サイコパス、異世界で蝙蝠に転生す。

Jaja

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第六章 ゆるり旅

第177話 大泥棒

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 「レト様! この扉も欲しいんだぞ!」

 「はいはい」

 一つ目の金銀財宝がたっぷり保管してあった部屋から根こそぎ回収して次の扉へ。
 さっきと同じように鍵を無視してこじ開ける。
 一つめのやつより頑丈っぽかったけど、吸血鬼のスペックを舐めてもらっては困る。
 鈍い音と共に無理矢理開けられた扉の先にあったのは、煌びやかな武器群やら絵画やらの芸術品だった。

 「うーん? これ、美術品としてはいいけど…。実用性は皆無だよね?」

 「使えばすぐに折れそうです」

 扉を影に放り込んで早速解析を使いつつ検分してたんだけど。
 さっきの部屋より狭くてそんなに数もないし、とても使えそうな武器ではない。

 「あれかな? 臣下に下賜する感じの名誉ある武器的な? なんかそんな感じのあったよね?」

 「ああ。なるほど。それなら分かります」

 完全に美術品だな。レト君、あんまり興味ありません。いや、お城に飾ると良い味がでるのかもしれん。検討させてもらおう。

 「レト様。これは貰ってもいいんだぞ?」

 「好きにしたら? 何個かは残しておいてほしいけど」

 「研究させてもらうんだぞ!」

 きゃっほーと武器をどんどん影に放り込んでいく。こんなんでも役に立つのかね。生産の事はよく分かりませぬ。

 「よし。次行くぞ」

 「なんでこんなに扉を分けてるんですかね?」

 「さあ? 防犯とか? 整理の問題とか?」

 何があるって分かりやすくて良いと思うけど。
 俺も宝物庫の部屋を何個かに分けようかな。
 その方が見栄えが良さそう。

 「レト様」

 「分かった分かった」

 扉を開けようとしたら、またウェインにおねだりされた。そんなに扉いります? 一個二個あれば充分じゃねと思うのは俺が馬鹿なせいでしょうか。

 「ビンゴ!! 溜め込んでると思ったぜ!!」

 「うわぁぁぁぁあ!!!」

 あかん。ウェインが発狂した。暴走しないだろうか。

 どうやらこの部屋が最後らしい。
 もう扉もないし【音魔法】にも反応はない。
 で、最後の部屋にあったのは大量の魔道具。
 それにさっきとは違う実用性がありそうな武器。

 「想像以上ですね。まさかこんなに溜め込んでるとは」

 「大国じゃないレベルの国でこれか。大国の宝物庫とかどうなってんだろ。気になってきちゃった」

 いけない気持ちがムクムクと。
 いや、殺さずに盗むぐらいならありでは?
 盗んだ結果、国がどうこうなろうと知った事じゃないし?

 「まっ、その時の気分だな。今はこっちだ」

 「ウェイン! こら! 止まりなさい!」

 「うへへへ。うへへへへ」

 目をギラギラさせて涎を垂らしそうなウェイン。
 グレースが抱っこして無理矢理止めてるけど、それが無かったらこの場で実験しかねない。

 「レト様! 早く全て回収して下さい!」

 「すみません」

 なんか面白くてそれを眺めてたんだけど、グレースに割と真面目に怒られた。
 なんか必死なグレースが新鮮で。

 「レト様! 俺はもう影の中に戻るんだぞ!!」

 「一応、この後は王の私室と執務室に行くんだけど」

 「俺のこの気持ちは誰にも止められないんだぞ!!」

 「そ、そうか」

 今までで一番マッドな目をしてたかもしれない。
 思わず気圧されてしまったので、了承してしまった。

 「ふぅ。もう少し落ち着きを覚えてほしいな」

 「レト様がそれを言いますか」

 グレースから解放されて影に飛び込んでいったウェインを横目に呟いたらグレースにジト目で見られた。ご褒美かな?

 「あの調子のウェインを見てると、影の中でも暴走しかねないぞ。早めに終わらせて戻るか」

 「万が一の時は妲己がなんとかしてくれそうですが」

 あの子はみんなのママだからね。
 ウェインも妲己に叱られたら思い直すかもしれんな。




 「ん? これが王? なんか気絶してるし、もう一人は誰だろう?」

 「宰相とかじゃないですか?」

 「誰でもいいか」

 私室らしき場所に着いたけど、男二人がグラスを片手に気絶して倒れていた。
 【感覚狂乱】に耐えられなかったのかね。軟弱な奴らだ。

 「レト! いきまーす!」

 スパッと二人の男の首を刎ねる。
 別に殺す必要は無かったけど、せっかくだから童貞を卒業させてもらおうかなと。

 「いえーい! 初めての王殺し! 経験値を100獲得しました!」

 「おめでとうございます」

 俺ってば高貴な人間を殺したの初めてでは?
 流れで死んだ奴もいるだろうけど。殺した数ならテレサの方が多いかもな。
 あの子は魔王戦と迷宮都市で放った魔法の戦果が凄まじいからね。

 「よし。気を取り直して、部屋を漁ろう。なんか面白い物はあるのかなっと」

 一人の部屋にしては大きすぎるけど、王の部屋ってのはこんなもんなんだろう。
 泥棒するのも一苦労だ。こっちの気持ちも考えてくれよな。

 「あ、王冠だ。もらってこ」

 「大した物はありませんね。多少の金銭と護身用武器程度です」

 そんなもんなのか。ちょっと期待外れ。
 まぁ、王を殺せたから良しとしよう。

 その後執務室に向かい、無事にオークション参加予定者の名簿を獲得。
 ご丁寧に商人や他国から参加予定のお偉いさんの宿泊先まで書いてある。

 「このまま向かうか。日が昇る前には終わらせたい」

 「かしこまりました」

 この異世界で盗んだ総額の最高額を更新したのでは? そんなん記録取ってるか分からないけどさ。
 俺には泥棒の才能があるぜ。

 「【影支配】があれば子供でも盗めますよ」

 正論なんて聞きたくない。
 
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