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第三章 進路とダンジョン攻略

78話目 特訓

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それから朝は草むしりした後に姉と一緒に特訓を始めた。

と言っても体にレベルアップの恩恵を慣れさせるための訓練だ。
姉と手合わせしたり、何か物に向かって打ち込んだりなどしない。
それをやったら相手や物を確実にデストロイしてしまうからだ。
いうなれば一般人が列車やトラックと正面衝突するようなものだもの、グモッちゃう。


この特訓がなかなか上手くいかない。
感覚的に言うと、力の調節って、水がダパダパ流れている蛇口を指で無理やり押さえる感じ。

どこかを緩めると一点に力が集中しちゃってとても難しい。

「むー出来ない」

「そらそうよ。 むしろそのレベルですぐ加減出来たらびっくりよ」

姉曰く私の状態はスカウト組でも見られた症状らしい。
主に感覚部分でだけど。

スカウト組の人達は力関係は自分で気づき鍛えていた。
そもそもそれに気づいたから、鍛えてネットで披露し、スカウトする人の目に留まったんだもん。

気づいていなかった聴力や視覚と言った感覚部分は鍛えてなかったらしい。
というか気にしてなかったらしい。 私と一緒だね。

だから鍛えていない五感を既存の肉体のレベルにあった状態にするのが大変そうだったと言っていた。

ちなみに私は力関係含め全部だからもっと大変そう。

走力の加減は分かりやすかったんだけどね。

しぶしぶ最初に使った聴覚から順に鍛え始めた。
もちろん気分が悪くなったら一度止めて控えていた姉に治療された。
姉がいないときは下級快復薬を使用したよ、勿体ないけどね。

でも身体を壊したら元も子もないからしょうがない。

そうして一カ月ほど特訓をしたら、何とか0か1かしかなかったのが5段階位にわけられるようになった。
聴覚が慣れ始めたころに視覚や嗅覚も特訓を始めた。
視覚を使用した時は目の疲れよりも頭痛がやばかった。 ズッキ――――ンって感じ。 思わず叫んじゃって視覚を遮断するように姉に目隠しされた。

それから視覚の特訓をする際は目隠し用にタオルを用意しいつでも目隠しできるようにしたよ。
手でも良かったんだけど手だと隙間から見えちゃう。
色々試した結果タオルに落ち着いた。

嗅覚はもう……匂いの地獄。
最初はめっちゃ咽た。 よく分からないどこから漂ってくるか分からない匂いまで拾って大変だった。
臭かった。 とても臭かった。 なに? 刺激臭? 匂いで人って死ねるかもってちょっと思ったよ。

聴覚以外はまだぎこちない。
こっちの方は0か1の所を3段階に分けられた感じ?

どれも滑らかに加減できるのはもうちょっとかかりそう、道のりはまだまだ長い。

そして訓練していくうちに姉が草むしり中に言っていた意味が理解できるようになった。

というのも姉と草むしり中に立ち去らずに草むらや遠巻きにこちらを見ている人が居るのだ。
1人で居る人もいれば数人でこちらを見ている人もいる。
多分そういう人達がネットにアップしたんだろうと思う。

私1人の時は早々に立ち去るから目当ては姉なんだと思う。
何だろうね、ストーカーかな?

姉はその件に関しては上司に報告したと言っていた。
私は何も力になれないので気をつけてねと心配するだけだ。

姉からは「立ち向かってくる人が居たら返り討ちにするから大丈夫」 と言われてしまった。
確かに姉なら返り討ちに出来そうだなと納得してしまった。
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