サイコパス、異世界で蝙蝠に転生す。

Jaja

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第六章 ゆるり旅

第178話 束の間の一時

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 「ただいまーっと。ってなんだこれ?」

 「遊ばれてますね」

 なんとか日が昇る前に全ての参加者から金銭やらを回収出来た。金とか持っててもあんまり使わないんだけど、持ってるだけで幸せになれるから良し。

 で、影の中に戻ってきたんだけど。

 「ゴギャギャ!」

 「………(ぱふぱふ)」

 「や、やめたまえ! 僕が何をしたって言うんだ!」

 エルフのキンブルがアシュラとヴェガに追いかけ回されていた。妲己はそれを暖かく見守っている。
 ウェインは早速実験してるし、テレサとアギャインは本の整理をしている。

 「うーん。自由。一応主人が帰ってきたんだからお出迎えぐらいあってもいいのでは?」

 「レト様がそういう風に指導すればするようになるのでは?」

 めんどくせ。なら良いや。好きにして下さい。
 必要な時に働いてくれたらそれで良いです。

 「それにしてもあれは止めるべきか?」

 「妲己が見守ってるなら心配はいらないでしょう。アシュラとヴェガなりに新人を歓迎してるのでしょう」

 それなら大丈夫か。妲己には全幅の信頼がありますからな。
 キンブルの顔は泣きそうってか、泣いてるけど。
 それが面白くて追いかけてるんだろうか。
 場所が現代ならパワハラで訴えられるな。ここが異世界で良かった。

 「じゃあ今日は休日だな。良く働いたし。寝よ寝よ」

 「うふふ。寝かせませんよ?」

 寝るつってんだ。俺がいつも言いなりになってると思ったら大間違いだぞ? 八時間で返り討ちにしてやらぁ!
 俺は勇み足で馬車ホテルに向かった。




 「あー腰いたっ」

 グレースやべぇよ。日に日に強くなっていく。
 【感覚狂乱】が無かったらとっくの昔にやられ放題だっただろう。
 本当にこの能力を取得してて良かった。最初はこんな使い方する予定じゃ無かったんだけど。

 なんとかグレースを撃退してその後に寝たんだけど。腰が痛いような気がする。
 【再生】持ちだから気のせいだと思うんだけど。

 「おぉ。解放されてるな」

 寝る前に追いかけ回されてたのに、今はアシュラとヴェガと一緒になって妲己を枕にして寝ている。
 なんかうなされてるっぽいけど。可哀想に。何があったのやら。

 「起きてるのは…ウェインとアギャインだけか。珍しくテレサが寝てるな」

 あんなに大量に本を手に入れたから、今頃貪るように本を読んでると思ったけど。
 テレサがよく活動するゾーンに置いてあるベッドで姿勢正しくスヤスヤと眠っている。

 「ムッ。レト様カ」

 「テレサが寝てるのは珍しいな?」

 俺が起きて来たのに気付いたのか、アギャインが読んでいた本から顔を上げて声を掛けてきた。
 この骨爺はずっと本を読んでるな。なんか知的な魔王って感じで羨ましい。
 俺はグレース相手に必死に腰を振ってる魔王なのに。この格差はなんだろうか。

 「寝溜メ ダソウジャ」

 寝溜めとな? あれは人間の構造的に出来ない筈だけども。まぁ、半分魔物だし出来るのかな。
 アギャインに聞いたところによると、こんなに大量の本は流石に一気に読めない。
 でもどうしても一気に読みたい。どうしよう。
 そうだ。睡眠を貯金しよう。ってなったらしい。

 「テレサって偶に馬鹿になるな」

 「オ嬢ノ 知識欲ハ 目ヲ 見張ル モノガアル」

 「アギャインもずっと本を読んでるじゃん」

 「クカカカカ。今ノ 我ニハ 何モカモガ 新鮮ジャカラナ。引キコモッテタ間ニ 人間世界モ 色々ト 変ワッテオル。ソレヲ 学ブノニ 忙シインジャヨ」

 まぁ、確かに何年引きこもってたんだって話だし。竜王の次に古い魔王だろ。途方もない時間だろうに。よくあそこで大人しく出来たな。
 俺ならあそこで発狂しててもおかしくない。流石に暇すぎるだろ。

 「本の整理は終わってるのか」

 「ウム。後ハ 読ムダケダト 意気込ンデオッタワ」

 どこかの家具屋でパクった本棚や、ウェインが暇潰しに作った本棚にずらりと綺麗に並べられた本を眺める。控えめに言って素晴らしい。
 テレサは城が出来たら司書に任命してやろう。

 「って事は、俺があとやるのは…」

 パクってきた大量のお宝の整理。
 影の片隅にかなり雑な積み上げられてるからな。
 普通の人間が見たら盗みたくて仕方ないレベルで積み上がってるけど、我が眷属は全く興味がないらしい。放置されてるのがその証拠だな。

 どんな武器やら魔道具が手に入ったのかも気になる。ウェインが暴走したせいで、ロクに解析もせずに影に放り込んだからな。
 流石のウェインも俺の正確な解析無しでは実験は進められない。

 偶に効果も分からないのに俺の解析を待てなくてバラしてる時もあるけど。今回は有用そうな魔道具ばっかりだったし我慢してくれてるはず。
 多分。きっと。恐らく。めいびー。

 「あ、キンブルにも話を聞かないと。エルフに会ったのは初めてだし、歓迎会とかも開いてやろうかな。既にかなり歓迎されてたっぽいけど」

 「我ハ 元エルフ ジャガ?」

 「今はアンデッドじゃん。耳もないし。骨だし。しかもアギャインのエルフ情報って何年前の話だよ」

 「クカカカカ! 分カラヌ! クカカカカ!」

 アンデッドジョークってか。
 こいつは出会った時は魔王魔王してたのに、仲良くなってみると唯の好々爺なんだよな。
 黙ってたら圧倒的魔王だけど。
 なんなら俺が臣下に見えるけど。
 
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