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プロローグ
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きぃんと、金属がぶつかり合う高い音が響く。
腕にかかった負荷を流すように剣身をすべらせ、再度打ち込み、また剣がぶつかる。まるで稽古をするようにリズミカルに打ち合いながら、一度離れた方がいいとヴィンは距離を取った。
軽くいなされているのはわかっていても、焦りは少しもない。向き合うと、アーティスは魔王らしく楽しげに喉の奥で笑う。そして、ああ、と万感の思いを込めるように嘆息した。
「やっと、すべてを終わらせることができる」
「それは、こっちの台詞だよ」
剣を掲げ向き合いながら、ヴィンは普段と変わらない自然体のまま、アーティスの鮮やかな真紅の瞳をまっすぐに見つめる。きれいだ、と思う。苛烈な怒りに染められていたら、もっときれいなのだろうと想像してみる。けれどヴィンが敵対しているこの状況でさえ、怒りが少しも感じられないのだから残念でしかない。
「勇者を遠ざけて、よかったのか?」
くだらない質問だ。
は、とヴィンは軽く息を吐く。
「勇者なんて、どうでもいい。僕はこの地に来るために、一緒にいただけだ」
目的地、利害の一致で行動を共にしていただけで、魔王討伐の仲間になったわけではない。
「利用されたんだ、勇者は」
「だから?」
使えるものは、使うべきだ。ただでさえ勇者パーティの中にはろくでもない人間がいるのだから、罪悪感を持つ方が難しい。因果応報、行いはいずれ返ってくる。最後に目が合って、ヴィンのことをどう思ったとしても関係ない。どうでもよかった。
「いや、さすがは俺の弟子だなって」
「弟子じゃない」
そんな言葉で、片付けてほしくない。
睨み付けると、はあ、と深いため息が落とされた。
「おまえを俺のそばに置き、育てたのが間違いだったんだ」
後悔が滲む声はきっと、アーティスの本音だ。
正しくそれを、ヴィンは理解できる。
「そうかもしれないね」
誰かにまかせ、一切関わらずにいればきっと、今のこの状況にはなっていなかった。けれどもう、後戻りはできない。
愛しているからこそ、譲れないものがあった。
「さあ、世界の意思を無視した、盛大な痴話げんかを始めようか」
腕にかかった負荷を流すように剣身をすべらせ、再度打ち込み、また剣がぶつかる。まるで稽古をするようにリズミカルに打ち合いながら、一度離れた方がいいとヴィンは距離を取った。
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「やっと、すべてを終わらせることができる」
「それは、こっちの台詞だよ」
剣を掲げ向き合いながら、ヴィンは普段と変わらない自然体のまま、アーティスの鮮やかな真紅の瞳をまっすぐに見つめる。きれいだ、と思う。苛烈な怒りに染められていたら、もっときれいなのだろうと想像してみる。けれどヴィンが敵対しているこの状況でさえ、怒りが少しも感じられないのだから残念でしかない。
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くだらない質問だ。
は、とヴィンは軽く息を吐く。
「勇者なんて、どうでもいい。僕はこの地に来るために、一緒にいただけだ」
目的地、利害の一致で行動を共にしていただけで、魔王討伐の仲間になったわけではない。
「利用されたんだ、勇者は」
「だから?」
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睨み付けると、はあ、と深いため息が落とされた。
「おまえを俺のそばに置き、育てたのが間違いだったんだ」
後悔が滲む声はきっと、アーティスの本音だ。
正しくそれを、ヴィンは理解できる。
「そうかもしれないね」
誰かにまかせ、一切関わらずにいればきっと、今のこの状況にはなっていなかった。けれどもう、後戻りはできない。
愛しているからこそ、譲れないものがあった。
「さあ、世界の意思を無視した、盛大な痴話げんかを始めようか」
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