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第一章 名も無き蝙蝠
第1話 転生
しおりを挟む周りの騒がしさで意識が覚醒する。
俺は何故か高い所から緑色の醜い生物を見下ろしていた。
逆さまの視界で。
「キキッ」 (どういうこった?)
は? 今のって俺の声か?
待て待て。そんな事より俺は飛び降りたはずだよな? マジでどうなってんだ?
ってか視界が逆さまで気持ち悪い……事もないな。
血が上ったりしないのか? 俺はどういう状況だ? 吊るされてんのか?
そこから、俺はゆっくり現状確認をした。
何故か視界には緑色の醜い生物がいるし。
俺がいるのはバレていないのか、それとも気にしていないのか。
場所は…どこだこれ? 周りは岩ばっかりの洞窟みたいな感じ。鍾乳洞? わかんね。
そして、手を動かそうとした時だ。バサっと音がしてそちらを見る。
すると、小さな翼があった。
んー? これ、俺のか? 手が翼?
反対側にも翼があって、手を動かす感覚で動かすと翼が動く。
あーこれ、あれか。輪廻転生で鳥になった感じか。いや、逆さ吊りだし蝙蝠か?
へー。輪廻転生って本当にあったんだな。
そして、蝙蝠か。人殺しにはお似合いなんじゃない
それより、うるせぇな。この下の生物。
ギャーギャー喚きやがって。
そういえば蝙蝠ってめっちゃ耳が良いんだっけ?
ん? あれ? 視覚は無かったんじゃなかったっけ? 図書館の図鑑でそんな事を書いてた様な気がするんだが。なのに視界は逆さまだが、しっかり見えてる。
緑色の醜い小人みたい。
そう、まるでラノベのゴブリンの様な。
ふむん? 俺はラノベ知識はそこそこある。
図書館にあった本を読んでみて、面白かったのもあるし、スマホで無料で読めて暇つぶしにもなった。
勇者が正義面するのは嫌いだったが。勇者がなんだと虫唾が走る。
あいつら、自分達は魔物を殺して食べたり武器にしたりする癖に、人間が殺されると逆ギレしやがるからな。
自分都合でしか物事を考えてねぇんだ。
まぁ、人殺しの俺がこんな事言っても説得力は皆無だが。自己満足に人を殺し回って最後は自殺で逃げた訳だし。
それはさておき、俺の視界に見えているのはラノベでは雑魚扱いされているゴブリンにそっくりである。
ってー事はここは異世界ってやつか? 俺が知る限り地球にゴブリンらしき奴は居なかったし。
それなら、俺は蝙蝠っぽい魔物とかモンスターなのか? 視覚がある事だしそれなら納得である。
疑問ばっかりだが、とりあえずの現状確認は済んだし動きたい。
でもなぁ。
視界を下にやると、未だに喚いてる仮称ゴブリン。
今動くとこいつらにはたき落とされそうだ。まず飛べんのかって話だし。こいつらがどっか行くまでぼーっとしとこう。
「キキッー」 (やっと消えてくれた)
どれくらい経ったのかは分からんが、とにかくやっといなくなってくれた。
そしてその間にまた分かった事がある。
「キキキキッキー」 (スモール・レッサー・バットねぇ)
自分の内側に意識を向けると何故か情報が手に入った。
スモール・レッサー・バット。
小さくて劣っている蝙蝠らしい。馬鹿にされてる気がしてならない。
更にもう一つ、俺には【吸血】という能力があるらしい。前世で殺した後に血を舐めていただからだろうか?
試しにゴブリンがいる時に使ってみようと思ったが使えなかった。
恐らく接触して、口にあるとても小さな牙を突き立ててやらないといけないんだろうと考えている。
そんな感じのラノベを読んだ事があるからな。ラノベ知識が頼れるかは分からないけど。
とりあえず、お腹が空いた。どうやら魔物になってもお腹が空くらしい。
ゴブリンも居なくなったし、小動物でも探そう。
そう思って飛び立とうとしたんだが。
「キキッ!」 (痛てぇ!)
落ちた。羽ばたいたつもりなのに。
「キキキキキッキキッ」 (まずは飛ぶ練習だな)
いつゴブリン共が帰ってくるかも分からん。
せめてもう一度逆さまになれる様にしなければ。
それから俺は必死に翼を動かした。
とりあえず、短時間なら飛べる様になった。
しかし、これはかなり疲れる。
飛んで、休憩。飛んで、休憩。
そんな事をしながらちょっとずつ移動していく。
無様な移動を繰り返していると、丁度真下辺りに俺と同じサイズぐらいのネズミらしき生物を見つけた。
これも魔物なのか?多分魔物だったら俺みたいに何かしら能力を持っているだろう。
ネズミの能力ってなんだ? 噛み付くとか?
それなら背中に貼り付いて噛み付いて【吸血】使ったらいけるか?
でもネズミかー。
絶対美味しくないだろ。
うーん。空腹感も結構限界なんだよなぁ。
……背に腹はかえられねぇ!
美味い事を願っていきますか!
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