知らない内に番にされ婚約させられたにも関わらず、本日婚約破棄を言い渡されたが俺はそれを甘んじて受ける

Q矢(Q.➽)

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未来編 思春期くん。 4 (葵)


「う~ん…そうだな…。葵ももう高校生だもんな。」

父さんは暫く何か悩んで、

「今夜、話そう。」

と言ってくれた。

「母さんは明後日までは仕事が詰まってるらしいから、俺が話すけど、許可は取っておくから。」

「うん。わかった。」


やっぱ母さんの許可も必要な話なのか。

よっぽど何かあったんだ。
そうだよな。
番解除するとか、あんま無い事だもんな。

その後は特に会話も無く、来た電車に一緒に乗って徒歩含む20分くらいの家路を帰った。
別に話したくなかったとかじゃなく、その間も父さんが色々考えていたようだったから話しかけられなかっただけ。

家に帰り着くと、父さんは真っ直ぐに母さんの仕事部屋に入って行き、数分で出てきて、僕に 「OK出たから。」と言って寝室に着替えに入ってしまった。


それを見届けてから僕も自室へ向かう。

未だ知らない両親の過去に何があったのか、不安半分で、僕は制服を着替えた。

母さんの代わりに晩飯作んなきゃ。






母さんの仕事部屋にお茶と手軽に食べられるようにラップのおにぎりを作って持って行くと、相変わらずすごく忙しそうで、

「おいとくね。」

とだけ言って出ようとしたら、呼び止められた。

「一緒に話してやりたいけど、悪い。
でも、父さんの方が、葵の立場とリンクする部分が多いと思うから、よく聞いて、よく考えてみる良い機会になると思う。」

「うん。」

多分、母さんの言ってるのは、‪α‬としての父さんと僕の…って事なんだろうな。

「葵の将来の参考になると良いんだけど。…おにぎり、ありがとな。」

「ん、どういたしまして。」

お礼を言ってくれた母さんにそう返して、仕事の邪魔にならないよう部屋を出た。


やっぱ母さん鋭いな。見抜かれてた。

僕が今悩んでる事、あらかたわかってるのかもしれない。

暫く仕事部屋のドアを見つめてから、階段を降りた。







リビングには父さんがお茶を入れて待ってくれていた。
カウチソファに座ってるだけで洋画のワンシーンを切り取ったようにサマになり過ぎる人だ。
僕も一応、この人の血を引いてる訳だけど、こんな風になれるのかは自信が無い。

ローテーブルを挟んで向かいに座ると、父さんはじっと僕を見てから、口を開いた。


「最近葵が俺に友達も会わせたくない、って言ってたのは、今日見たあの子に関係ある?」

いきなり核心を突かれた。

「…まあ、うん。」

どう説明していいのかわからないんだけど、、、

「取られちゃいそうって思っちゃうんだと思う。別に父さんにその気は無いのはわかってるんだけど。」

「そうだな。有り得ない。でも、」



ーーーーそれが‪α‬だ。





‪α‬の性質の顕著な例として、自分のモノは囲い込もうとするというものがある。
そしてそれが最も強く顕れるのが、番と言う契約だ。
自分の愛する者、又は執着する者に対する独占欲。
それが機能するのはΩに対してのみだが、βに対しても全く無効と言う訳ではない。但し、βとは番にはなれない。

‪α‬とΩとの力関係としては圧倒的に‪α‬の意向が反映されると言って良い。
だってその気になれば‪、α‬は強引に相手を番に出来るし、解除も出来るからだ。

Ωはヒート時にフェロモンで‪α‬を惑わせると言われるけれど、それは全くΩ達本人に取っては利点ではない。

強引に、あるいは事故で番を結んでしまった場合に、解除とする場合、Ωにはデメリットが更に増える未来しか無い。



ある程度は知らされているその話を、親の口から聞くと何だか説得力がある。

そして、僕の父さんに対する 過剰な程の拒否反応は、反抗期と言うよりは‪、‪他の‪α‬に対する防衛本能なのではないかと言われた。

…言われてみれば、確かに父さんが嫌いな訳でも反発したい訳でもないし、イラッとするのは周囲の人間、特に児玉くんが絡む時だけのように思う。

僕、半人前ながらも自分のテリトリーを守ろうとしてたって事なんだろうか?


「好きな気持ちや独占欲は、何もΩ相手の時だけに発動するもんでもないからな。」

「だよね。だって、‪‪α‬やβやΩの前に、人間だもんね。」

性的な部分では確かに‪α‬とΩは強烈に惹かれ合うんだろうけど、それだけじゃないよね。
一般的な大多数、平凡層って位置付けのβにだって魅力的な人はたくさんいる。

児玉くんみたいに。



「そう。バース性に関係無く好きになってしまう事だってたくさんある。
それで、今話した事を前提に、心して聞いて欲しいんだけど、」

父さんは、そこで言葉を区切って、フーっと息を吐いた。
そして、数回息を整え、真っ直ぐに僕に向かって言った。


「父さんと母さんの番契約は、合意じゃなかった。」

「……えっ??!!?」



一瞬、意識が宇宙に飛んだ。



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