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獣化の呪いと告白!?
ヴォルフラム殿下が赤ら顔でギラリと睨む。だが、そんなことは問題ではない!!
「何で全裸なんですか!!!!」
「うるさい!!」
「違います!! こんなことをやっている場合では……っ!! 聖獣様は!? 私は聖獣様を探していて……早く逃げないといけないのに……」
「セリア……その聖獣は……」
そう言って、全裸のヴォルフラム殿下が、騒ぎだして混乱している私の腕を掴んでくる。
「キャーー!! 近づかないでくださいよ!!」
「騒ぐな!!」
「私は、聖獣様を探していて……!!」
探していて、なぜか、全裸のヴォルフラム殿下に行きついた。なぜ!!!!
「その聖獣は俺だ!!」
「はぁ!? そんなはずは!! だって、すごく大きな狼でっ!!」
ヴォルフラム殿下は獣人ではなかったはず。
「正確には、聖獣ではない! 獣化の呪いをかけられて、突然狼の姿になっているんだよ!!」
「変態!?」
「違う! 貴様、人の話を聞いているのか!」
「その全裸は何ですか!?」
「狼になれば、人間の服が合うわけがない!」
その通りだけども!! と言うことは……!?
先ほどの会話もすべて筒抜けだった。ヴォルフラム殿下その人に、一緒に逃げましょう、と言っていたのだ。
それどころではない。以前、ヴォルフラム殿下だと知らずに、好きだと言った気もする。そのうえ、口づけまでした。
ヴォルフラム殿下の全裸に、赤面していた顔が青ざめてしまう。今すぐに逃げたい。
「に、逃げます!!」
「なぜそうなる!?」
「キャア!」
脱兎で立ち上がろうすると、ヴォルフラム殿下に抑え込まれる。
うつ伏せでバタバタする私の上でヴォルフラム殿下が静かな声音で話しかけてくる。私に冷静さはない。
「セリア」
「離してください!!」
「そのまま、俺から逃げるつもりだったのだろう!!」
「やぁっ、近づかないで! もふもふ誘拐罪に夜伽は入ってないですよ!!」
「あれは! もふもふ誘拐罪は、セリアを逃がさないためだ!!」
「だから、どうしてですか!?」
「……っセリアが好きだからだ! どこかに行ってしまっては困るんだ!」
突然の告白にじたばたしていた足が止まる。
そっと顔を上に乗っかっているヴォルフラム殿下を見れば、ツンとした表情なのに、目の下を紅潮させていた。
「私……」
「逃げられては困るんだ。だから、離宮に閉じ込めたのに……それなのに、聖獣様の毛をむしって逃走資金を作ろうとしたり、俺と知らずに大きな狼と逃げようとしたり……」
憎々しくヴォルフラム殿下が言う。
ヴォルフラム殿下に好きだなど言われたことはない。いつもいつも素っ気なくて、冷たくて……誰にも心を許したりしない彼なのに、私ではなく、彼からルチアに近付いたのだ。
「ウソです……私が嫌いだから、婚約破棄を……」
「婚約破棄をした覚えはない」
確かに、ヴォルフラム殿下から、婚約破棄と言われたことはない。ルチアが、婚約をするのに、私が邪魔で……もしかして、私がいたから婚約できなくて、邪魔だったということ?
でも、何度もルチアとヴォルフラム殿下は一緒に歩いていた。妃教育の合間に、嬉しそうにルチアがヴォルフラム殿下に垂れかかっているのを見たことがあるのだ。
「でも、ルチアと何度も一緒にいて……」
「あれは……セリアの聖女の力が不安定になっていたから、おかしいと思ってだな。ルチアを探っていたんだ」
「私が留守の時に、わざわざ邸にも来ていましたわ。私ではなく、ルチアに会いに行ったはずです」
「確かに、ルチアに会いに行った。だが、あれはブランディア伯爵邸を探るためだ。ちなみに、一人ではない。ブレッドも一緒だ」
確かに、ブレッドも一緒だと思う。彼はヴォルフラム殿下の側近で護衛なのだ。どこにでも付いてくる騎士なのだから。
「……ルチアを探っていたのは、なぜですか? どうして、私に何も言わなかったのですか?」
「秘密にしていたのは、セリアだ。だから、言わなかった。……俺と距離を置こうとしていたから……」
切ない表情でヴォルフラム殿下が言う。
言えなかった。聖女の力が不安定になっているとは。そうなれば、すぐにヴォルフラム殿下の婚約者でもなくなる。自分がずっと頑張ってきたものが、一瞬でなくなるのだ。不安だった。彼に愛されている自覚もなかったから……でも、いつか言わないといけないともわかっていた。胸が痛い。私までも、切なくなる。泣きたくないのに、目尻が潤んでしまう。
そんな私を察したヴォルフラム殿下が、ゆっくりと話し出した。
「……閲覧禁止の魔法書が一冊なくなっていた。能力を奪う魔法の書かれた禁忌の書だ。調べたら、ルチアが書庫係を誑かして入室していたことがわかった。セリアの力が不安定になっていったのは、ルチアがセリアの聖女の力を奪っていたからだ。一度で、すべてを奪われなかったのは、セリアの聖女の力が強いせいだろう……」
「違います……私、必死で流れ出る力を押さえていたんです。聖女の力を一時的にも抑えようと……封魔の術を応用して……」
「それは、知らなかった……抵抗していたのか……だから、聖女の力が不安定になっていったのか……でも、間違いなくそれだけの聖女の力を有するのは、紛れもなくセリアが聖女だからだ。だから、セリアをルチアから離そうと無理やりこの離宮に閉じ込めた。まだ、証拠も押さえてなかったから……泣くな……」
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