サイコパス、異世界で蝙蝠に転生す。

Jaja

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第四章 迷宮都市ラビリントス

第73話 兄妹

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 「いぎっ! や、やめ…ふぐぅ」

 「ふむぅ。どうしたもんかな」

 尾行してきた男から大体の情報は抜いた。
 本当の事言ってるかは分からないけど。
 だから拷問を続けてる。
 ……嘘です。考えながら暇だなと思って。
 裏路地辺りにいるからそんなに目立ってないと思うけど、あんまり長居するのも良くないかなぁ。

 「いぎゃ! た、頼む! 知ってる事は全部言った! もうやめてくれ!」

 「まだ喋る余裕あるじゃんね」

 「ぎゃー!!」

 ほえー。
 爪の間は神経が過敏になってるって言うけど本当の事なんだねぇ。



 「けひゅー。けひゅー」

 思いの他、興が乗ってしまった。
 指先を潰しては妲己に再生してもらうを繰り返したり、ちょっとだけ皮を剥いで筋肉や内臓を直接つついてみたり。
 結構良い反応してくれるもんで、長い事続けすぎたな。
 消音結界張ってるから大丈夫だろうけど、そろそろ移動しないとな。
 商会も潰さないといけないし。
 どうも商会は隠れ蓑らしいけど。そんな手間は変わらないだろ。

 「ん?」

 視線を感じたので、その方向を見てみると、身窄らしい格好をした7~10歳ぐらいの兄妹? がこちらを見ていた。
 俺がその兄妹を見ると、ビクッとしたように姿を隠したが、少し経つとまたこちらの様子を窺う。

 「なんだ? もしかしてこれが父親とか?」

 それだったら申し訳ない事したね。
 むしゃくしゃしてたんだ。後悔はしてない。

 「何か用かな? これ、欲しいの?」

 血塗れで肉団子一歩手前だけど。
 欲しいならあげるよ。
 子供には優しいんだ、俺。

 「い、いらないぞ! そんな奴!」

 少年の方が腰を引けながらも勇ましく声を張り上げる。
 少女の方はコクコクと頷くだけ。

 「えっと、じゃあ何で見てるのかな?」

 子供には優しいと自負してる俺だが、接し方がわからぬ。
 なるべく優しい口調で話し掛ける様に心掛けてるけど、この肉団子のせいで台無しだな。

 「そ、そいつはムカつく奴だが、手を出したらヤバいんだぞ! 黒蝶の奴らが報復してくるんだぞ!」

 あれま。
 まさか俺の心配をされてらっしゃる?
 こんな所に居るぐらいだからまともな生活も出来てないだろうに。
 親御さんの教育が良かったのかね。
 羨ましいね。
 ん? ってか、良くこいつが裏組織の人間って知ってたな?

 「近いうちに黒蝶は潰すから大丈夫だよ。あ、でも死体をここに放置してたら、ここらの人間が疑われるか。こいつは後で商会に放り込んでやろう」

 1番疑われるのは俺だろうけど。
 そこは気にしてはいけない。

 「つ、潰すって…。そんな簡単な事じゃないんだぞ! 俺達の父ちゃんと母ちゃんだって…」

 ギリリと歯を食いしばってるが、何だろう?
 黒蝶に殺されたのかな?
 それなら、知ってても納得なんだが。

 「大丈夫大丈夫。お兄さんはこう見えてもちょっと強いんだよ?」

 「こう見えて…? どう見ても強そうには見えるんだぞ」

 まぁ、こんな事してたら強そうには見えますよね、はい。
 むむう。やはり接し方がわからぬ。
 グレースを出すか?

 「ふむ」

 とりあえず【魔眼】を使って情報を見てみる。

 『名前  ウェイン
  人種  ヒューマン
  Lv 6
  【ユニークスキル】
  創意工夫
  【スキル】
  身体強化Lv1
  調合Lv2
  錬金Lv1                  』

 『名前  テレサ
  人種  ヒューマン
  Lv 3
  【ユニークスキル】
  虹魔こうま
  【スキル】
  家事Lv2
  身体強化Lv1            』


 「どぅえ!?」

 「な、なんだ!?」

 いやいや、変な声出たわ。
 えげつない掘り出し物を引き当ててしまったかもしれない。
 探してたユニークスキル持ちじゃん。

 「んんっ! ええっと、お前達は親は居ないのか?」

 「くっ! そうだぞ! 黒蝶の奴らに殺されたんだぞ! 俺達2人はなんとか逃げれたんだぞ…」

 「そうか。なら俺と一緒に来るか? 黒蝶もしっかり滅ぼしてやる」

 ここで嫌と言われたら無理矢理血を飲ます所存。
 子供に優しいのは時と場合によるみたいだ。
 これじゃあ前世の毒親とやってる事変わらないな。

 「お、俺達に一体何をさせるつもりだぞ!?」

 「勿論、それなりに働いてはもらうが。無茶な事はさせないつもりだ。(当社比)」

 少年ウェインは妹であろうテレサを後ろ手に庇いながら考えている。
 ってか、肉団子の前でこんな会話出来るってこいつら結構図太いな。
 こんな事は日常茶飯事だったのかね。

 「……俺達に何が出来るのか分からないが着いていくんだぞ」

 「よろしい。歓迎しよう」

 かくして、俺は偶然ユニークスキル持ち2人を仲間に引き入れる事にした。
 今考えたら、こんな得体の知れない男に良く着いていこうと思ったな。
 それだけ生活が限界だったのかも知れんが。




 「お前達は荷物とかはあるのか?」

 「家に、父ちゃんと母ちゃんの仕事道具があるからそれは持って行きたいぞ」

 「それは構わんが。お前達の両親は何の仕事をしてたんだ?」

 「薬師だぞ。錬金術も出来たんだぞ!」

 ほほー。
 何か読めてきたな。
 大方、黒蝶に何かを作れと言われて拒否して殺されたとかそんなんだろう。
 馬鹿な奴等め。
 子供を人質に取って無理矢理作らせれば良かったものを。
 俺ならそうするね。いや、眷属にする方が早いか。
 まあ、そのお陰でこの2人に出会えたんだから感謝かね。

 「では、先にお前達の家に向かうとしよう。場所は?」

 「大通りからちょっと外れた所だぞ。でも黒蝶の奴らが待ち構えてるかも知れないぞ。あいつら、俺がちょっと父ちゃん達の仕事を手伝ってたのを知っているんだぞ。俺に無理矢理作らせようとしてるんだぞ」

 「ふむ。あの辺か。なら俺1人で向かうか。お前達は俺の愉快な仲間達と交流を深めておいてくれ」

 「ふえ?」

 「ぴゃ」

 俺はそう言いながら、問答無用で影の中に2人を放り込む。
 グレースがなんとか上手くやってくれるだろう。

 「そう言えば、最後まで妹の方は喋らなかったな。最後に可愛らしい悲鳴は聞こえたが」

 まぁ、良いか。
 これから仲良くなれれば。
 そう思いながら俺は2人の家に向かった。
 
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