サイコパス、異世界で蝙蝠に転生す。

Jaja

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第四章 迷宮都市ラビリントス

第74話 兄妹の能力

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 「ここか。確かに周りによろしくない雰囲気の奴らが何人かいるなぁ」

 こいつらも、肉団子にして商会に放り込もう。
 む? すると、兄妹が疑われるのか?
 いや、流石に兄妹がやったとは思われないか。
 庇護下においたから狙われても守るから大丈夫だけど。

 「あ、やっぱりこいつらは串刺しにして、夜に商会前に張りつけてやろう。あのいつだったか、忘れたけど迷宮で串刺しにした冒険者も黒蝶の手下らしいし」

 あんなずっと前の事なのに未だに犯人探ししてるとはな。
 暇な奴らだな。
 って事で、レッツアートタイム!




 「おーい! 見張り的なのは片付けたぞー」

 「お疲れ様です」

 「あれ? 兄妹は?」

 「あちらで、妲己とアシュラと遊んでおります」

 見てみると、すごろくをして遊んでいた。
 無理矢理影の中に入れた俺が言うのもなんだけど、馴染みすぎてない?

 「最初は混乱してましたよ。特に妹のテレサはアシュラを見て泣き出しましたし。妲己と私で宥めましたが。ウェインは割と直ぐに慣れましたね」

 「レト様? でいいんだぞ? ここは凄いんだぞ!」

 「ん? ああ。名前を言ってなかったな。好きに呼んでくれ。ここは俺の魔法…もう魔法じゃなくなったのか? まぁ、それで作った物だと思ってくれれば良い。自分の家だと思って過ごしてくれ」

 「ウェインだぞ! 魔物が居てびっくりしたぞ!」

 「まぁ、仲良くやってくれ」

 「………テレサなの」

 「レトだ。よろしく」

 「……」

 「……」

 ふむ。仲良くなるには時間がかかりそうだ。
 どういう会話が正解なのかわからん。

 「あ、今なら家に入れるぞ。さっさと荷物をまとめよう」

 「わかったぞ!」

 「……」

 テレサにじーっと見られている。
 なんだろうか? まさか、惚れられたか?
 かーっ。モテる男は辛いね。
 こんな幼女も惚れさせてしまうとは。
 
 テレサに渾身の笑顔をお見舞いする。

 「にこーっ」

 「びくっー」

 走って逃げられた。
 それはもう脱兎の如く。
 良く考えたら俺が見せた姿って肉団子を作ってる所だったな。
 惚れられる要素0でしたわ。


 「よーし! どんどん影に放り込め。調合器具と錬金器具も入れろー。俺はこの辺の資料的なのを読んでおく」

 テレサに逃げられてショックを受けつつも、引っ越しを進める。
 薬師を営んでただけあって、色々な器具が揃ってるな。
 ウェインの為に一から揃えなくてもいいのは嬉しい。
 何がいるとか全く分からんしな。

 「ふむん。この辺はレシピか? 専門用語がいっぱいで理解出来ないが。なんで黒蝶の奴らはこれをパクっていかなかったんだろうな」

 薬師とか錬金術師は希少なんだろうか。
 子供にやらせようとしてるぐらいだしなぁ。

 「む? ん? ほほー。これはこれは」

 兄妹の両親は結構凄腕だったのかな?
 調合と錬金の基礎から応用までの本もしっかりあるし、論文的なのも沢山ある。
 ウェインの為にも有り難く頂こう。



 「よし、全部入れたな? 黒蝶の奴らが異変に気付く前に出て行くぞ」

 「分かったぞ…」

 持っていける物は全部影の中に入れて、残ったのは備え付けの物だけ。
 ウェインとテレサはほぼ何も無くなった家を見てしんみりしてる。
 まぁ、ずっと親と過ごした家だから仕方ないか。
 俺にはちょっと理解しがたい気持ちだが。

 「黒蝶はしっかり潰してやるから安心しろ。お前らの両親の仇はしっかり討ってやる。なんだったらお前達にやらせてやろうか?」

 「俺達がだぞ…?」

 「やりたいの!」

 「おお…」

 ウェインは戸惑ってる感じだったが、テレサが食い気味に賛成の意思を示した。
 思わず俺も気押されてしまったぜ。
 まさかの、物静かだったテレサは過激派だったのかもしれん。
 両親の仇討ちをしたいだけかもだが。

 「ふむん。まぁ、少し強くなる必要があるけど、テレサは問題ないな。そのスキルがある。ウェインは戦闘向きのスキルじゃないけどどうする? 拷問ぐらいなら出来るぞ」

 おっと。
 俺基準で考えてたけど、子供に拷問とかさせるのは無しか?
 いや、英才教育は早い方が?
 俺の子育ての実績は妲己とアシュラだけだからな…。
 あれ? 2人ともちゃんと育てられてるし、問題ないのでは?


 「スキルだぞ? 急に使える様になる能力の事だぞ?」

 「あ、そういえば説明してなかったな。果たして、子供に分かる様に説明出来るか…」

 「レト様。よろしければ、私から説明致します。それにレト様が迎え入れたという事はユニークスキル持ちですよね? 私もこの子達がどんな能力を持っているのか気になります」

 「じゃあお願いしようかな。グレースの説明が終わったら、2人のユニークスキルも教えるよ」

 その間に俺は荷物の整理でもしますかね。
 適当に放り込みすぎてごちゃごちゃになってるし。
 あ、串刺しの死体も作らないと。
 死体だけ影の中に入れてそのままだったからな。



 「じゃあウェインのユニークスキルから。スキルとユニークスキルの違いについては理解したな?」

 「多分大丈夫なんだぞ!」

 テレサもこくこくと頷いてるし大丈夫だろう。
 グレース先生感謝です。

 「ウェインのユニークスキルは、【創意工夫】。簡単に言えば生産系のスキルはなんでも覚えれて、成長率に補正がかかり、出来た作品のクオリティもかなり上がるみたいだな。完全になろう系の主人公です」

 これぞ、ユニークスキルって感じのスキル。
 俺は生産系に興味無かったから有り難いよね。
 今はまだまだ覚えてる生産スキルのレベルが低いけど、これが上がってくるとかなり有用だろう。
 お前は主人公になれる逸材だ。

 「良いですね。私達に生産スキル持ちは居なかったですし。将来が楽しみです」

 「沢山の物が作れるって事だぞ? 父ちゃん達と一緒なんだぞ!」

 そうだなぁ。
 将来的には両親を超えるだろう。
 是非是非頑張ってもらいたいね。
 戦闘系じゃないから、どうだと思ったけど本人が嬉しそうにしてて良かった。
 男の子は強さに憧れるもんだと思ってたしね。

 「テレサのユニークスキルは【虹魔】。これは、全ての魔法属性を覚えられるっていう、ぶっ壊れスキルだな。それに、魔法を行使する時の魔力消費や効率についても補正がかかる。まぁ、魔法書を手に入れる迄は日の目を見ないユニークスキルだが、それさえクリアすればやばいスキルって事だ」

 「凄いですね。そんなユニークスキルがあったなんて。私達なら魔法書も用意出来ますし、テレサはかなり強くなりますよ」

 グレースがテレサの頭を撫でながら褒めちぎる。
 ふむふむ。褒めて伸ばすのがいいのかしらん?
 グレースはしっかりとコミュニケーションを取れてるみたいで羨ましい。

 「……えへへ。私頑張るの」

 「とりあえず今、魔法書が二冊あったろ? 後で渡してやってくれ」

 「かしこまりました」

 テレサは将来、超弩級の魔女っ娘になってるだろう。
 迷宮攻略を進めて魔法書を沢山手に入れないとな。

 「さてと。残すは眷属化なんだが」

 どうしたもんかねぇ。
 いや、眷属にしたい気持ちはかなりあるんだが。
 グレースの時の惨状を見てる訳で。
 果たしてこの兄妹に耐えられるのだろうか。
 そして、絵面的にありなんだろうか。
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