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第二章 変わりゆく日常
39話目 登場
しおりを挟む自室でスマホを弄っていると、姉がスマホをテーブルの上に置き忘れていることに気づいた。
「お姉ちゃん忘れてってるや」
そう言って手に取ると何やらメッセージが届いていた。
「ダンジョン攻略室からメッセージ?」
内容については見れないがこの時間に来るメッセージだ。 急ぎかもしれない。
そう思いスマホを手に持ち1階のリビングへと降りて行った。
「お姉ちゃん、ダンジョン攻略室からメッセージ届いてるよ」
「ありがとう」
テレビを食い入るように見つめる姉。 近寄ってスマホを手渡した。
姉は名残惜し気にテレビを見つつメッセージを確認する。
姉が見ていたテレビには現在のモニュメント……門の様子が生中継されていた。
「凄い人だぁ」
門を守るようにして武装した警官がバリケードを築いている。
ダンジョン!! ダンジョン!! と叫ぶ人たちは若い人たちが多い。 酔っぱらってる人もいるのかな?
その恰好は、皆似たり寄ったり。 言えることは今からダンジョンに入るという服装ではない。
夏という気候のせいもあるかもしれないが、半袖に長ズボン。
武器なんか持っている人はパッとみ見当たらない、軽装の部類だ。
「優奈……ちょっと私出てくる」
「え? 今から?! もう19時なるよ?!」
「うん、行ってくる」
「どこに?!」
「ダンジョン攻略室に!!」
そう言って姉は運動しやすい服装に着替えると、訓練に行くときにいつも持って行ってる鞄を手に取り家を飛び出して行った。
「え? ぇえ……ダンジョン攻略室ってもしかしてブラック?」
時計を見てそんな感想を抱いてしまった。
少し経って門の前
『ダンジョンは解放できません。 速やかに帰宅してください』
テレビに映されているのは優奈の住んでいる県にある門。
系列テレビは県内のニュースを報道していた。
『国の独占反対!!』
『俺たちにダンジョンを開放しろー!!』
『ダンジョン行きたいかー!!』
『うぇーい!!』
時間が経つにつれどんどん人が増えて行く。
人が多くなったせいで気が大きくなった人たちも増えてきたようだ。
警備している警察官に対して罵声も飛んでいる。
「人が凄い……」
「本当ね」
姉が出て行ったあと母が帰宅した。
二人で夕飯を済ませると、ダンジョン関連のニュースをリビングで見ていた。
「どれくらいいるのかしら?」
「公民館に収まりきらないくらいの人だね」
「どこの公民館かしら?」
「家の近くの、ほらあそこの」
「あー……そこならこの人数は居るんじゃないかしら?」
「そうかな?」
母と二人の会話だと突っ込み不在の為話題がどんどん逸れる。
こんな時は姉のありがたみがしみじみと感じられた。
らちが明かないので私はスマホで公民館を検索し収容人数を確認した。
「あ、ほらー入らないよ見てこの人数。 絶対門の周りの方が多いでしょ」
「えーそうかしら? んー微妙なラインかしらね」
「そうかなー」
『ここで……自衛隊でしょうか? 専用車両が到着しました』
そんな会話をしていたら、現場を中継しているリポーターから、追加派遣された自衛隊が到着したことを伝えられた。
専用車両は数台、次々に武装した自衛官が降りて来た。
周りの建物や暴徒化した一部の市民の制圧に乗り出しているようだ。
逃げる人たちもいる。
だが密集状態では身動きが取れないみたいだ。
逃げようとする人、門に近寄ろうとする人、制圧に動いた自衛官。
現場は徐々にパニックに陥りかけていった。
「このままだと……危なくない?」
固唾を飲んで見守っていると……
『何の力もないやつらが攻略できるわけないでしょ!!!!!!』
「へ? お姉ちゃん?!」
「え? 遥?」
テレビ越しに聞きなれた声が聞こえてきた。
私と母はテレビを見て映った映像に目が点になった。
民衆たちも呆然として声が聞こえたある一点に注目し始めた。
押し合いへし合いし、パニックに陥りかけていた人たちも動きを止めた。
『もう一度言う。 ……ダンジョンに入りたくば我々を倒しなさい!!!!!!!!』
そこに映し出されたのはさっき家を出て行った姉で、いつの間にか専用車両からDJポリスが居るお立ち台へ移動していた。
マイクの音声を最大限にして繰り出されたその大声に、その場にいた人たちは耳を塞いでいた。
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