Two Man Cell

刕 朧㞳

文字の大きさ
上 下
8 / 9
1巻

第7話 望むもの

しおりを挟む
空はすでに日が落ち、
夕焼けが顔を出している。

夕焼けの公園には子ども、、、 
いや、大人が3人。

1人。 ナイフを構えてるもの。

2人。白と黒の長剣を構えているもの。

3人。白い杖を構えてるもの。

しかも仲良く砂遊びやブランコで遊んでいるのではなく、
とんでもないバトルを繰り広げているのだ。

「ほらほらほら!!避けてないで来なさいよ~!」
白のローブを着た女は杖を振るやいなや、
空中に無数のガラスを散りばめ、
それをカクシとイツキに飛ばしているのだ。

「交わすなって言うなら、、、」
イツキはそう言うと、

「オラオラオラァ!!!!」
白と黒の長剣を風車のように振り回し、
飛んでくるガラスを防いだ。

そして、女の目の前まで来ると、
「来いって言ったから来てやったぞ。
このくそがっ!!」

バコっ!!

とイツキはそう言って女を強く蹴り飛ばした。

女は遠くに吹っ飛んで転がった。

「はぁはぁ、、、初めて一発貰ったわ。
、、、そういえば自己紹介が遅れたわ。
わたくしはガラグラ。見ての通り「ガラス」のエレメンター。以後お見知り置きを。」
とガラグラは丁寧にカクシ達に自己紹介をした。

「ご丁寧にどうも。俺はイツキ。
そしてこっちは、、、」

「カクシだ。エレメントは、、、」

スパパパッッッ!!!!

「おい!まだ喋ってんだろ!ガラスてつけてくんな! !」
ガラグラはカクシの自己紹介の途中でガラスを飛ばしまくった。


「たくっ、、どこまでもクソ野郎が。
もう1回、、、一か八か、、、喰らえ!!
雷電激轟雷っ!!!!」
イツキはそう言って両手に持っている剣を
大きく振りかざし、ふたつの剣先から雷を飛ばした。

バッッッッツチンッッ!!!!

イツキの放った雷は見事にガラグラに命中し、
薄ぐろい煙に巻かれた。

「、、、やったか?」
カクシは唾を深く飲み込んだ。

「あ~あ、だから言ったじゃない。
ガラスは、、、電気を通さないのよ」
と煙が晴れると、そこには微動だにしていなく、
仁王立ちのガラグラの姿が。

「やっぱりか、、、俺じゃ歯が立たないのか。
くそっ!」
イツキはとてつもなく悔しがった。

「それくらいで落ち込むなんて、、、
可哀想な男!!!」
そう言うとガラグラは容赦なくイツキ目掛けて
ガラスを飛ばした。

スパパパッッッ!!

、、、カキンッ!!

「、、、バカなのかお前は」
カクシはイツキに飛んできたガラスを
小型ナイフで受け止めた。

「全ての物事には相性ってもんがあるだろ。
火は水で消える。
グーはパーに負ける。
電気が喰らわなかったからってすぐ諦めるのか?それでも俺の知ってるイツキかよ!!」
カクシはイツキに怒りをぶつけた。

「、、、カクシ」

「やっと名前、、、呼んでくれたな」
カクシはニコッと微笑んだ。

「友情ごっこはその辺にしといたら~?
もうすぐであなた方は死ぬんですから。フフッ」
ガラグラは薄気味悪い笑顔を浮かべた。

「死ぬって、、、それならおめぇはムショ行きじゃねぇか」

「あら?知らないんですこと?
エレメンターを殺しても刑務所には行かなくていいいんですのよ?
一般人にとってエレメンターには人権はないんですから」

「それは昔の話だろ!今は変わってきている!」
カクシはガラグラの言葉に腹を立てた。

「それはどうでしょうね、、、本心は分からないことですわ」
と冷徹に返答するガラグラ。

「なら、、、てめぇが死んでも大丈夫ってことだな?」

「まぁ、、、そういうことですわね」

「なら、、、終わりだ」

「はい??」

カクシはそう言うと、右手の手のひらを下にした。
すると、手のひらからドロっと深緑?
黄緑?どちらとも言えない奇妙な色をした
ジェル状の液体が出てきた。
そしてそのまま手をガラグラの方へと振ると
その液状のものをガラグラに飛ばした。

「きゃ!!なにこれ!!気持ち悪い!!」
命中するとガラグラは気持ち悪がった。

「イツキ、、、もう1回電気を放て」

「は?でも、、、」

「いいからうて!!」
カクシは強く言い放った。

「、、、わかったよ!
君がそういうなら!!最大火力をお見舞いしてやるよ!!!!
雷電激轟雷ッッツツツツツツツツツツツ!!!!!!!」

イツキは自分が今出せるフルパワーを
ガラグラに思いっきり放った。

「効くわけないじゃない!!!!
何度やっても同じことよ!!結果は変わらないわ!!」
ガラグラは迫ってくる雷を避けようとせず、
自分は効かないと仁王立ちで受け止めようとした。

バチンッッッッッツツツツツツツ!!!!!!!!!!!!!!

「、、、チェックメイトだ」
カクシはパチンと指を鳴らした。

「、、、なんで、、、食らってるのよ、、、
私はガラスの体を得て、、、、、、いるの、、よ」
なんと今まで効かなかった体がイツキの技を
初めて受けたのだ。

「、、、気が付かなかった?俺がてめぇにぶっかけたあの液体。
あれは腐食液って言ってな、
相手を一時的に腐らせるだ。」

「それが、、、私のガラスと何が、、関係あるのよ」

「ガラスは腐食すると、、、電気を通しやすくなるのさ」

ガラスは腐食したり、劣化すると電気を通しやすくなる性質を持っているのだ。
それを知っていたカクシはその戦法を使い、
見事にガラグラに打ち破った。

「な?!、、、なんで、、、すと」

「お前は自分が無敵だと、強いと勘違い下から負けたんだ
お前はそのまま腐り果てて死ぬ運命だ
言ったよな?エレメンターは死んでもいい。
人権はないって
今のお前に、、、フッ。ぴったりじゃん」
カクシはガラグラに一言そういうと
背を向けイツキの方へと去った。


「わたしは、、、、し、、、」
ガラグラは何か言い残し、そのまま死を迎えた。


「カクシ、、君は、、、」

「気合いの入った一発ありがとな
電気使えるなんてめちゃくちゃいいな!」

「それは嬉しいけど、、、
君もエレメンター、、、なのか?」

「ん?あぁ、言いかけたけど
俺のエレメントは「debuff corrosion virus|
《デバフ コラプション ウイルス》」だ
まぁ、使いどころはムズいけどな」

「なんか、、、厨二病みたいだな」

「エレメンターなんだからもう厨二病確定だろ」


「そうだな」
そう言って2人は笑いあった。

「ところであいつの死体はどうなるんだ?」
気になったカクシはイツキに質問した。

「ん?あぁ、エレメンターの死体は
ガヴァメントが保管するらしい」
エレメンターの死体は危険なため
市や国から任せられているガヴァメントが受け取るらしい。

「そうなのか、、、ますます辛気臭いな」
カクシはガヴァメントのやっていることに怪しさを疑えなかった。

カクシはガラグラの死体の方を見つめていると
死体の横にひとつ輝いているものが見えた。

「ん?これなんだ??」
カクシはその光る方へと近寄ると
水晶玉みたいな球体のものが落ちていた。

「なんだろこれ、、、水晶、、玉?
ちょっとこれイツキ持ってみ」
と言ってイツキに渡した。

イツキはカクシから渡されたその球体を受け取ると
「ん?あぁ、、案外軽いんだな
あれ?なんか中で煙が渦巻いてるぞ、、、
ん?うわっ!!煙が赤くなった!?!」

イツキが手に持った瞬間、
中で渦巻いていた煙が赤く染まってしまったのだ。

そしてそれに驚いたイツキは水晶玉を落としてしまった。

「わっ!割れた!!!
やべぇ!!」

落とした衝撃で水晶玉は割れてしまった。
すると、割れた切れ目から煙が漏れ、
イツキを囲い始めた。

「うわ!なんだこれ!!なんで俺を囲むんだよ!!」

みるみるうちにイツキは煙に囲まれ、
カクシからは姿が見えなくなってしまった。

「おい!イツキ!!大丈夫か!!イツキ!!!
くそ!煙でよく見えねぇ!」

カクシはイツキ纏った煙を必死にはらった。
すると、煙はさっきよりか収まり、消えた。
煙が消えたあとイツキは横たわっていた。

「うう、、、」

「おい!!イツキ大丈夫か!!しっかりしろ!!」
 横たわっているイツキに駆け寄ると
肩を抑えて体を押し上げた。

「ん、、、あぁ、、平気だ
あれ、カクシ、、だ
あれなんか、、、いろいろな記憶が、、、思い出してくる」

なんとイツキはカクシとの昔の思い出を思い出したのだ。

「、、、記憶が思い出してる!?嘘だろ!?」
カクシは驚きを隠せなく、大きな声をあげた。


「ほんとだ、、、
今、、、全部思い出した
高校時のこと。なんで俺がここにいるのか。
全て、、、全て思い出した」
イツキはどんどん忘れていた記憶を思い出し、
カクシの顔を見つめた。

「、、、まじか」
カクシは驚いて口をぽかんと開けたままだ。

「カクシ、、、、」
イツキはカクシを見つめニカッと笑いこういった。

「ただいま。カクシ」


そしてそれにカクシは

「おかえり。イツキ」

と答えた。






















しおりを挟む

処理中です...