異世界でお取り寄せ生活

マーチ・メイ

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第三章

206話目






「桜、文房具は入れられそう? メモ帳とか」

「そう言えば灯里と高梨さんは文房具押しだったね」

「文房具ですか? 例えばどんなものが?」

「ボールペンとかメモ帳とか替え芯とかシャープペンとかかな? クリップもあると便利かも。 書類まとめるのに苦労してるし。 バインダーもあると嬉しいな。 聞き取りながらの書きこみもあるし、現地調査の時にも便利だよね。 あと、コピー用紙とかも綺麗で書きやすいかも」

オーフェンさんが灯里に話を振ったら次々に欲しいものが出てきた。

「……どういう物か見せてもらってもよろしいでしょうか?」

「わしも気になるのう」

そうオーフェンさんとマッヘンさんに言われて、灯里から例に上がった物で今手元にある物をアイテムボックスから取り出してテーブルの上に置いた。

「ボールペンは俺も欲しいな。 いや、そういう魔道具はあるんだが高いし重いんだよな」

「長谷川さん、魔道具あるんですか? と言うか自販機で出すなら値段の高さそう変わらないんじゃないですか? 金貨1枚で1万円ですよ? ボールペン10本入り100円でも1本辺り1000円しますよ?」

「1本1000円なら魔道具よりは安いし軽い。 俺はそっちのが良いな」

「……そうですね、マッヘンさん。 失礼ですがこれ私たちの世界でも作れそうですか?」

「どうじゃろうのう。 分解してみんことには分からんが……中身はインクじゃろ? インクはどうする」

「まず既存ので試して……そこから改良をしていけばどうでしょう」

「そうじゃな、まずは試してみんことにはなぁ」

オーフェンさんから問われ頭を掻きながら答えるマッヘンさん。

自販機で販売からあちらで作成販売の話になってる。

「作れるの?! ならクリップも欲しいな」

「クリップは細かすぎて同じ大きさ作るの無理なんじゃないか?」

「ならどれなら作れるかな?」

こちらはこちらで高梨さんと灯里が盛り上がる。

「そうね、小さな消耗品は難しいかしら……もっと大きくてよく使い作りやすい物……」

そこには春子さんが加わる。

「日付印とかは? 冒険者ギルドって書類全部手書きだろ」

「日付印! いいね」

「日付印ね。 封蝋もあるし作れないことはなさそうな、……それが有りなら卓上の日めくりカレンダーも良さそうね」

え……あの……皆さん楽しそうだけど目的が違うよ?
作れそうな便利な物を考えようの会じゃないんだけど。
そんな中、相良さんから声が上がった。

「コインケースとかはいかがですか? 小銭を纏めるのにあると楽なんですよね」

「それ欲しい。 依頼料貰うと小銭が多い時があるから数えるの大変なんだよね」

相良さんと菅井さんまで。

「それ良いわね。 こっちも数えるの大変なのよ。 ケースが有ったら一目で分かるものね」

あっちこっちの話題に入る春子さん。

「桜」

そんななか長谷川さんに話しかけられた。

「なんですか?」

「俺は10種類くらいビールが有ると嬉しい」

真面目な顔をしてそう答える長谷川さん。
長谷川さんブレないね……どんだけビール推しなの。
いや、この場合私が求めてる回答だけど……なんか納得できない。
もういいや。

「春子さん、こっちで再現できそうな文房具ってそもそも需要有りそうなんですか?」

文房具談義で盛り上がる春子さんに素朴な疑問を投げかけてみた。

「それは販売してみないと分からないわ。 日本で売れる物、あちらの世界で売れる物、そもそも文化や文明が違うんですもの」

「そりゃ……そうか」

「私たちは欲しいから売ってくれると助かるよ。 あっちの世界の人たちも最初は見た目で分からなくても、私たちが使えば興味を持ってくれる人たちは出るんじゃない?」

「本当に需要があればそれを作って売りたい人が出てくるよな」

「桜は販売するときいくらで売るの?」

「私が取り寄せにかかった魔力を円換算して、さらにそこからあっちの世界1金貨1万円換算で売る予定」

「……となると案外職人には良い仕事かもしれないわね。 オーフェン、職人ギルドにも根回しした方が良さそうよ。 今後ネーアの街に大金が降るかもしれないわ」

「そうですね、こちらの世界の食にばかり目を向けてましたが……魔力を使わずにこれほど便利なものがあるとは……嬉しい誤算ですね、ですが桜さんは宜しいのですか?」

「私ですか?」

「はい、私たちの世界の職人が作れるようになれば高価な桜さんの品は購入されない可能性がありますよ」

「それは構いませんよ。 商品は唸るほどありますし、登録する数も限られてますもの。 ……それに私だけでなくみんなの手元にお金が入るのは良いことですもん。 一人に集中するよりも大勢にお金が入り、それがいろんなところで消費されれば経済的にも良いですよね。 となれば職人さん達にはどんどん頑張ってもらわねば」

「そうですね。 となれば少々寄り道をしましたが登録商品を決めましょうか。 あちらでも作れそうな品も選ばねばなりませんね。 皆さんそれを念頭に選んでいただいても宜しいでしょうか? マッヘンさんは作成できそうか出来無さそうか判断してもらえますか?」

「よしきた」

あれ? いつの間にか話が戻って来た。
オーフェンさんの話を聞き、各々アイテムボックスから自身が今持っている文房具を取り出しテーブルの上に置いた。
私も職場で使っていた物を含めてテーブルの上に置いた。
皆のを合わせたら文房具の小さな山が出来た。
一応どれが誰のか分かるようにシールを取り出しそれぞれ自分の持ち物に目印を付けてもらった。

そしてしばらく話し合いは続いた。


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