高校からの帰り道、錬金術が使えるようになりました。

マーチ・メイ

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第四章 それぞれの生活

109話目 探索室

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それからは連携を取りつつ無理のない程度にダンジョンを攻略していく。
五十嵐がタンク役を買って出て私が分断や快復を施し、葵が魔物を狩っていく。

もしくは葵が敵をかく乱し五十嵐と私が一体一体確実に仕留める。

または私がタンク役をし葵が敵を屠り五十嵐の出番は無し。 という場面もあった。

私と葵がハイタッチを決めると五十嵐は呆れたように見ていたが。

回数をこなす。
人数が多い分、入る経験値は減ったが気持ちが軽くなったおかげか体の動きは良くなった。

戦闘回数もこなしたのでもう一度、ひととおり18階を見て回り戻ることにした。


ダンジョンから出ると見張りの自衛隊の人たちに挨拶をし、そのまま市街地を抜けダンジョン攻略室に向かう。

「……なんか最近顔色の悪い人達増えてきたね」

「そうか?」

「顔色?」

「うん」

私が通りすがりの人達を見ながらそんな感想を述べる。

母の体調が思わしくないせいか、他の人たちの顔色も悪く見えてくる。

二人は首を傾げている。

私よりも周りが見えていないのか? それとも私が気にしすぎなだけなのか?

首を捻りつつダンジョン攻略室にたどり着く。

「戻りました」

ここでいつもなら事務所に居る人たちにお帰りとか声を掛けられる。
だが今日はそんな声は掛けられず、室内が騒然としており人垣が出来ていた。

「大丈夫ですか? 聞こえますか?」

周りの人達が誰かにそう声掛けをしている。

「ヤバいな……大丈夫か?」

「顔色が……」

「回復薬飲ませたか?」

「あぁ、飲ませたが……駄目だ効果ない」

「最近顔色悪かったもんな……」

「昨日も早めに帰宅してもらったんだが駄目だったか」

事務所に居た人たちもバタバタ騒がしく行ったり来たりどこかへ連絡したりしているようだ。


「……どうしたんですか?」

訝し気に人垣の一番後ろに居た人に声を掛ける。

「……!! 橘君!! 帰って来たのか?! ちょっとこっち来てくれ……治癒の結界を頼む」

声で気づかれたのか人垣の向こう側に居た伊勢さんにそう頼まれた。

「治癒の結界……ですか? どうされたんですか?」

人垣越しに伊勢さんへと声を掛ける。

「あぁ、三波室長が突然倒れてしまったんだ」

「三波室長が?!」

慌てて人垣を掻き分け最前線に行く。
するとそこには顔色を悪くした三波室長が倒れていた。

「今平川君が救急車を手配しに行っている。 倒れる時支えたから頭は打ってないと思うんだが……回復魔法をかけたが効果が無いんだ」

「回復魔法が? 病気とかですか?」

「分からない。 回復薬も効果は見られなかったから怪我ではなさそうだが……。 一応橘君の治癒の結界も試してもらえないか?」

「分かりました」

改めて三波室長に目をやる。
床に倒れたその姿が母と重なって見えて心が痛む。
何が何でもなんとかしたくなってくる。

「『治癒の結界』」

集中し三波室長に向けて治癒の結界を唱えた。

だが三波室長は目を覚まさなかった。

「っ!! もう一度『治癒の結界』」

幾度か『治癒の結界』をかけたが結果は同じだった。

「橘君でも駄目か……くそっ!!」

何度もかけているうちに攻略室の扉が荒々しく開かれ

「救急車到着しました!!」

救急車が到着し三波室長は救急車によって病院に搬送されていった。


それをみんなで見送りその日は解散となった。

治癒の結界も効かなかった……。

二人の励ましで立ち直りかけた気持ちに暗い影が差す。

脳裏に浮かぶは青い顔をした三波室長だ。
柄も知れぬ不安に駆られる。

……母はちゃんと病院に行ったのだろうか。
診察はちゃんと出来たかな?

異常は見つかった? 薬はもらえたかな?

結果が知りたくて足が速くなる。

そして家の扉を開いた。



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