高校からの帰り道、錬金術が使えるようになりました。

マーチ・メイ

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第四章 それぞれの生活

91話目 優奈が消えてから

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「はい……お願いします」

母と一緒に警察へ行方不明者届を提出した後、優奈が居なくなってひと月経ってから優奈の通う高校へ休学届を提出した。

この一カ月警察からの連絡は無い。
私もそこらじゅう探し回ったが優奈の痕跡は無かった。

亘理室長にも協力を仰ごうとしたが難色を示された。
既に警察が緊急性を認め積極的に捜査をしているからだ。
これ以上は亘理室長の方でも手の施しようがないらしい。

上まで妹さんの職業を知らせれば、それこそ必死になって探されるだろう。
だが見つかった後どうするかまで考えて結論を出してくれとも言われた。
そして知らせるとしてもそれを示す根拠と共に。
現状鑑定を受けていない状態で口頭で職業を知らされただけだ。
何かしら上を動かせる証拠が欲しいと言われた。

職業を知らせるかどうかか……それよりも証拠か……。

母も毎日職場には行っているが家にいる時は作製したチラシを配ったり張る許可を貰いに行ったりしている。

優奈……どこ行ったの……。
お父さんとも連絡は取れない。
こんな時に何やってるのよ!!

春先から連絡の取れない父にも苛立ちが募った。

そんな中、次のダンジョン攻略が迫っていた。
私は仕方なしに荷物の準備を始めたが、そこで鞄の奥の方で硬い物が手に当たった。

……ん?
ここはビニールとか入れてたポケット。
硬い物なんか入れてたっけ?

疑問に思いポケットを漁ると奥の方で瓶を見つけた。

……これって優奈が作った上級回復薬
優奈ったらこんな奥に入れても見つけられないよ。
こそこそ私の荷物に忍ばせる様子を思い浮かべ口元が緩んだ。

っそうだ!!

荷物の準備は置いておいて優奈の部屋に向かった。
優奈の部屋は優奈が居なくなった時そのままにしてある。

前に見せてもらったノートを探し、棚の上にある回復薬の瓶を取り出した。

……これって鑑定してもらえば証拠になるよね。
今上級回復薬って手に入ってないもんね。

ごくりと喉を鳴らす。

ただこれを提出すれば戻って来た優奈は回復薬作りに専念させられるかも……いや、きっと専念させられる。
あれだけ入りたがったダンジョンに入れないかもしれない。


……でも、見つからないよりも見つけてほしい。
優奈が専念させられるなら私は草花を成長させ続けるよ。

ダンジョンに潜らず一緒に居るから……。
一緒に専念しようね……。

そう思い、顔を上げ覚悟を決めて回復薬が入った箱とノートを持ってダンジョン攻略室がある駐屯地へと走り出した。







ダンジョン攻略室


こちらもこちらで悩む者がいた。

「職業を明かさないで探すのは難しい、人は動かせないとは言ったものの橘君の妹を失うのは痛いな……」

他の人たちはみな帰宅し残っているのはいつも通り私と三波君だけだ。
あと少ししたら訓練している探索者数名も戻って来るという時間帯だ。

「室長、眉間」

「もう少し分かりやすく発言してくれないか? いや、分かるけれども」

三波君に指摘され指で眉間を軽く揉んだ。

「それでどうしたんですか?」

「……橘君の妹が行方不明なんだ」

「警察の仕事ですよね?」

「そうだが……そうなんだがな……」

三波君にも職業を明かしていない。
現時点で私一人で出来ることは何もない。

「足立先生のつてでも探してもらうか……?」

探索者との渡りを付けられるという点で協力してもらえるかもしれないな。
顔が広いから話すだけでも話してみるか。

そう思っていると室長室のドアが開いた。

「亘理室長失礼します」

「?! 橘君か? どうした。 しばらく訓練の頻度を落とすんじゃなかったのか?」

「室長、私は外に出ておりますね」

そう言って三波君は流れるように動き部屋の外へと退室した。

よほど急いできたのだろう。
部屋に入って来た橘君は息を切らしていた。
探索者になってから息切れするくらいの運動などよほどのことが無い限り起こらない。
それほど急いだと言う事は決心がついたのか。

橘君が抱えた箱に目をやる。
それに証拠の物が入っているんだろう。

「……良いのか?」

今だ息も絶え絶えの橘君にそう問うと、橘君はこちらを真っ直ぐ見て頷いた。

あの箱にはなにが入っているんだろう。
見たいような見たくないようなそんな気も少しあった。
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