伯爵令嬢は狙われている

屋月 トム伽

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夜光草と暴発

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「ねぇ、夜光草見に行こう!」

「今から?楽しそう!」

二人は着替えた後楽しそうに手を繋ぎ出ていった。

笑い声が廊下から聞こえセフィーロはそっと覗くと二人が見え,こっそりついて行った。

(王族の癖に僕をないがしろにするなんて、リアナも兄を差し置いて!)

セフィーロは甘やかされて育ったせいで自分が一番という気持ちが強かった。

二人はカンテラを片手に手を繋ぎ、まるで夜の冒険を楽しんでいるようだった。

丘の上には30分程でつき、一面夜光草が広がっているのに二人は感動した。

「クライスとってもキレイ。」

夜光草の中立ち無邪気に笑うリアはとっても可愛いかった。

その時後ろから叫び声がした。

「うわぁぁー!?魔物だー!?」

セフィーロが必死になって走って来おり、後ろには魔物が追いかけて来ていた。



その頃、邸ではヒューゴがクライスがいない事に気づいた。リアの部屋でも訪ねて見ようかと思っていた。



「セフィーロ、よけろ!?」

クライスがセフィーロの後ろの魔物を風で切り裂いた。
セフィーロは息づかい荒く近いてくる。

「あんた大丈夫か?何でこんな所にいるんだよ。」

クライスが声をかけても知らん顔をした。

クライスはつけてきたのかと呆れていると、リアに近づきいきなり殴り、怒鳴り始める。

「何でこんな所にいるんだよ!お前のせいで魔物に襲われたんだ!?このバカ!」

クライスは血が昇り、いきよいよくセフィーロを殴る。

「ふざけんな!!お前が勝手についてきたんだろ!?」

「リア、大丈夫か?」

優しくリアを起こすとリアは歯を食いしばり泣いていた。

セフィーロは魔物と殴られた事にパニックになり逃げ出した。

そしてすぐにまた「うわぁぁ」と叫び声が聞こえた。

また魔物が近づき、丘の上からは気づかなかったが断崖のような場所がありそこから落ちようとしていた。

二人は助けようとして近づくとあまりのパニックにセフィーロは、リアを突き飛ばした形になり、リアは崖から落ちた。
クライスはリアを助ける為迷わずリアの後を追う為飛び降りた。
魔物も二人を追いかけ飛び降りた。

クライスが持っていたカンテラはセフィーロの側に落ちていた。


「クライス!クライス!?」

リアは落ちながらクライスの名前を叫んだ。
その瞬間リアの身体がフワッと浮き、クライスがリアを抱きしめる。
だが上から魔物が落ちるように追って来ており、リアは恐怖した。

(クライスが死んじゃう!?)

その瞬間リアの魔力が爆発した。



ヒューゴ達、護衛隊は爆発のした方に全速力で向かった。
ヒューゴは走っている途中カンテラの灯りに気付いた。
近づくとカンテラを持ったセフィーロが泣きながら歩いていた。
部下の一人にセフィーロを任せ残りでまた走り始めた。
ヒューゴはセフィーロにかまってる場合ではなかった。


ヒューゴは探知のシードで魔力の強い場所へたどり着くと二人を見つけた。

「リア!リア!?」

クライスは必死でリアに呼び掛けていた。

リアは転がったまま唸り声を上げ苦しんでいた。

二人の周りが円を描くように草木がなぎ倒されており、二人の様子にヒューゴ達は絶句した。

魔物の残骸まであったのだ。

「クライス!?」

「ヒューゴ!?リアを助けて!」

ヒューゴが側によるとクライスはフラフラになりながら助けを求めた。

護衛隊にクライスを連れて行くよう指示すると、クライスはリアにしがみつき、

「イヤだ!離れたくない!」

とリアを離さない。

ヒューゴはクライスに魔法をかけ眠らせた。

「この娘は私が連れて行く。皆はクライス様を守るんだ。」
「早く陛下の元へ!」

皆が去った後ヒューゴはすぐに自分のシードを出した。
ヒューゴが生まれつき持っているシードだ。
ヒューゴはシードの力を使いリアを光で包んだ。

リアは苦しみから解放され、眠っているようになった。


一夜明け邸では陛下が伯爵に怒り心頭だった。
陛下は事のあらましをヒューゴと夜中に目が覚めたクライスから聞いていたのだ。

二人で夜行草を見に行った事。
クライスはカンテラに魔物よけのシードを入れて行った事。
セフィーロが魔物に襲われ、助けた事。
リアへの仕打ちにクライスが殴った事。
セフィーロが一人逃げ出した事。 等を。

「何故セフィーロが帰りは魔物に襲われなかったかわかるか?クライスのカンテラを持っていたからだ!
ましてや一人逃げ出すなど言語道断だ!」

伯爵はひたすら謝るしかなかった。

「リアには、ヒューゴをつける。
リアにはお前が父親らしく、お前がつけた事にしなさい。」

陛下は伯爵にそう告げた。



リアの側にはクライスがついていた。
まるで眠り姫のように眠っている。

コンコンとノックの後ドアが開きリアの部屋へ陛下とヒューゴが入って来た。

二人はクライスへリアの事を話した。

「陛下にも話ましたが、リアナは強力なドラゴニアンシードを持っています。
ただの制御魔法で力を抑えられるわけがなかったんです。
クライスにも匹敵する程のシードかもしれません。
あの時クライスがドラゴニアンシードを持つ者でなかったら無事ではなかったでしょう。
私の封魔のシードで抑えましたがこの出来事も忘れさせようと思います。
いつまた暴発するかわかりませんから。」

「それって俺の事も忘れるって事?」

「クライス、この娘の為だ。これからはヒューゴを師につけ力の使い方を学ばせる。伯爵にも話をつけた。」

「もちろん私も初対面という事にして会います。」

クライスの頬に涙がつたう。

涙を腕で拭き陛下とヒューゴを背にする。

「…少しだけ二人にして下さい。」

「クライス…」

「陛下、少しだけ下がりましょう」

陛下とヒューゴは静かに部屋から出る。

クライスはリアの手を握り、顔を近づける。

「…リア、強くなって必ず迎えにくるから。今度こそは必ず守るから」

クライスは眠り姫のようにそっとリアにキスをした。

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