48 / 113
第三章 進路とダンジョン攻略
48話目 亘理の受難
しおりを挟むダンジョン攻略室
「ようやくダンジョンに入ったかぁ……」
「室長、顔」
「指摘が短すぎるぞ」
パソコンに入力しながら三波から指摘が飛んできた。
予算が下りて職持ちを雇用するまではこぎつけた。
鑑定士のスカウトも順調に進んでる。
だが、職持ちが知れ渡ったおかげで企業からの勧誘もあるらしい。
まぁ……それは当然だな。
特に回復職は、現代医療では治療が出来ない者も回復できる可能性があるため、とんでもない額が提示されているらしい。
ただ、現状ダンジョンに潜る権利は国が保有している。
ダンジョンに潜れるというのは、職持ちにとってかなりでかいアドバンテージだ。
今のところそれによって雇用者の離脱は防げているが……天秤が金銭に傾く者もでるだろう。
それは一個人の問題だ。
個人が辞めると言ってしまえばこちらには留め置く権利もない。
国で強制的に所属させる法律はないからな、今後ダンジョンなんて危険なものから遠ざかりたい者も出てくるだろう。
後、他国の職持ちの情報が欲しい。
外務省ルートで要請しているが返答が来ない。
当たり前か、その情報を開示すると言う事はどの程度戦力を有しているかも開示することになる。
だがダンジョンを攻略するうえで情報が欲しい。
他にもこれはどうでもいいことだが……。
「いい加減『職持ち』 から名称変更しろ。 紛らわしいんだよ。 んなことで時間取ってるなら仕事しろ。 他国から情報取ってこいや」
「室長?」
「ついでに『モンスター』 の名称もはよ決めろ。 何が『魔獣が良いかな? それとも魔物が良いかな?』 だ。 くっそどうでもいい。 仕事しろ」
「声に出てますよ」
無駄な会議にリモートで出席させられ、延々と無駄な議論を聞かされた。
音声をオフにしては笑顔で悪態をつき、今後の予定を考えながら無駄な時間をやり過ごした。
予算は……その前に職持ちの実力把握が先か。
雇用している職持ちがダンジョン攻略出来ればでかいぞ。
まだ人数が少ないが、班編成を行い、地方ごとに配置できれば自衛隊に出向隊員として人の貸し出しをし、自衛隊から予算を持ってこれる。
それをこれから雇用する人材の費用に充てれば人数は増やせるな。
ともすれば自衛隊との契約書を交わさないといけないな。
今度夕食を取りながらいくらまで引っ張れるか探りを入れるか。
それに伴い見積もりも作成しなければいけないな……。
資料を集めなくては……。
……ん? 今の『門』 に駐在させている人件費はこっち持ちになるのか?
藪蛇になるのか?
うわ……突きたくねぇ……。
今のところ費用請求は来てない……な。
三波君が纏めてくれた請求関連の資料を見る。
よし、来てない。
今はまだ知らんぷりしておこう。
予算と言えばダンジョンから集められたアイテムの先も考えなければならないな。
流石に素人の私の判断では今後に差し支える。
上からの指示は今のところ降りてない。
これからダンジョンにも潜るようになる。
‥‥それらを管理する保管庫や設備も整えねば。
在庫管理のシステム化も必須か?
開発費いくらかかるんだよ……。
アイテム販売は経団連に渡りを付けられる経済産業省に話を持って行ってもらうか?
そこで企業への販売ルートを確保できればそちらからの利益で備品などを補えるな。
あーでも金銭を決める時はおれも出席しないとダメだな。
上に任せたんではなあなあで曖昧になりそうだし、若すぎると買い叩かれかねん。
そこのたたき台が出来たら販売部門を立ち上げて仕事を割りふれる形にしないと。
販売部門だけでなく倉庫課も必要か?
在庫管理も大変な量になるぞ?
そんで人が増えれば総務も必要だ。
人件費の管理や契約関連も専属で人が欲しい。
何よりいつまでも自衛隊の駐屯地で間借りする訳にもいかん。
とすれば土地の確保や工事業者とのやり取りも必要になってくるな……。
あぁ……。
「人が欲しい。 出来れば俺の仕事を全てフルオート化してくれる人材が」
「室長が3倍頑張れば宜しいのでは?」
「存外に赤くなれと言う事か?」
そう言って三波君が私の机にどさっと書類の束を置いた。
「前日分のコールセンターから上がって来たまとめです。 それと備品の購入の稟議書が完成しましたのでチェックを、それと機材の見積もりが業者から届きました、後、月内の中間予算案の資料のまとめも入っております。 作製するのに必要な資料が全て入っているかどうかの確認もお願いします。 それと会食の予定もいくつか来てましたのでご確認ください。 あとこちら、お目通しの上承認お願いします」
「三波君は……鬼か?」
「……人ですが?」
「いや……すまん」
三波君に無感情な瞳で見つめられつつ、ため息を吐き渡された資料に目を通すのだった。
36
あなたにおすすめの小説
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!
おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。
ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。
過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。
ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。
世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。
やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。
至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
異世界に飛ばされた人見知りの僕は、影が薄かったから趣味に走る事にしました!
まったりー
ファンタジー
主人公は、人見知りな占いが大好きな男の子。
そんな主人公は、いるのか分からない程の影の薄さで、そんなクラスが異世界に召喚されてしまいます。
生徒たちは、ステータスの確認を進められますが、主人公はいるとは思われず取り残され、それならばと外に1人で出て行き、主人公の異世界生活が始まります。
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。
異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。
せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。
そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。
これは天啓か。
俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。
オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】
山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。
失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。
そんな彼が交通事故にあった。
ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。
「どうしたものかな」
入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。
今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。
たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。
そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。
『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』
である。
50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」
これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる