122 / 184
第四章 迷宮都市ラビリントス
第118話 ウェインの進化
しおりを挟む今日も今日とてノルマの様に魔物狩りを終えて、影の中で各々がやりたい事をやってた頃。
妲己とアシュラは、相変わらずボードゲーム。
アシュラが大きくなったからか、盤も大きく専用の物がウェインの手によって作られている。
妲己もそれに合わせてサイズ変更しており、ただボードゲームしてるだけなのに、とても威圧感があって面白い。
「まっ、盤面みても何がなんだか分からんが」
グラスを片手に煙草をぷかぷかさせながら、二人の勝負を見ていたが、どっちが優勢かも分からん。
妲己が険しい顔をしてるから、多分アシュラが良い感じなんだろうが。
「テレサは相変わらず読書か。熱心だな」
地上に戻った時に、本屋からも一通りパクっている。この文明レベルでは、本はかなり貴重で大打撃だろうが、俺の知ったこっちゃない。
俺も偶に読んだりするんだが、物語は中々面白い。英雄譚が情報収集になったりするんだよな。
恐らく超越者なんだろうと思ってるが、狼系魔王を討伐した時の話なんてのは、かなり楽しめた。
テレサが読んでるのは、魔法の論文的なのが多いんだけどね。
魔法の研究者が、お金目的で出版でもしてるのか、真偽が怪しいのも多々あるけど、テレサはそれを読んで試してみて、確実に自分の物にしている。
俺も効果があったのは教えて貰ったりしているけど、テレサが理解してるのが凄いレベルで、訳の分からん理論があったりするから侮れない。
テレサも気になった事は自分の研究ノート的なのに、しっかりメモしてるから、もし発表でもすればそれだけで一財産を築けるんじゃないだろうか。
「思えばもう、眷属になって2.3年ぐらい経ってんのか? 時間感覚が馬鹿になってるから、正確には分からないけど、成長したもんだな」
そんな事を思いつつ、ウェインを探す。
影の中は、滅茶苦茶広い一部屋みたいな感じだから、遠見を使えばすぐ分かる。
「あー。またグレースに捕まってんのか」
影の薄いウェインだけど、ひたすら生産活動をしている。本人は苦にしてないみたいで、むしろ楽しいらしいけど、もうちょっと交流をしたいと思ってるんだよな。
一番交流が深いのはグレースだろうか。
最初はちょびっと険悪だったけど、今では一番話してると思う。
テレサは結構マイペースだからな。兄妹だけど、なんかドライな感じだ。
「また大人グッズが増えるのか。ウェインもノリノリで協力してるからなぁ」
果たして、用途を分かってて作ってるんだろうか。そうだとしたら、かなり偏った性知識になってる様な気がするな。
ウェインに彼女が出来たりした時が心配だ。
なんか、彼女でさえ嬉々として実験対象にして色々試しそう。もうちょっとしっかり教育すべきかなとも思うけど、それもまた個性。
かなり性癖の拗れた彼女が出来る事を祈るしかあるまいて。
「ん? え? ウェイン!?」
ウェインの将来を心配しながら、遠見で見ていると、光に包まれて倒れた。
グレースが焦りながら、こっちに向かって走って来るが、このタイミングで進化するのか。
「レト様!!」
「見てた見てた。ベッドに運んであげて」
グレースは逆戻りして、ウェインを抱えてベッドに運んでいく。
「しっかし、大人の玩具を作って進化か。果たしてそれで良いのか、ウェインよ」
もっと、なんか、ねえ? 革新的な発明で進化するとか思ってたのに。
なんか、可哀想になるよね。
「何を作ってたの?」
「レト様が仰っていた、遠隔操作出来る道具です。完成した途端に倒れてしまって」
遠隔操作って革新的では?
魔力で良い感じにしたら簡単なのか?
ふーむ。俺は聞いても分からんしな。
まっ、とりあえずは進化を見守ろう。
『名前 ウェイン (眷属)
人種 ハイヒューム・ヴァンパイア・クラフター
Lv 100
【ユニークスキル】
創意工夫
【スキル】
身体強化Lv7
上級調合Lv9
上級錬金Lv9
上級裁縫Lv2
上級木工Lv1
上級細工Lv4
上級料理Lv1
伐採Lv8
上級採取Lv3
上級採掘Lv2
上級付与Lv6
上級石工Lv3
彫金Lv8
建築Lv2
芸術Lv5
解体Lv4
植物学Lv8
鉱物学Lv4 』
「不思議と強くなったって感じはしないな」
「ですね。生産系スキルばかりだからでしょうか?」
それ相応に身体スペックや魔力は上がっている。
いくらウェインが運動音痴でも、そこらの盗賊レベルなら殴れば殺せる。
超越者一歩手前の冒険者とかにはあっさりやられるだろうけど。
「どんな感じ?」
「なんか思った通りに手先が動く感じなんだぞ。もっと繊細な作業が出来るようになったと思うんだぞ」
言うやいなや、早速生産スペースに走って行って生産活動をするウェイン。
「なるほど。マイペースなのはウェインもだな。兄妹揃って仲が良いこって」
「これで、後はレト様とテレサですね」
そうだな。俺もテレサも、もう少し時間がかかる。とっくの昔に飽きてるけど、もう一踏ん張りだ。
「レト様。早速なのですが」
そう言いつつグレースは、ウェインが進化前に完成させた遠隔操作出来る道具を持って、発情した目をしながら俺を見てくる。
「よかろう! 相手になろうじゃないか!」
実は俺も気になってました。
どんな感じで動くのかな?
俺はワクワクしながら、グレースと馬車ホテルへと向かった。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…
アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。
そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる