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本編後日談
丸い頬に大きな蜂蜜色の瞳。
特徴的な髪の色。
何よりも、その顔立ち。
でも俺よりもう少し和風な柔和さを感じるのは、母親似かな。
なだらかな坂を洸さんと一緒に歩いてくる、幼稚園の制服を着た小さな男の子。ネイビーのクレマン帽が上品だ。
…いや、だけど帽子のゴム、ビロビロだな…?
数十分前 洸さんが、
「幼稚園バスがくる!」
と、大急ぎで迎えに出て行った後、俺は超特急でシャワーを浴びて髪を適当に乾かし、シャツとスラックスを着て、5分前から家の前で待っている。
……お、落ち着かない…。
だって昨日迄、想像すらしてなかった。
俺に子供がいたなんて。
洸さんが俺の子を産んでくれてたなんて。
会いに来る迄は不安もあったけど、洸さんに受け入れてもらった今となっては嬉しさしかない。
子供か…。俺の、息子かあ…。
もう一生、誰とも結婚する気が無かったから持てないと思っていた、子供。
さっき、坂を登ってくる2人の姿を認めた時から、ドキドキしてる。
あの子は俺の事を、未だ知らないから。
「…?」
目の前迄来た子供に見上げられて、どうして良いか戸惑う。
だって子供の相手なんか あんまりした事ないし…。
…と、取り敢えず、屈むか。目線を同じにすると良いとか、ね。
「あ、えーと、葵?この人はな、」
無言で見つめあう俺達を見かねて、葵くんに追いついてきた洸さんがすかさずフォローに入ってくれた。
「…ぼくと、おなじだねえ…。」
すごい観察される、5歳児に。
でもどうやら、何か察したみたい。
この子、かなり賢いんじゃ?
「…葵の、パパだよ。」
洸さんが微笑みながら静かに告げた。
えっ、とびっくりして、目をまんまるにしてから、また俺をまじまじと眺める葵くん。
そして、満面の笑みになる。
「やっぱりね!!あおいのパパはかっこよかったね!!メンクイだったね!!」
「…め、メンクイ?」
「…違うぞ葵。母さんは顔で好きになったんじゃない…。流そうと思ってたけど、やっぱりその誤解だけは解かせて欲しい。」
洸さんがこめかみを押さえながら首を振って言っているけど、何の話…。
取り敢えず、自己紹介だな。
「えっと、初めまして、パパの藤川丞です。」
「たちかわあおい、ひまわりぐみ、ごさいです!」
「…立川洸です。」
変な名刺交換会みたいになった…。
「パパはおっきいので、かたぐるましてください!」
おっきいので、肩車…。
そういや子供の頃って、やたら肩車とかぶん回されるの好きだったな…と思いながら、乗りやすいように更に屈む
と、よいしょ、と 嬉しそうに乗ってきた。
子供の小さな細い足が肩にかかり、首の後ろに頼りない重みがかかる。
柔い太腿に両頬を挟まれ、小さな手が首に回る。
注意しながらそろそろと立ち上がると、頭上から興奮したような幼い歓声が聞こえてきた。
「すごーい!!たかーい!!」
楽しんでくれてるようだ。
「パパはおっきくて、すごいね!!
ほんとにあおいのパパなんだよね?
もういっしょにくらせるの?」
楽しそうな声の中に、少しのさみしさを孕んだ言葉が切ない。
「うん。」
どう答えたものか、ずっとそばに立っていた洸さんを見ると、只、微笑まれた。
え、どっち?それってどっち?
任せるよの微笑みって事で良い?
仕方ないから俺自身の希望を言ってみようか。
「うん、少ししたらお引越ししてきて良い?パパは、葵とお母さんと、一緒に暮らしたいな。」
きゃー!っと歓声。
「ほんと?やったあ!」
あ、良かった。喜んでくれた、と洸さんを見ると、びっくりしてる。
え、もしかして不正解?
アイコンタクト、取り違えてたのか…
と思ってたら、洸さんの目がみるみる潤んできた。
えっ、ごめん!なんかごめん!
調子乗っちゃって!
と 思ったら、
「…本当に?」
と 嬉しそうに泣き笑いしたから、
俺もつられて
「よろしくお願いします。」
って、泣き笑いになっちゃったよ。
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