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第4章 ルーベルト王国王都

第三十五話 勇者と賢者とアデレード②

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 魔力量が多いことは知っていたがまさか∞とは思っていなかった。これは秘匿にすべきことだなとすぐさま判断する。
 賢者達も同じ判断をしたらしい。聖女には口止めしていたのは幸いであった。
「しかし、魔力∞で完全防御型の三属性の上に聖女と来たか……。これは火種となりかねんな……」
「あぁ。ただの聖女ならまだ大丈夫だっただろうが、ここまでハイスペック過ぎると他国が欲しがる可能性もある」
「えぇ、そうですね」
 そう、その通りなのである。
 聖女というのは存在するだけで、世界にとってもそれぞれの国にとっても影響が大きい存在なのだ。聖女がいるだけでその国は魔物に襲われにくくなる。
 その聖女が超ハイスペック人間ならば欲しがる国は五万といるだろう。
 アデレード達はそれを危惧していた。
 もし、もし万が一聖女が何か危険な目に会えば大変まずい事態となりかねない。彼女を欲しがる国が例えば他の五大王国だったら……。
 三人はゴクリとつばを飲み下した。
 いくら円満な関係を築き上げているからといっても、自国の安寧のためならば手段を選べないこともあるのをアデレードは知っていた。
 その時は如何なる犠牲があろうとも国を守るのが国家の努め。冷酷な選択や批判があろうとも決断をくださなければならない時だってあるのだ。
 ……自分がしたのと同じように。まぁ、わざわざ喧嘩を吹っかけてくることはあまりないだろうが……。
 三人は聖女を守らなければならないことの重要性を改めて認識した。
 それはもう、最重要国家機密レベルで……。
「なるほど……。これはすぐに耳に入れたいわけだ……」
 アデレードはふぅ、と重いため息をついた。
 しかし、これ程聖女が重要な鍵となってくるとは思ってもみなかった。これ程の力を持つ聖女は果たしてどのような人物なのか気になるところである。
 姿容姿は影の報告で、ある程度把握しているあとは性格なのだが……。
「彼女はどのような人物なのだ?特に性格なのだが……」
「そうですね。元気で素直な少女と言ったところでしょうか?まだ少ししか接していないので今はなんとも……」
「話した限り、好奇心旺盛で自由に行動することを好んでいることはわかったがな」
 ふむ……。やはり自分の目で見極めるべきだなとアデレードは考えた。
 今日の午後から例の聖女と面会をする予定が入っている。
 ちょうどいいので、どのような人物かアデレードは自分で確かめることにした。
 何だかんだ言って自然と面会が楽しみになってくるのを感じる。
 アデレードは、はやる気持ちを抑えながら侍従に急いで面会の準備をさせることにした。

 その後の面会で結菜と王が意気投合して、話に夢中になる様子を何人かの者たちが目撃することになる。
 その内容は経済、政治、農業などなど多岐にわたった。
 いい話相手になりそうである。……まぁ、それはまた別のお話。


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