サイコパス、異世界で蝙蝠に転生す。

Jaja

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第四章 迷宮都市ラビリントス

第101話 100階のボス

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 とうとう100階。
 今日はボスに挑む。現在はボス部屋前で休憩してる所だ。

 「これで迷宮終わりっぽいよな。明らかにボス部屋が豪華だもん。これで更に先があるって言われたら詐欺だぞ。訴えたら100%勝てる」

 「荘厳ですね。何か圧倒される様な雰囲気の扉です。謁見扉をこういうのにすると良さそうです」

 なるほどな。それは面白そう。
 他国の使者は威圧されるだろう。
 俺が国を作る事になったら、これよりももっと神々しく、そして禍々しい扉にしよう。
 この矛盾した扉をウェインは作る事は出来るのかな? 俺は出来ると信じてるぞ。

 「ボスはなんだろうなぁ。ドラゴンとか期待してるんだけど。竜王みたいなのが出て来たら詰むだろうけど、なんか良い感じの強さで出て来てくれんかね」

 「ドラゴンですか。私は一度見た事がありますね。下位竜でしたが教皇直属の超越者が討伐するのに同行した事があります」

 「へぇー。強かった?」

 「あの時は強そうでしたが、今なら良い勝負が出来ると思います。討伐出来るかは微妙ですね」

 「下位竜でそのレベルか。やっぱりドラゴンって強いんだな」

 「妲己なら勝てると思いますが」

 妲己は魔王だから。世界が認めてなくても魔王だから。異能がないのに強すぎんだよ。設定ミスを疑ってます。

 「さーて、挑むか」

 全員、程良く緊張してるな。
 あ、ウェインは参加しません。影の中で待機です。残念ながらもう着いてこれないんだよね。
 本人はもう諦めてるのか、割り切ってるみたいだけど。せめて運動神経があればね…。

 扉を開けて部屋に入る。
 部屋の中はかなり広い大広間になっていて、部屋の端にある松明の様なのがボボボっと点灯していく。
 よくあるラスボス演出みたいだな。


 『セイント・グリフォン
  名前  無し
  【魔物能力】
  聖光魔法
  風塵魔法
  鷲の目
  猛毒撃
  立体機動     
  剛毛鎧
  覇王気         』


 「グリフォン。グリフォンねぇ。……ありだな!!」

 「今までの相手とは比べ物にならないぐらいの強さですね。かなり苦戦しそうです」

 どんな魔物だろうと、わくわくしてたらファンタジーでの強者の定番、グリフォンだった。
 頭にセイントがついてるのは些細な問題だろう。黄金戦士じゃあるまいし。

 体長は5mぐらい? 妲己と一緒ぐらいだ。
 冠言葉にエンペラーやらキングやらはついてないが、王の風格的なのを感じるな。
 しかし……。

 「でもさぁ、これステージミスじゃない? 天井低いけど?」

 低いといっても、ジャンプして届いたりする訳では無いが飛行タイプとして出てくるには間違った場所だ。
 せっかく飛べるのに活かしきれてないじゃんね。

 「アシュラは苦戦するか? 遠距離攻撃の手段が未だにないからな。少しでも飛ばれたらお手上げだし、まずは翼から狙うか」

 「かしこまりました」

 別に飛べなくはないからね、この天井でも。
 機動力を十全に発揮出来ないだけであって。

 「妲己、テレサ。【雷魔法】で飛ばないように牽制してくれ。俺とアシュラとグレースは接近して翼を狙うぞ!」

 「キュンキューン!」

 「堕ちるの」

 「グルルルオオォォ!!」

 「うおっ!!」

 牽制してくれてる間に接近だと思ったら、ボスは咆哮を上げて体が一瞬硬直した。
 これが【覇王気】か。警戒はしてたけど、それでも一瞬は止められるか。もっと注意がいるな。

 「気を付けろよ! 避ける時とかに使われたら致命的になるぞ!」

 俺は注意を促しつつ、【魔纏鎧】を使い接近する。これも中々こなれてきたから身体能力がかなり上がっている。

 「どらぁ!」

 挨拶代わりに翼に手刀を叩き付けるが、思った以上に頑丈。固いなんてレベルじゃないな。

 「はぁ!!」

 「ゴギャラー!!」

 俺に続いて、グレースとアシュラも攻撃するが厚い毛に阻まれている。
 【剛毛鎧】か。良い能力だな。

 「グレースは腐食使っていけ! アシュラは毛が無い所を攻撃!」

 「グルォォオオ!」

 グレースは魔剣の腐食があるし、アシュラは、身体能力でゴリ押しで足とか狙ってくれれば良かったんだけど、ボスはそれを許さない。
 【風塵魔法】を使って、二人を無理矢理遠くに吹き飛ばす。

 「きゃっ!」

 「ゴギャ!?」

 珍しくグレースから可愛らしい声が聞こえたな。
 いつもはキリッとした女騎士みたいた感じだからさ。これがギャップ萌えか。

 「キュンキューン!!」

 「……ぜんぜん当たらないの。むかつくの」

 妲己とテレサは落雷を落としてボスにダメージを与えようとしているが、紙一重でそれを避けていく。でも避けるだけで、中々飛び上がれてないから意味はあるだろう。
 俺達に当たらないようにもしてるしな。

 しかも妲己は本当に牽制程度しか攻撃していない。俺に見せたホーミングする魔法を使えば、何度か当てれるチャンスはあっただろうに。


 「グルォォオオ!」

 ボスは口を大きく開け、ビームを放ってきた。
 【聖光魔法】だと思うが、口から出せるんだな。
 ちょっとカッコいい。俺も目から魔法とか出してみようかな。出来るのか分からないけど。

 牽制の魔法が鬱陶しかったんだろう。
 二人を目掛けた攻撃だったが妲己はテレサを咥えてあっさり回避。
 お返しにとばかりに、超高速の雷を纏った火の槍を20本程射出。
 【風塵魔法】で跳ね返していたが、一本だけ直撃して片方の翼がちょっとだけ焦げた。

 「なんだ、今の魔法。カッコよすぎんか? 俺との模擬戦では使ってなかったし、新しく考えたのかな? お前はどこまで成長する気だ」

 雷を纏わせて魔法のスピードを上げたんだろうな。なんでそうなるのか理屈は知らんけど。

 「俺も負けてられねぇ!」

 このままじゃ、せっかく妲己に勝ったのに、また負けてしまう。
 とりあえず俺は【感覚狂乱】を使った。
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