伯爵令嬢は狙われている

屋月 トム伽

文字の大きさ
37 / 217

火花が見えるようなお茶会

しおりを挟む

お茶会へ行くとローラと知らない男が一人いた。
なんだか軽薄そうな男だった。
「まあ、お迎えを出すまでお待ちしていてよかったですのに。」
何だか刺のあるような言い方だったがリアは気づかず謝ろうとするとマルクが先に話した。
「この後、クライス様との時間がありますので先に来ました。何か問題がおありですか?」
マルクはなんだか迫力があった。
「いいえ!そちらの方は昨日いた方ですか?」
「マルク・フェリスです。クライス様の秘書官をしています。今回はクライス様の代わりにリア様の護衛をかねて、参りました。それより、」
マルクは表向きはクライスの秘書官らしい。
マルクはローラと一緒にいる男を睨んだ。
「そちらの方はどなたですか?男性がいるとは聞いていません!」
ローラはマルクの迫力に引き下がらず強気だった。
「フェリスとは、フェリス子爵様の事ですか?私はコーデリア侯爵の娘です。」
「知っていますよ。」
(何だか、二人の間に火花が見えるのは私だけ!?)
リアはオロオロするのをひきつった笑顔でぐっと我慢した。
「こちらの殿方は私の友人のリーベンス伯爵家のロイド・リーベンスです。」
あなた方より位が上ですわ。という声が聞こえてきそうだった。
「リア、帰りましょう。男がいるとは聞いていません。」
マルクが帰るよう促すと、ローラは勝ち誇った顔で挑発してきた。
「あら、男性がいると何か問題が?まさか下心がおありかしら?」
「マルク、私は大丈夫です。お茶会にしましょう。」
リアはそういうと、こっそり耳元でマルクだけに聞こえるように言った。
「(ヒソッと)社交性を身に付けるチャンスです。頑張ります!」
(こんな奴らに頑張らなくていい!)
マルクは思ったが、お茶会は始まってしまった。


「ローラ様、お茶会のご招待ありがとうございます。」
リアが挨拶をすると、いつの間にか執事のケインがやって来て、ローラに手土産を渡した。
(しまった!手土産がいるんだった!?)
リアはいつの間にか準備されていた手土産に焦った。
「クライス様とリア様からです。」
ケインがローラに差し出し下がろうとするとマルクはケインにありがとう、といい何か耳打ちした。

「ローラ様はクライスと同級生と伺いました。」
「ええ、クライス様とリヒト様は人気者でおもてでいらしたわ。私はよくクライス様といたんですの。」
ホホッ、と笑うローラにリアは戸惑った。
「ローラはクライス様と恋人だったんじゃないのか?」
ロイドがあっさりと言う。
「まあ、そんな。」
ローラはニヤリと笑った。
「今は、リア様に夢中ですけどね!」
マルクはギスギスしたままだった。
ローラは何だか学院時代のクライスの話をし、よく二人でいた事を自慢のように話した。
リアは作り笑いで話を聞き、マルクは苛ついていた。
「まあ、お茶のお代わりがほしいわ。」
そういいながらリアにカップを向けた。
これにマルクは怒りを隠せなかった。
「お代わりが欲しいなら使用人に言えばいいでしょう!リア様はクライス様の大事な方です!」
「ええ、でもこの場では私が一番身分が高いのでは?」
「マルク、私は」
とリアが言いかけると、マルクはバンと立ち上がった。
「では、私があなたを使用人の所にご案内しますよ。どうも、あなたは使用人の姿がお見えにならないようですので!」
マルクは笑顔だったが目が笑ってなかった。
ローラは不機嫌ながらマルクに連れられて行った。
リアとロイドは二人残され、ロイドも少し苦笑いだった。
「はは、何だか火花が見えるようなお茶会になりましたね。」
(あっ、やっぱりそうなんだ。)
リアは同じ事考えてたと思った。
「それにしても可愛らしい方ですね。」
貴族の社交辞令と思いリアは本気にしなかった。
「ローラ様の方が美人ですわ。」
「ローラにはない魅力がありますよ。一目惚れしそうだ。」
ロイドは慣れたように口説き始めリアを見つめた。
リアは何だか不思議だった。
(これがクライスならドキドキするのに)
ロイドに口説かれているのがわからないのかと思う程全くリアの心に響かなかった。
するとスッとリアとロイドの間に手をつき二人をさえぎった。
「俺の女を口説かないで頂きたい!」
いつの間にかクライスが来ていた。
日焼けを嫌うローラが日陰を好み、通路の側にお茶会をセッティングした為、クライスが近付いて来た事に誰も気がつかなかったのだ。
「クライス、どうしたの?お仕事は?」
「終わらせた。」
クライスはロイドを睨んだかと思うと自分のものだとアピールするようにリアの額に軽くキスをした。
「まあ、クライス様、来てくださったんですか?」
ローラはクライスを見て嬉しそうに近付いた。
「マルク、何をしているんだ?」
ローラを無視し、マルクに声をかけた。
「ローラ様は使用人の姿がお見えにならないようで、リア様にお代わりを頼もうとしましたので、私がご案内しました。」
マルクはあっさり白状した。
「まあ、そんな事、リア様とはクライス様との学院時代のお話を楽しくしていたんですのよ。」
ローラは面の皮が厚いのかペラペラと話、クライスに寄ろうとした。
「大体、なぜ男がいる!?聞いてないぞ。ローラ、どういう事だ?」
「私の友人ですわ。リア様にご友人をと」
「リアを勝手に男に会わすな!」
「クライス様?」
ローラはクライスが怒っている事に驚いた。女の事で怒る姿を見た事がなかったからだ。
「クライスやめて下さい。」
リアはクライスを止めようと、なぜか必死になった。
自分を見下していたローラの為に。
「私は大丈夫です。」
「リア、男が来ると分かっていたら行かせなかったのに。」
「クライス、みんなが見ています!」
クライスはお構い無しにリアを抱きしめた。
「では、今日はお開きにしましょう。」

空気を呼んだマルクの一声でお茶会は終わった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】番である私の旦那様

桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族! 黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。 バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。 オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。 気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。 でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!) 大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです! 神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。 前半は転移する前の私生活から始まります。

おばちゃんダイバーは浅い層で頑張ります

きむらきむこ
ファンタジー
ダンジョンができて十年。年金の足しにダンジョンに通ってます。田中優子61歳

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

【完結済】悪役令嬢の妹様

ファンタジー
 星守 真珠深(ほしもり ますみ)は社畜お局様街道をひた走る日本人女性。  そんな彼女が現在嵌っているのが『マジカルナイト・ミラクルドリーム』というベタな乙女ゲームに悪役令嬢として登場するアイシア・フォン・ラステリノーア公爵令嬢。  ぶっちゃけて言うと、ヒロイン、攻略対象共にどちらかと言えば嫌悪感しかない。しかし、何とかアイシアの断罪回避ルートはないものかと、探しに探してとうとう全ルート開き終えたのだが、全ては無駄な努力に終わってしまった。  やり場のない気持ちを抱え、気分転換にコンビニに行こうとしたら、気づけば悪楽令嬢アイシアの妹として転生していた。  ―――アイシアお姉様は私が守る!  最推し悪役令嬢、アイシアお姉様の断罪回避転生ライフを今ここに開始する! ※長編版をご希望下さり、本当にありがとうございます<(_ _)>  既に書き終えた物な為、激しく拙いですが特に手直し他はしていません。 ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽ ※小説家になろう様にも掲載させていただいています。 ※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。 ※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。 ※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。 ※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。 ※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。 ※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。 ※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。 ※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。

【完結】タジタジ騎士公爵様は妖精を溺愛する

雨香
恋愛
【完結済】美醜の感覚のズレた異世界に落ちたリリがスパダリイケメン達に溺愛されていく。 ヒーロー大好きな主人公と、どう受け止めていいかわからないヒーローのもだもだ話です。  「シェイド様、大好き!!」 「〜〜〜〜っっっ!!???」 逆ハーレム風の過保護な溺愛を楽しんで頂ければ。

老聖女の政略結婚

那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。 六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。 しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。 相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。 子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。 穏やかな余生か、嵐の老後か―― 四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。

【完結】転生したら悪役継母でした

入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。 その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。 しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。 絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。 記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。 夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。 ◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆ *旧題:転生したら悪妻でした

混血の私が純血主義の竜人王子の番なわけない

三国つかさ
恋愛
竜人たちが通う学園で、竜人の王子であるレクスをひと目見た瞬間から恋に落ちてしまった混血の少女エステル。好き過ぎて狂ってしまいそうだけど、分不相応なので必死に隠すことにした。一方のレクスは涼しい顔をしているが、純血なので実は番に対する感情は混血のエステルより何倍も深いのだった。

処理中です...