高校からの帰り道、錬金術が使えるようになりました。

マーチ・メイ

文字の大きさ
85 / 113
第三章 進路とダンジョン攻略

85話目 メリル捜査官

しおりを挟む



「橘優介の娘がネットに上がってる?」

日本で橘優介に関する調査を行っていると本国からそんな連絡が入った。

橘優介の自宅への監視は行っていた。 過去形だ。

というのも橘優介自体が本国を出国した形跡もない。

だから一応念のための確認として家族を数日に渡り監視は行っていた。

下の娘に対しては、毎朝の日課の草むしりから始まり、高校へ登校、アルバイト先も確認済みだ。
だがどれも特段変わった様子はない、いたって平凡。 しいていうなれば善良そうな子という印象だ。

橘優介の妻も勤め先と家とスーパーを往復する毎日。
こちらも変わった様子はない。

しいていうなれば上の娘。
橘遥。
この娘は職持ちだ。
最近まで一人暮らしをしていたようだ。
家へ引っ越し、自宅と大学、自衛隊の駐屯地を往復する日々を送っている。
だがこちらも橘優介と接触した様子は見られない。

塀のせいで家の中の様子までは見れないが、父である優介が入ったような形跡はみあたらない。

だから監視は解いていた。

自宅周辺の監視を解いてから、今現在は職場の方を重点的に探っている。

同僚から、問題の動画がこれだと見せられたのは、女学生がアスファルトを割る動画だ。

「これは……」

間違いなく善良ガール本人だ。

この子も職持ちだったのか。

しかも……

「かなりレベルが高そうだ」

そう呟くと同僚が頷き同意を示す。

「姉はダンジョンにも行っているようだから理解できるが妹はどこでレベルを……?」

確かにそうだ。
そう思ったが頭を振った。

いや……今は橘優介の方を優先すべきだ。
娘の方は後回しにすべき。

でも……何故だか焦燥感が募った。
橘優介の方が先だ。 
確かにそうなのだが、その前に懸念事項は確認しておいてもいいだろう。

スマホを取り出し上司へと電話をかける。
数コールすればスマホからは馴染みの声が聞こえた。

「局長。 念のため鑑定の魔道具の使用許可を願いたく存じます」

「メリル?」

『理由は?』

「調査対象の娘、善良ガールの職が気になります。 ダンジョンにも入った様子が見られません、もしかしたら鑑定職……もしくは本国で発見されていない生産系の職の可能性があります」

「生産系?!」

私がそう言うと横で同僚が声を上げた。

戦闘系の職持ちは幾人も発見された。
スキルでのレベル上げも実証された。
だが短期間であの善良ガールのような力の付け方をした者はいない。


『……許可しよう』

鑑定の魔道具。
一見眼鏡のようなものだがれっきとした魔道具だ。

いくつか目のダンジョンクリアをした際に出てきたものだ。
本国にも片手で数えるぐらいしか存在しない。

重要人物である橘優介を鑑定するためだけに持たせられた魔道具。
これがあれば距離の制限はあるものの、職とレベルは判明する。

ただ本国の鑑定者でも魔道具の使用回数を調べることは出来なかった。
回数なのか、時間なのかまだ分からない。
永久に使えるのか壊れる物なのかすらわからない。

それを使用するには局長の許可が必要だ。
そんな大事なものを持たせる割には、許可が電話で済むのは笑えるが。
まぁ、なんにせよそれが手元にあるだけで今はありがたい。

「ありがとうございます」

通信を切りこちらの国に持ち込んでいる鑑定の魔道具を取りにホテルへと移動をした。

「生産系ってマジか?!」

「可能性は高いと思う。 毎朝の草むしり……思い起こせば家へ持ち込んだ後処理されていないのよ。あの大量の草はどこに行ったのかしら」

「そう言えばそうだな」

単なる草だ。
そう思って見過ごしていた。

「今まで発見されていなかった生産系の職持ち……そうだとしたらぜひとも本国に連れ帰りたいわ」

「日本政府も間抜けだな。 貴重な職持ちを年齢だけで制限して見逃して他国に掻っ攫われるなんてな」

「まったくね」

そうしてメリル捜査官は眼鏡型の鑑定の魔道具を持ち橘家へと向かった。

しおりを挟む
感想 84

あなたにおすすめの小説

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

異世界に飛ばされた人見知りの僕は、影が薄かったから趣味に走る事にしました!

まったりー
ファンタジー
主人公は、人見知りな占いが大好きな男の子。 そんな主人公は、いるのか分からない程の影の薄さで、そんなクラスが異世界に召喚されてしまいます。 生徒たちは、ステータスの確認を進められますが、主人公はいるとは思われず取り残され、それならばと外に1人で出て行き、主人公の異世界生活が始まります。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。 異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。 せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。 そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。 これは天啓か。 俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

処理中です...