君だけの理解者になりたい

ラリックマ

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そして彼は、今までの失敗を学ぶ……

第57話妙案……

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「じゃあ具体的にどうするか決めていこうと思う」

 俺がそう言うと、橋川が手を挙げた。
 
「つまり、矢木澤を助けるためには、さっきの阿澄あすみ達を何とかすればいいわけでしょ?」

 確認を取るように聞いてくる橋川だが、俺は新しく出てきた名前に困惑する。
 まあ多分”達”とついているところから察するに、さっき花の悪口を言っていた女子のどちらかの名前なのだろう。

「うんまあそうだな……。でもその”何とか”の方法が分からないから、それを今から決める」

 橋川は立ったまま話すのが疲れたのか、近くの机に座った。
 そして、さも考えているかのように、うーんとうなっていた。
 
「じゃあさ、しゅんにお願いしてみるのはどう?」

 何故唐突とうとつに針谷の名前が出てきたのか、そして何をお願いするのか全く分からなかった。
 
「具体的にどういうことだ?」

 俺は首を傾げて、橋川に内容の説明を促す。
 
「つまりだな、あいつらって俊のこと好き? というかファンなのね」

 何ですかそれ?
 高校生の癖に、もうファンとかいんの?
 これがリア充か……。
 俺は地面に膝をついて絶望して、叫びながら地面に拳を叩きつけた。
 その様子を見た橋川が、笑っていた。

「なんだよ……」
 
 クスクスと笑っている橋川の方へ、俺は顔を向ける。

「いやー、だってあんた急に地面に倒れこんで変な声出し始めるんだもん……。私ってそういうキチガイ結構好きなんだよね」

 え?
 何で俺、ほぼ初対面の女子からキチガイとか言われてんの?
 てかさっきから一向に話が進んでない。

「おい、そろそろ真剣に話し合おう」

 そういわれた橋川は、もっと笑い声が高くなった。

「真剣って……くく。あんたがいきなりキチガイの物まねし始めたんじゃない」

 確かに。
 俺のせいでこんなに話がずれてしまっていたのか……。
 俺は針谷への憎しみを心にしまって、橋川のさっきの話の先を話すように質問する。

「それで? あのあすみ? だっけ、そいつらが針谷のファンだとしてどうするつもりなんだ?」

「あー、だから俊にお願いして阿澄達には矢木澤の悪口を言うのをやめてもらえばいいんじゃないかなーって」

 橋川が『あたし天才じゃね!』と、手をポンと打って満足そうにしていたが、果たしてその案はいいのだろうか……。
 針谷が言うことで、あの女子達も一時的には悪口を言わなくなるだろう。
 でも一時的にだ。
 またどこかのタイミングで言い始める。
 むしろおさえていた分、前よりひどくなる可能性もある。

「その案に賛成は出来ない。それじゃあ臭いものふたをするだけで、根本的な解決にならない」

 意見を否定された橋川は不満そうにする。
 だがその一秒後には気持ちを切り替えたのか、また考えるような仕草をし始める。
 そしてはっと顔を上げた。

「根本的に解決すればいいんだろ?」

 自信満々な橋川の顔に、俺も少し期待していた。

「つまり、あいつらを退学にさせてやればいいんだ!」

 自信満々に何を言うかと思えば……。
 何故その案で通ると思ったのか、俺には不思議でならない……。

「却下」

 速攻否定する俺に、これでもかと案を出してくる橋川だが、俺は全部否定した。

「もう出ねーよ。どうすればいいんだよ」

「いやだってお前の出す案ろくなのないんだもん……。なんで退学させるとか、逆にいじめるとかマイナスなものばかりなわけ? もっと平和的解決をだな……」

 文句を言う俺に腹が立ったのか、橋川は茶髪の長い髪の毛をくるくるといじり始めた。

「あんた文句ばっかだけどさ、あんたもなんか一つぐらい案だしなよ」

 確かに俺は、橋川の案を否定ばかりしていて自分の案を全く出していなかった……。
 だが、俺も案がないわけじゃない。
 橋川からもっといい案が出たら、言わなくてもいいと思ったのだが、このままじゃ出そうにない。

「じゃあ教えてやるよ。とっても平和的に解決できる素晴らしい案を」

 そういうと、橋川はのどをごくりと鳴らして、聞く姿勢に入る。
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