『妹』ってすごい…!

ツノノコ

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第二話 テリトリー

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俺の好きだった日常は突然として色を変え、牙をむく。

「アァァァ!!なんだよこれ!どうなってんだよ!」

(もう訳も分からない…教室真っ赤だし、床はぐちゃぐちゃだし…)

その時、視界の端で何かが動く。

「っな!なんだ!」

「グ…ぁぁ…暁…動くな…!……俺だ…」

聞き覚えるのある声。それだけで安心できた。この声は…

「委員長!?大丈夫かよ!なにが…、一体なにが起きたんだよ!」

俺は、床に倒れている委員長に駆け寄ろうとした…

「動くなって…言ったろ!来ちゃ駄目だ……!なにが起きたかは…話す!だから……動くな!」

そう言われて、俺はどうすることもできず立ち尽くした。

「で…なにが、あったんだよ…」

「あぁ…俺も何が起きたか…分からないんだ……授業を受けていたら突然…教室の真ん中が蜃気楼みたいに歪んで……そしたら…!グ…ゥゥ…ガァ!ガハッ!」

大量の血を吐き出す委員長を見て、何があったか自分なりに想像しようとしたが、途中で思考を停止してしまう…

「委員長…その血……凄い量だぞ!」

こんな量の血…見たことない!
多分…このままだと委員長は…

「そんなこと今は…いいんだ…!結果は変わらないさ…それより…!俺が生きてるうちに!見つかる前に!」

自分が死ぬってわかってるのか…
やっぱり委員長は、強いな…
そして…「見つかる」って何から…

「委員長!どういう事だよ、見つかる前にって!」

「あぁ…歪んだ教室の真ん中からはあいつが出て来たんだ…」

そう言って委員長は今だに動こうとしない黒い人影を指差す

「あいつが…あいつが俺たちをこんな風に…!」

また血を吐き出す…多分もう持たないのだろう。気力だけで話している状態だろう…

「まだお前が襲われてないのは…あいつの『テリトリー』に入ってないからだと思う…よくは分からないが…近づくな……!そうすれば助かるかもしれない……!!」

(『テリトリー』それがあの影の活動領域ってことなのかな…けど、そんなもん分かりっこない……!)

その時、影が動き出した。
委員長の方に一歩…二歩。

「暁ぃぃ!!とにかくお前は…生きろぉ!妹達を守ってやれよ……」

そう言った委員長は、笑っていた。
目からは涙をこぼして…

三歩目…
その一歩が踏み出された瞬間。
俺の目の前で委員長が死んだ…
声にならない絶叫が俺の脳を焦げるほどに熱くした。目の前で四散する委員長を目で追う事しか出来なかった…動こうと思えば動けたはずなのに動けなかった…動きたくなかった…

『死ぬのが怖かった』

ただそれだけの感情で、その感情が起こした行動だけで人間は簡単に壊れる。
                                             

––––––––––                                              

三階 放送室

そこにも動く二つの影…
大きい影と少し小柄な影
ただ、「それ」は、生気を持っていた。

そう『生存者』である。
その影の片方。大きい影は、放送室のマイクの電源を入れた…額から垂れる汗…大きい影は、息を吸った。
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