高校からの帰り道、錬金術が使えるようになりました。

マーチ・メイ

文字の大きさ
61 / 113
第三章 進路とダンジョン攻略

61話目 2回目のダンジョンアタック 2

しおりを挟む



教官に許可を取り職持ちの半数に当たる3組で5階に降り立つ。
見た目は4階までと変わらず土壁で出来た洞窟だ。
5階から罠が設置されていたはずだ。
自衛隊員が作製した地図を片手に罠の設置個所を見て固まって歩く。

「あれが罠?」

「随分親切だな」

「いや……きっとそれも油断させる罠かも」

罠は大変わかりやすく、地面や壁の一部の色が変わっていた。
発見してくださいと言っているようなものだ。

そこら辺に落ちていた石を拾い距離を取って地面の罠に向かって投げる。
罠にぶつかると天井からバケツ一杯分くらいの水が落ちてきた。

「……罠?」

「びしょ濡れ嫌」

「地味だな」

「「「……」」」


様子見でみんなで固まって動いていたが、この罠を見て無言になった。
あまりにお粗末すぎやしないか……と困惑する。

「ゆ……油断させる罠かもしれないぜ」

「気を引き締めて行こう」

そう言っていたが一向に酷くならない罠に微妙な空気が流れた。
ただ単に音が鳴る罠に、10cm程穴が開く罠。 ぬるい風が吹く罠。
どれも微妙。
良い事なんだよ? 良い事なんだけどね、なんか気が抜けちゃう罠なんだよ。


と思っていたらこの階から出現するでかいネズミのような魔物が1匹出た。
大きさは小型犬ぐらい。
口元からはでかい前歯が見えている。

まずは様子見と隔絶の結界を張る。

ドンッ!!
ビシビシッ!!

結界に向かって歯を突き立てるでかいネズミ。
その後に送れるようにして棘の付いたしっぽを結界に向かって振る。
しっぽは結界に当たったあとネズミお尻に合わせて左右に勢いよく揺れる。
結界だから良いものの、これが体に当たったら逆立った棘に肉をこそぎ取られそうだ。

「あのしっぽは痛そうだな」

「絡み付かれたら肉が抉れそうだね」

「……可愛くない」

「――……感想そこか?」

他の人たちも結界越しにネズミを観察をする。
中にはスマホで写真を撮っている者もいた。

「橘、これネズミの周りだけ囲えるか?」

「いけますよ」

「頼む」

社会人組の人にそう言われ、隔絶の結界を張りなおした。

ネズミは身動き取れなくなってキーキー言っている。

「橘の結界は便利だな」

「一組に一人欲しいな」

「遥あげない」

皆に家電のごとくもてはやされたら葵に抱き着かれた。

ひとしきり撮影も終わったところで今度はネズミの強度の検証だ。

「誰がやりますか?」

「ナイフが通用するか試したい、俺がやる」

「伊勢さんが切れなかったら魔法試す? 葵行ける?」

「いく」

そうしてネズミと社会人組……伊勢さんと私たちの間に結界を張り直し、ネズミを覆っていた結界を解除した。

「行くぞ。 『身体強化』」

伊勢さんは勤めていた会社を退職して探索者になった口だ。
歳は確か……26歳で独身だったはず。
細身で身長は……170後半くらいかな?
スライムや羽ウサギの時もそうだがこういう魔物の検証を積極的に行う研究肌な人だ。

そのうちあえて攻撃を食らいそうだなと思う。

伊勢さんと同じ組には男性が二人いる。
皆社会人組で鈴木さんと桜井さんだ。

二人とも20代半ばの独身でササッと会社を辞めてきた。
安易に就職を決めた私が言うのもなんだが、それでいいのか? と思った。

3人とも訓練の無い時間帯は事務仕事を手伝っているらしい。
そこで聞いた話を私たちに流してくれたりする。

「なんで3人には丁寧なんだ?」

「私はいつでも丁寧です」

「ん?」

「ん?」

私と五十嵐の認識に齟齬が発生したようだ。
私はいつでも丁寧だ。 失礼な奴め。

しおりを挟む
感想 84

あなたにおすすめの小説

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

異世界に飛ばされた人見知りの僕は、影が薄かったから趣味に走る事にしました!

まったりー
ファンタジー
主人公は、人見知りな占いが大好きな男の子。 そんな主人公は、いるのか分からない程の影の薄さで、そんなクラスが異世界に召喚されてしまいます。 生徒たちは、ステータスの確認を進められますが、主人公はいるとは思われず取り残され、それならばと外に1人で出て行き、主人公の異世界生活が始まります。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。 異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。 せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。 そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。 これは天啓か。 俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

処理中です...