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未来編 思春期くん。 7(葵)
「葵は、見た目は俺そっくりの癖に本当に消極的と言うか、控えめと言うか…。
メリット無いと、付き合っちゃダメだと思ってる?本気?」
そう質問されて、少し答えに詰まる。
「…だって、一方的な関係って事じゃん。」
表情が曇ってるのが、自分でもわかる。
それに気づいたのか 父さんは驚いたような表情になる。
「え?だって、あの子はβなんだよな?」
「そうだけど…。」
それが何?
「いや、βって事なら、一方的にはならないだろ。別にΩの子に番になろうって迫る訳じゃなし。
例えば葵が告白したとして、嫌なら断るだろ。
αとΩの力関係はβには適用されないし、告白された事に対する選択肢は彼にあるんだし。」
「!!!」
「葵の事を好きか、受け入れたいと思ってくれたらOKくれるってだけで、その場合は彼にだってメリットはあるじゃん。
自分の事を大好きなカッコいい彼氏とラブラブできるっていう…。」
「…は…、」
ななな、なるほど?!!
確かにそうだよね?!目から鱗…。
自分の気持ちばっかで先回りして、児玉くんの気持ちを考えた事無かった…。
だよね、この先もし告白したとして、嫌なら断るのは児玉くんじゃん。
いやまあ、振られたら悲しいし気不味いかもしんないけど。
万が一、付き合ってくれたらくれたで、僕でも良い(好きかも)って事だもんな?
好き同士なら、一緒にいられるだけで確かにメリットと言える…かもしれない。
「将来的な事はさ、何年も付き合って、一緒に生きていこうと思うようになった時に、また考えたら良い事だよ。
例えば、親の意向とか、子供を持つかどうかとか、そういうのはさ。それは、お互いが本気で一生を添い遂げる気持ちになった時に一緒に考えて解決
していくべき話。
でも今は未だ高校生なんだから、ずっと同じ相手といるとは限らない。他に惹かれる相手が出てくるかもしれない。お互いにな。
一生の事を、今決める必要は無い。」
「…そう、だね。」
もし、付き合えたとして、僕は児玉くんだけをずっと好きだったとしても、児玉くんもそうとは限らないもんね。
「それに、未だ告白すらしてないんなら未来の事で悩むの、無駄だと思う…。気が早いよ。」
父さんは、何か可哀想なものを見る目で僕を見てるけど、それやめて。
「葵って、アレだよね。外見は俺似で、中身は洸さん似で、ちょっと…考え過ぎ…。」
「…ほっといて…。」
母さん似なら思慮深いって事じゃん。良いじゃん…。
父さんに話してくれた事に対するお礼を言って2階の自室に上がった。
(…疲れた…。)
机に乗せてたスマホを掴んでベッドに寝転がった。
友達からの連絡に適当にスタンプを返す。
児玉くんからは来てない。
少しガッカリ。
父さんの話を聞いてたのは 時間にして2時間程度だったけど、なんか人生観がかなり変わった気がする。
聞いて良かった。本当に。
知ってるようで知らなかった事が、多過ぎた両親の歴史。
特に母さんの過去の経歴には驚かされたし、僕が産まれるに至った経緯にも、両親が再び結ばれた事にも…。
再び番を結べなくても、その絆は番というものを既に超えていた。
僕も…。
僕も、バース性に拘らない、自分だけの運命が欲しい。
もし、それが児玉くんなら良いな…。
今は、そう思ってる。
だから僕は決めた。
要は 児玉くんに選択肢を突き付けた時に、僕が児玉くんにとって、誰よりも大事な人になってれば良いって事じゃんね。
児玉くんとそういう話になった事がないから、男女どっちが好きなのかとか、性的指向がどうなってんのかはわからないけど、そういうの関係ないくらい僕を好きにさせちゃえば良いだけじゃない?
胃袋は既に掴んでるから、後は…頼れるなとか、カッコよくてドキッとするとか、趣味が合うとか、とにかく自分には僕が必要なんだ…って思ってもらう。
友達以上に好きになってもらう。
「…よっし。」
僕は決めた。
「本格的に、児玉くんを落としにいくぞ…。」
αの本気を見せてやる。
僕はスマホを置いて、明日の弁当のおかずの唐揚げ(児玉くんの大好物)の仕込みに、 階下のキッチンへ降りたのだった。
~完~
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