31 / 73
34日目-2
しおりを挟むMP41/409
続いてはナスの世話。
その前にインベントリから焼きトマトを入れていたバケツと箸を取り出す。
焼けた焼けた。
コンロからひょいひょいとトマトをバケツに移していった。
全部取り終えるとまた新たにトマトを置いていった。
バケツをインベントリに収納した。
さて今日は収穫出来る物はあるかな?
これなんか良さそうだ。
右側の第二主枝から生えた側枝に大きめのナスが生っていた。
艶も良い。食べごろだ。
第二主枝から少し離れている。
これは側枝だけでいいのか?
それとも側枝が生えている第二主枝から切るべきなのか?
でも第二主枝にはまだ花が咲いてるぞ。
んー……基準が分からん。
いいや。
前回は第二主枝から生えてすぐの場所だったし、今回は少し離れているから側枝だけ切ろう。
もしかしたら花芽もちゃんと実になるかもしれないし。
つかどこら辺の長さまでの側枝だと切るのか分からないし。
何事も経験だ。つまりはナスをもっと食べたい。
ちゃんと育っておくれよ。
他に収穫出来そうなナスは無かった。
小さいナスなら数個見つけたが。
それらの収穫は明日だな。楽しみだ。
余計な脇芽を欠いて根元に柄杓で水を一回やった。
次は綿。
昨日割れてたコットンボールはどうなったかな?
……かっらからだ。
昨日まで緑だった葉は茶色く枯れ白い綿が下向きに垂れ下がっている。
これは……収穫時だよな?
そおっと綿を掴み根元からぽきっと手折った。
がくがカサカサしている。
触ると崩れ白い綿に絡まる。
一つとると別な場所が絡まりそちらを取るとまた別の場所が絡まる。
だー!きりがない!!
一旦全部収穫することにした。
採れた個数は全部で11個。
インベントリに収納していく。
そのうちの一つを手に持った。
改めて形を確認してみる。
なんだか繭みたいだな。
一つのがくに繭のようなものが3つくっついていた。
ぎゅっと握ってみると硬い感触があった。
なんだろう?と割って中を覗こうとした……が取れない。
……なんだこれ。くっついてる?
硬い部分を白い綿から引きはがそうとする。
……取れないんだが!!
指で硬い部分をつぶしてみる。
楕円? ボコボコする。なんかいっぱい詰まってる。
あれ? 意外と綿の部分って少ない?
ってこれどうやって取るんだ?
百科事典を見てみる。
えっと……摘み取ったコットンボールには種が20-30個入っております。
種と繊維は強固にくっついている為、種と繊維を分離するには綿繰り機(わたくりき)が必要になります。
次に繊維をほぐすために綿弓で綿打ちをします。
綿打ちでほぐし雪の山のようにふんわりしたら紡ぎます。
種で間違いはなさそうだ。
綿繰り機? 綿弓? 綿打ち? ってなんだ?
綿繰り機とは、ローラー状の分離機の事。
使い方は、二本の木の棒を枠で固定しその間に綿を乗っける。
それぞれの棒を外側から内側に転がすように回転させると綿が真ん中に吸い込まれ綿と種が分離できるらしい。
あんなに引っ張って取れなかったのにそんな簡単に取れるのか。
作り方も難しくなさそうだし後で作ってみよう。
綿弓とは、弓道などで使う弓のような形をしている。
小さいバージョンか?
綿打ちとは、弓の部分を手に持ち綿を弦の部分に置く。
弦を引っ張り離す。
離した弦で綿を打ち衝撃でふわっとほぐすことを言う
こちらは作るために弦が必要だよな。
糸を作るために弦が必要になるとは……。
代用できそうなものを後で見てみよう。
ひとまずインベントリに収納した。
収穫終わった綿は引っこ抜いておいた。
引っこ抜いたものもインベントリに収納しておいた。
MP66/409
トマトが焼けた。
綿をインベントリに収納した後トマトの良い香りがコンロから漂ってきた。
インベントリを開いて焼きトマト入りのバケツと箸を取り出す。
焼けたトマトを掴んではバケツの中に移していく。
だいぶ貯まったなと中を覗いた。
汁が貯まっている。
ん?と箸で中をほじくってみる。
あー……下の方潰れてる。
やってしまったな……。
そうだ。
綿繰り機もどきを作るついでにザルもどきも作ろう。
本格的にトマトスープを作ってみるか!
バケツと箸ををインベントリに収納した。
次はジャガイモの収穫だ。
バケツと柄杓をインベントリに収納する。
コンロを運び土に刺した薪を持ちジャガイモの苗のところに向かった。
手近な壁に刺すと苗の確認をする。
花や草の部分もほとんど枯れていた。
…これくらいでいいの……か?
百科事典を見てみる。
茎の真下を掘らずに周囲20~30cmの所を掘っていく。
真下を掘ると実を傷つける可能性が高いため。
周りを掘り終えたら茎の根元を掴み一気に引っこ抜く。
芋づる式にジャガイモが収穫できます。
後は取りこぼしたジャガイモが無いか確認する。
日持ちさせるために収穫したジャガイモは日陰で風通しのいい場所で乾燥させる。
日に当て緑になったジャガイモは有毒のソラニンが発生しているので食べない事。
ちなみに長時間直射日光にさらすとグリコアルカロイドが出て来てえぐみが出る。
と記述されていた。
日持ちさせるために乾燥させるならインベントリに収納するならこの作業はいらないって事か。
ふむふむと読み込みインベントリから園芸用のこてを取り出した。
じゃあ掘っていくか。
土寄せをした場所を避け周りをザクザクと掘り柔らかくしていく。
周りを柔らかくしたところでこてを置き茎を掴む。
足に力を入れて腰を落とし上へと引っ張る。
ふんぬぬぬぬぬ……。
ビクともしない。
まだ掘り方が足りなかったか?
こてを手に取りさらに深く掘ってみる。
それに加え今度は手で土寄せした部分を柔らかく解していく。
これでどうだ。
もう一度茎を掴み足に力を籠める。
ブチブチと根が切れる音がする。
これは行けそうだ!
少しづつ持ちあがる土。
と、途端に軽くなり尻餅をついた。
いたたたたた……。
片手で腰を撫でるともう片方のジャガイモの茎の先を見た。
ジャガイモだ!
ちゃんとジャガイモが生っている!
こぶし大の大きさのものが3つにピンポン玉くらいの大きさのものが2つ生っていた。
一旦インベントリに収納しておいた。
他に取りこぼしはないかなと手で土をまさぐる。
……無さそうだ。残念。
次にサツマイモの世話だ。
葉を捲って根を確認する。
昨日の夕方取り除いてたおかげで新たな根が少ない。
それでも根を張るんだから逞しいよな。
一本一本丁寧に取り除いていった。
明日には収穫出来そうだな。
インベントリからバケツと柄杓を取り出し足りない分の魔力水をバケツに注ぎ柄杓で4回水をやった。
2
あなたにおすすめの小説
10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)
犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。
意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。
彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。
そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。
これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。
○○○
旧版を基に再編集しています。
第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。
旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。
この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~
はぶさん
ファンタジー
木造建築の設計士だった主人公は、不慮の事故で異世界のド貧乏男爵家の次男アークに転生する。「自然と共生する持続可能な生活圏を自らの手で築きたい」という前世の夢を胸に、彼は規格外の「木魔法」と現代知識を駆使して、貧しい村の開拓を始める。
病に倒れた最愛の母を救うため、彼は建築・農業の知識で生活環境を改善し、やがて森で出会ったもふもふの相棒ウルと共に、村を、そして辺境を豊かにしていく。
これは、温かい家族と仲間に支えられ、無自覚なチート能力で無理解な世界を見返していく、一人の青年の最強開拓物語である。
別作品も掲載してます!よかったら応援してください。
おっさん転生、相棒はもふもふ白熊。100均キャンプでスローライフはじめました。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
冒険者パーティから追放された俺、万物創生スキルをもらい、楽園でスローライフを送る
六志麻あさ
ファンタジー
とある出来事をきっかけに仲間から戦力外通告を突きつけられ、パーティを追放された冒険者カイル。
だが、以前に善行を施した神様から『万物創生』のスキルをもらい、人生が一変する。
それは、便利な家具から大規模な土木工事、果てはモンスター退治用のチート武器までなんでも作ることができるスキルだった。
世界から見捨てられた『呪われた村』にたどり着いたカイルは、スキルを使って、美味しい料理や便利な道具、インフラ整備からモンスター撃退などを次々とこなす。
快適な楽園となっていく村で、カイルのスローライフが幕を開ける──。
●表紙画像は、ツギクル様のイラストプレゼント企画で阿倍野ちゃこ先生が描いてくださったヒロインのノエルです。大きな画像は1章4「呪われた村1」の末尾に載せてあります。(c)Tugikuru Corp. ※転載等はご遠慮ください。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
精霊さんと一緒にスローライフ ~異世界でも現代知識とチートな精霊さんがいれば安心です~
舞
ファンタジー
かわいい精霊さんと送る、スローライフ。
異世界に送り込まれたおっさんは、精霊さんと手を取り、スローライフをおくる。
夢は優しい国づくり。
『くに、つくりますか?』
『あめのぬぼこ、ぐるぐる』
『みぎまわりか、ひだりまわりか。それがもんだいなの』
いや、それはもう過ぎてますから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる