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そして彼は、今までの失敗を学ぶ……
第69話彼女の気持ち……
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私は今、また同じことをやってしまったと後悔していた……。
彼の話を、もっとちゃんと聞いてあげるべきだったと思う……。
いつもそうだ。
後から後悔ばかりして、彼との溝は深まるばかりだ……。
どうしてこんなに不器用に育ってしまったのか……。
校舎の校門を抜けて、真っ暗な夜の道を歩きながら自己嫌悪に陥っていた。
彼が私のために、阿澄さんに謝ってほしいとお願いしてきたが、私はそのことに対して聞く耳を持たなかった。
あの時は意味が分からないと言ってしまったが、本当は分かっていた。
阿澄さんと揉めてしまったことにより、また私が前みたいにいじめられるのではないかと彼は考えたのだと思う……。
不器用な彼なりに気を使ってくれたのだと思う。
彼の考えているのことは何だってわかる。
彼は単純で考えが分かりやすいというのもあるけど、それを抜きにしても私は彼のことを誰よりも理解している。
また昔のような関係に戻りたい。
そんなことを毎日のように願っては思っているが、それは難しいことだ……。
一週間前も、私は彼にひどいことを言ってしまった。
言いたくないけど、勝手に口から出てしまった。
もともと好かれていないのに、余計嫌われてしまったと思った。
こんな暴言ばっか吐く女なんて、嫌われて当然だ……。
もとより嫌われるために、彼に暴言を吐いていたんだ。
これで完全に嫌われた……。
後悔はあるが、それでもまた彼と離れ離れになって悲しい思いをするぐらいなら、いっそ嫌われてしまえばいいと思った。
不器用な私なりに、そんな答えをだして、ケジメはきちんとつけたと思った……。
でも……。
あの後教室にある荷物を取りに戻ると、優太と橋川さんの会話が聞こえてきた。
あの二人に接点があったのは知らなかったが、今の私にはどうでもいいことだった。
別に付き合っているわけでもないし、優太が他の誰と喋っていようが私には関係ない。
それでも今教室に入るのは気まずかったので、私は教室の外の壁に寄りかかり、二人の会話に聞き耳をたてていた。
どうでもいいと思ったが、やはり優太が私以外の人間とどんな会話をするのか気になっていた。
楽しそうに喋っていたら嫌だなとか思っていた。
自分から嫌われようとしていた癖に、未練しかない。
本当に面倒で嫌な女だと自分でも思う……。
二人の会話は廊下からではよく聞き取れず、一部分だけしか聞こえなかった。
でも優太の一言だけは、はっきりと鮮明に聞こえた。
「ああ、俺はあいつが……、矢木澤花が大好きだ」
それを聞いてしまった私は、力が抜けて、床に尻もちをついた。
自分の口を両手で押さえて、声が出ないようにした。
それでも少しだけ漏れてしまったかもしれない。
彼に嫌われていなかったどころか、そんな風に思ってもらえていたとは知らなかった。
安堵と嬉しみで、私の目からは涙が止まらなかった。
また泣いてしまった。
本当に弱い女だ。
彼は私が強くて孤高な女の子と思っているようだが、そんなことは全然ない。
彼の前で強がっているだけだ……。
本当の私は、弱くて、泣き虫で、臆病で、不器用で、めんどくさくて……。
悪いところを上げればきりがない。
そしてちょうど話が終わったらしく、二人が教室から出ようとしていた。
こんなところを見られたくないと思い、慌てて隣の教室に入ろうとするが、一歩遅かった。
入ろうと教室のドアに手を掛けた時に、ちょうど橋川さんと目が合ってしまった。
最悪だ……。
こんな姿を優太に見られたくない……。
私は声も出ずにひたすら戸惑っていたが、橋川さんはにやっと少し口角を上げた後に、何事もなかったかのようにそのまま帰ってしまった。
そして隣の教室に入ってから数秒後に優太が出てきた。
危なかった。
幸い優太には見られなかった。
こんな姿を見られたら、優太は何て思うのだろう……?
失望させてしまうのだろうか?
または慰めてくれるのだろうか?
今の彼は、私のことをどう思っているのだろう……?
だめだな私は……。
彼のことを理解していると言いつつも、まだまだ分からないことだらけだ……。
彼は臆病で不器用でめんどくさがりで……。
案外私と似ているのかもしれない。
私は強く見せるために偽っているが、本当の私と彼は似ているのだろう……。
彼のいいところを上げろと言われたら難しい。
だって私と同じで、傍から見たらいいところなんて一つもないのだから……。
でも……私はそんな優太が大好きだ。
他の人間には分からないかもしれないけど、私には分かる。
私にしか分からない。
ダメなところ全部合わせて、私は矢須優太という人間が好きなのだ……。
だから……。
もしまた前みたいにいじめられたとしても……。
それでもまた、優太が隣にいてくれるならいいかな……。
彼の話を、もっとちゃんと聞いてあげるべきだったと思う……。
いつもそうだ。
後から後悔ばかりして、彼との溝は深まるばかりだ……。
どうしてこんなに不器用に育ってしまったのか……。
校舎の校門を抜けて、真っ暗な夜の道を歩きながら自己嫌悪に陥っていた。
彼が私のために、阿澄さんに謝ってほしいとお願いしてきたが、私はそのことに対して聞く耳を持たなかった。
あの時は意味が分からないと言ってしまったが、本当は分かっていた。
阿澄さんと揉めてしまったことにより、また私が前みたいにいじめられるのではないかと彼は考えたのだと思う……。
不器用な彼なりに気を使ってくれたのだと思う。
彼の考えているのことは何だってわかる。
彼は単純で考えが分かりやすいというのもあるけど、それを抜きにしても私は彼のことを誰よりも理解している。
また昔のような関係に戻りたい。
そんなことを毎日のように願っては思っているが、それは難しいことだ……。
一週間前も、私は彼にひどいことを言ってしまった。
言いたくないけど、勝手に口から出てしまった。
もともと好かれていないのに、余計嫌われてしまったと思った。
こんな暴言ばっか吐く女なんて、嫌われて当然だ……。
もとより嫌われるために、彼に暴言を吐いていたんだ。
これで完全に嫌われた……。
後悔はあるが、それでもまた彼と離れ離れになって悲しい思いをするぐらいなら、いっそ嫌われてしまえばいいと思った。
不器用な私なりに、そんな答えをだして、ケジメはきちんとつけたと思った……。
でも……。
あの後教室にある荷物を取りに戻ると、優太と橋川さんの会話が聞こえてきた。
あの二人に接点があったのは知らなかったが、今の私にはどうでもいいことだった。
別に付き合っているわけでもないし、優太が他の誰と喋っていようが私には関係ない。
それでも今教室に入るのは気まずかったので、私は教室の外の壁に寄りかかり、二人の会話に聞き耳をたてていた。
どうでもいいと思ったが、やはり優太が私以外の人間とどんな会話をするのか気になっていた。
楽しそうに喋っていたら嫌だなとか思っていた。
自分から嫌われようとしていた癖に、未練しかない。
本当に面倒で嫌な女だと自分でも思う……。
二人の会話は廊下からではよく聞き取れず、一部分だけしか聞こえなかった。
でも優太の一言だけは、はっきりと鮮明に聞こえた。
「ああ、俺はあいつが……、矢木澤花が大好きだ」
それを聞いてしまった私は、力が抜けて、床に尻もちをついた。
自分の口を両手で押さえて、声が出ないようにした。
それでも少しだけ漏れてしまったかもしれない。
彼に嫌われていなかったどころか、そんな風に思ってもらえていたとは知らなかった。
安堵と嬉しみで、私の目からは涙が止まらなかった。
また泣いてしまった。
本当に弱い女だ。
彼は私が強くて孤高な女の子と思っているようだが、そんなことは全然ない。
彼の前で強がっているだけだ……。
本当の私は、弱くて、泣き虫で、臆病で、不器用で、めんどくさくて……。
悪いところを上げればきりがない。
そしてちょうど話が終わったらしく、二人が教室から出ようとしていた。
こんなところを見られたくないと思い、慌てて隣の教室に入ろうとするが、一歩遅かった。
入ろうと教室のドアに手を掛けた時に、ちょうど橋川さんと目が合ってしまった。
最悪だ……。
こんな姿を優太に見られたくない……。
私は声も出ずにひたすら戸惑っていたが、橋川さんはにやっと少し口角を上げた後に、何事もなかったかのようにそのまま帰ってしまった。
そして隣の教室に入ってから数秒後に優太が出てきた。
危なかった。
幸い優太には見られなかった。
こんな姿を見られたら、優太は何て思うのだろう……?
失望させてしまうのだろうか?
または慰めてくれるのだろうか?
今の彼は、私のことをどう思っているのだろう……?
だめだな私は……。
彼のことを理解していると言いつつも、まだまだ分からないことだらけだ……。
彼は臆病で不器用でめんどくさがりで……。
案外私と似ているのかもしれない。
私は強く見せるために偽っているが、本当の私と彼は似ているのだろう……。
彼のいいところを上げろと言われたら難しい。
だって私と同じで、傍から見たらいいところなんて一つもないのだから……。
でも……私はそんな優太が大好きだ。
他の人間には分からないかもしれないけど、私には分かる。
私にしか分からない。
ダメなところ全部合わせて、私は矢須優太という人間が好きなのだ……。
だから……。
もしまた前みたいにいじめられたとしても……。
それでもまた、優太が隣にいてくれるならいいかな……。
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