼻を近付け、肩を腰を抱いて離さないエリオ。

俺にエリオの匂いが濃厚に嗅ぎ取れているように、エリオにもこの部屋は俺の匂いでいっぱいなんだろうか。


先刻飲んだ抑制剤は、全く間に合わなかったらしい。

完全に発情させてしまった。


「お願い、セス、帰らないで。そばにいてよ。」

甘えた声で俺の股間に自分のを擦り付けてくるのが堪らない。
きっと初めての事で、どうして良いのかわからないんだ。
でも、溜まった熱を解放してくれるのが、俺(Ω)だと 本能的に知っている。


(これは、責任を取らなきゃいけないよなあ…。)


顔を見ると、先刻よりも目がとろんとしてきて、切なげに求めるように眉を寄せた表情。

そんな顔ですら、エリオは綺麗だ。

こんなに可愛いαは初めてだ。


(ああ、可愛いなあ…欲しいな…。)


昨日、冗談半分で考えた事が
熱っぽい頭を過ぎる。


いっそ、エリオと番になっちゃえば、なんて。






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