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第三章
211話目
しおりを挟む商業ギルド
ネーアの街の商業ギルドにて自販機が置かれてから1週間が経った。
「今日もすごい人ね」
自販機を設置した翌日は朝から行列が、その夜からは徹夜組が商業ギルドの前にでるようになった。
一過性の加熱が落ち着くまではしょうがないと思いつつ窓から外を見下ろす。
「異世界の物が自分で選んで購入出来るんですからね」
「そうね、特に商人は必死ね。 あの値段で買っても他の町で数倍で売れるもの。 冒険者もいるけど……そちらは定期的に買う権利があるし」
「今日も面会依頼が何件か入ってますよ。 桜さんを紹介してくれって」
「これだけ派手に売れば商人も勘違いするわよ。 高く売りたいんだって」
目の色変わるわよね。
「そろそろ徹夜組に対しても対応が必要ね……」
「抽選式にしますか、夜に並べないから不公平だって訴えも来てますし」
「それと近隣住民からも夜通しうるさいと苦情も来てるわね」
そう春子と話をしているとドアがノックされた。
どうぞと声をかけるとギルド職員が王都の商業ギルドから緊急連絡が入ってますと告げた。
いよいよ耳に入ったかと思い、今行きますと告げ席を立った。
「久しぶりだな、オーフェン。 要件は分かっているな? まず……そちらの話を聞こう」
王都の商業ギルドのギルドマスター、ザルフか。
販売開始して1週間、購入した人が王都に持ち込んだかな?
「話とは? 私には見当もつきません、失礼ですが御用件をお聞かせ願えますか?」
「……しらばっくれても無駄だぞ。 そちらで直接渡り人の商品を販売しているそうではないか」
「勘違いされているようですね。 こちらの支部では場所をお貸ししているだけですよ」
「は? 場所を貸している? 買取はしてないのか?」
「いくつか買取は致しました。 いつも通りそちらにお送りしたはずですが……お手元に届いておりませんか?」
「確認しろ!! ……だが、販売がなされていると言う事はすべて買い取れたわけではないのだろう? 今販売している自販機? と言う物もろとも買取すぐにこちらに送れ、他の商人に売るんじゃないぞ!! いつものようにな」
「恐れながらそれは出来かねます」
「出来ない……だと?」
「私共としても買取を打診は致しましたが自ら販売したいと申され辞退されましたので……でしたら目の届くところでと思い場所を提供した次第でして」
「……なんと無礼な。 これだからどこの馬の骨ともわからぬ渡り人は……分かった。 こちらで販売場所を提供してやる。 そいつもろとも面倒見てやるからこちらに来させろ」
「申し訳ありません、この件は領主様にもくれぐれもと頼まれたものでして……私の独断で王都へ行かせるわけにはなりません」
「はっ、たかが一介の渡り人に領主が関与する訳がないだろう。 馬鹿なことを言ってないで早急にこちらに寄越せ、分かったな」
言いたいことだけ言うと通信が切られた。
その自信はどこから来るのだろうな。
わざわざそれだけを言うために魔石を使用して通信機を使用したのか。
バカバカしいと呆れを含んだため息を吐き執務室へと戻った。
「……どうだった?」
「案の定寝言を吐いてましたよ」
「領主に喧嘩売るってバカなの?」
「信じてい無さそうでしたからね。 大勢の貴族のお得意様がいる自分に逆らう分けが無いと思っているのでしょう、動きがあるまでほっときます」
「どうなるか楽しみね」
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