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兄心、弟知らず。(左近)
しおりを挟む弟の、俺に対する呼び方が変わった。
今迄はニィとか左近とか、外では兄貴とか、場面毎に使い分けてた感があったのに、最近は「左近」一辺倒。
そっかあ、その中でそれが採用されたかあ。
どうせなら 兄貴、の方が良かったな。
なんとなく。
で、左近と呼び捨てオンリーになってからかな、気の所為か 颯が一気に男っぽくなった気がする。
身長も伸びて少し筋肉も付いてきて、顔の輪郭もシャープになってきて、このまま行けば数年後には俺なんかとは比較にならない男前になりそう。
やっぱ美少年は美男子になる道筋が確約されているのか…。
手塩にかけて育てた弟が立派になってくれるのは兄としては喜ばしい限りなんだけど、気になるのはそんな成長を遂げていく一方で、以前にも増して甘えてくるようになった事だ。
俺達兄弟は、元々育った環境のせいか共依存気味ではあった。
特に、颯にとっては俺は兄であると同時に親みたいなもんだろうから、仕方ないのかなあとも思ってた。
でもま、男兄弟だし、成長していけば自然と何処かで自立していくというか…。
特に颯は容姿が良いから、その内恋人でも出来れば 自然と兄弟離れしていくだろうし、そんなに心配ないだろうと悠長に構えていた所もある。
なのに、そういう浮いた恋バナひとつ聞く事も無く…。
いや、俺だって人の事は言えない。
言えないけど、俺の場面は絶対的フツメン過ぎて、多少色恋の流れが来ても相手の女の子にとっては、只の“良い人” で終了してるだけで、見た目から美形の颯とは条件が違うジャン…。
なんなの?颯はそんなに理想が高いの?
このままでは兄弟離れしてくれるどころか、兄、親、恋人まで兼業する事になってしまう…。
と、そんな話を 颯と一緒に風呂に入りながら、要所要所を掻い摘んで話してる。
誤解されると困るんだけど、こんな歳になって迄 普段から一緒に入ってる訳じゃない。颯が中学に上がってからは別だった。
今回は颯が部活で右手首を捻挫してきたからだ。
どうせ頭洗ってやったりしなきゃなんないならいっそ最初から一緒に入った方が合理的かなと。
「要は 俺にカノジョできて左近離れして欲しいって事?」
俺を後ろから抱っこしてる感じで湯船に浸かってる颯が不機嫌な顔で不機嫌な声で言った。
…は、何時の間に…?
尻をズラして向かい側に移動しようとして後ろから腰に腕を巻かれて引き戻される。
脱出失敗。
「何で降りるの。」
「や、だってお前、ちょっと半勃ちっぽいから気不味いし…。」
と言うか、普通あんま弟の膝に乗る兄とか聞かないじゃん。逆ならともかく…。
「…そんな事ないから。只の浮力だから。」
「…いやどっちにせよ変だってば。」
「いたたた…。あんま動かないで…。」
「…ごめん。」
何かと言うと手首痛いアピールをしてくるので、イマイチ強く出られない。
「で、何?俺がウザいって事?」
さっきよりしっかり抱き込まれてる気がするな…。
「いやウザいとかってんじゃなくて、ただ…ちょ…、っと、心配で…ん…、」
「嘘つき。」
後半ちょっと喋りがあやしくなってしまったのは、颯の左手が俺の腹から乳首迄をゆっくり撫で上げたからだ。
嫌がらせをさせないようにその手を掴んで押さえる。
「もう。やめろって。」
「相変わらず感じやすいね。」
「変な言い方すんなっての。誰だってこうなるわ。」
隙をついてザバッと立ち上がり湯船を出る。
そろそろ出なきゃのぼせてしまう。
「俺はホントに心配してるだけだよ。
この先、結婚もしないでずっと2人で生きてくって訳にもいかないだろ。」
育った環境や過程はどうにもならないが、
人は成長したら自立しなきゃなんない。寂しいけど、何時までも兄ちゃんに甘えてちゃ駄目なんよ…。
特に颯は将来有望なんだし、可愛いカノジョ作って、その内兄ちゃんに結婚したい人がいるんだ…とか言ってきてくれよな。
お前さえ結婚して甥っ子か姪っ子でも出来たら、俺はもう自分の将来はボチボチで良いんだからさ…。
先に出ようと顔を洗って流しながらそんな事を考えてると、水音がして後ろから羽交い締めにされた。
びっくりして目を開けちゃったから、
目に、目が!まだ泡が!滲みる!痛い!
慌てる俺をそんな事は全く構わず抱きしめてきて首筋に顔を埋めてくる颯。
いや、先に流させて。
「左近。」
目が開けられない俺の耳元で颯が喋る。
「逃がさないからな。」
「…は、…」
体温が離れて颯がバスルームを出て行く音がする。
目が痛い。
シャワーを出して流しながら今しがたの颯の不審な言動を思い返す。
「…何なんだよ…。」
ずっと全部わかってると思ってた弟の事が、今はひとつもわからない。
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