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未来編 思春期くん。 2 (葵)
藤川葵、15歳。高一。α。
九州の、とある地方都市に住んでいる。
理想のタイプは母である藤川洸。
尊敬してるのも、藤川洸。
そして、憧れてるのは、藤川丞。
子供の頃から圧倒的に格好良い、僕の父親で、目標とする人だ。
なんだけど…。
「藤川のお父さんって、すんげえカッコイイってマジ?」
そんな事を 今年、高校に入学して新しい交友関係が広がってから、よく聞かれるようになった。
「αなんだよな。葵と同じ。葵にそっくり。」
中学からの友達は父さんを見た事があるから、そんな事を言っちゃうし。
と言うか、それを言うなら僕が父さんにそっくり、って言うべきじゃない?
何時の間にか、僕が一言も発さない内に、僕と父さんの事は知れ渡ってしまった。
元々、公立校ではαは少ないから、噂好きには格好のターゲットなんだろうな…。
仕方ないなあ、まあ今の所害は無いし…
と放置していたんだけど、つい最近、そうも言ってられない事態になってしまった。
高校に入学してから同じクラスになって仲良くなった児玉くん…。
多分、β。
共学なのに何でわざわざ男子を…って思う?
でも仕方ないんだよ、児玉くん、マジで可愛い。
児玉くんは、ヤンキーに憧れている。
小柄で華奢で中学生みたいなんだけど、髪を明るいアッシュグレーにしてきたりして、ピアス(風イヤリング)は勿論いくつも付けてるし、頑張ってる。
形から入るタイプらしい。
なんか三白眼に憧れてるらしいんだけど、それはちょっと無茶かな…。
黒目がちのでっかい目してるから…。
カラコンとか入れてみたら?ってアドバイスしてみたけど、それは怖いから嫌なんだって。可愛くない?
とにかく不良という存在に対するリスペクトが凄くて、よりそこに近づく為に頑張ってるのがいじらしい。
わざとぶっきらぼうに話そうと練習してたり…。努力家だ。
でもなあ…。
圧倒的に顔が可愛すぎて、空回りしてるんだよね。
あと2年くらいしたら、児玉くんも育つのかもしれないから、そうしたら似合ってくる可能性もあるかも。
育った児玉くんも、美人なんだろうなあ。
同クラだから、不良に憧れているにしては真面目に授業を受けてる児玉くんには毎日会えて、幸せ。
猛アピールが実ったのか、最近はすごく距離が縮んで仲良くしてくれてるし、嬉しい。
そんな感じで毎日楽しく片想いライフを送ってたんだけど、ある日のお昼時、そんな児玉くんの愛らしい唇からとんでもない言葉が飛び出してしまった。
「藤川の親父さん、すんげえかっきいαなんだってな。大人になった藤川って感じ?見てみたいなあ。」
「…ソンナコトナイヨ…。」
「いいなあ…背も高いんだろ?憧れる~。」
「……ソウ?」
……。
マズイよね。
これ、マズイ展開じゃない?
児玉くんが父さんに会ったら、父さんを好きになっちゃうかも…。
僕はお弁当(自作)のタコさんウインナーを児玉くんのお口にあ~んしてあげながら、思った。毎日多目のおかずは早くおっきくなりたい児玉くんへの餌付け用だ。
だってウチの父さん、同級生の親よりだいぶ若めだし、息子の目から見てもかなりイケてる大人の男。
…母さんの尻に敷かれてるけどさ…。
「藤川?」
上の空で白飯をつついてたら児玉くんが心配そうに覗き込んでくる。
ぐはっ、かわいっ!!!!!
なんでそんなにおっきなおめめなの?!
高校生なのに!!
「どした~?」
テレビで見るアイドルなんかより全然可愛い…。鼻を押さえて天を仰ぐ僕。
駄目だ、鼻血を出してしまえば変態扱いされて敬遠されてしまう。
「…うん、なんでもない。大丈夫。」
気合いで興奮をおさめてにっこり笑う。
児玉くんが小さな胸を痛めてしまったら大変だ。
「そう?」
児玉くんは座り直して、
「藤川って時々そんな風にしんどそうにしてるから心配。調子良くなかったらあんま無理すんなよな。」
と言いながら、ひょいっと僕の卵焼きを指でつまんで自分の口に放り込んだ。
そして、超真面目な顔で言った。
「お前が無理しなくて良いように、俺、自分で食うからさ…。」
君のそういうとこ、マジで好きだ。
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