181 / 184
第六章 ゆるり旅
第177話 大泥棒
しおりを挟む「レト様! この扉も欲しいんだぞ!」
「はいはい」
一つ目の金銀財宝がたっぷり保管してあった部屋から根こそぎ回収して次の扉へ。
さっきと同じように鍵を無視してこじ開ける。
一つめのやつより頑丈っぽかったけど、吸血鬼のスペックを舐めてもらっては困る。
鈍い音と共に無理矢理開けられた扉の先にあったのは、煌びやかな武器群やら絵画やらの芸術品だった。
「うーん? これ、美術品としてはいいけど…。実用性は皆無だよね?」
「使えばすぐに折れそうです」
扉を影に放り込んで早速解析を使いつつ検分してたんだけど。
さっきの部屋より狭くてそんなに数もないし、とても使えそうな武器ではない。
「あれかな? 臣下に下賜する感じの名誉ある武器的な? なんかそんな感じのあったよね?」
「ああ。なるほど。それなら分かります」
完全に美術品だな。レト君、あんまり興味ありません。いや、お城に飾ると良い味がでるのかもしれん。検討させてもらおう。
「レト様。これは貰ってもいいんだぞ?」
「好きにしたら? 何個かは残しておいてほしいけど」
「研究させてもらうんだぞ!」
きゃっほーと武器をどんどん影に放り込んでいく。こんなんでも役に立つのかね。生産の事はよく分かりませぬ。
「よし。次行くぞ」
「なんでこんなに扉を分けてるんですかね?」
「さあ? 防犯とか? 整理の問題とか?」
何があるって分かりやすくて良いと思うけど。
俺も宝物庫の部屋を何個かに分けようかな。
その方が見栄えが良さそう。
「レト様」
「分かった分かった」
扉を開けようとしたら、またウェインにおねだりされた。そんなに扉いります? 一個二個あれば充分じゃねと思うのは俺が馬鹿なせいでしょうか。
「ビンゴ!! 溜め込んでると思ったぜ!!」
「うわぁぁぁぁあ!!!」
あかん。ウェインが発狂した。暴走しないだろうか。
どうやらこの部屋が最後らしい。
もう扉もないし【音魔法】にも反応はない。
で、最後の部屋にあったのは大量の魔道具。
それにさっきとは違う実用性がありそうな武器。
「想像以上ですね。まさかこんなに溜め込んでるとは」
「大国じゃないレベルの国でこれか。大国の宝物庫とかどうなってんだろ。気になってきちゃった」
いけない気持ちがムクムクと。
いや、殺さずに盗むぐらいならありでは?
盗んだ結果、国がどうこうなろうと知った事じゃないし?
「まっ、その時の気分だな。今はこっちだ」
「ウェイン! こら! 止まりなさい!」
「うへへへ。うへへへへ」
目をギラギラさせて涎を垂らしそうなウェイン。
グレースが抱っこして無理矢理止めてるけど、それが無かったらこの場で実験しかねない。
「レト様! 早く全て回収して下さい!」
「すみません」
なんか面白くてそれを眺めてたんだけど、グレースに割と真面目に怒られた。
なんか必死なグレースが新鮮で。
「レト様! 俺はもう影の中に戻るんだぞ!!」
「一応、この後は王の私室と執務室に行くんだけど」
「俺のこの気持ちは誰にも止められないんだぞ!!」
「そ、そうか」
今までで一番マッドな目をしてたかもしれない。
思わず気圧されてしまったので、了承してしまった。
「ふぅ。もう少し落ち着きを覚えてほしいな」
「レト様がそれを言いますか」
グレースから解放されて影に飛び込んでいったウェインを横目に呟いたらグレースにジト目で見られた。ご褒美かな?
「あの調子のウェインを見てると、影の中でも暴走しかねないぞ。早めに終わらせて戻るか」
「万が一の時は妲己がなんとかしてくれそうですが」
あの子はみんなのママだからね。
ウェインも妲己に叱られたら思い直すかもしれんな。
「ん? これが王? なんか気絶してるし、もう一人は誰だろう?」
「宰相とかじゃないですか?」
「誰でもいいか」
私室らしき場所に着いたけど、男二人がグラスを片手に気絶して倒れていた。
【感覚狂乱】に耐えられなかったのかね。軟弱な奴らだ。
「レト! いきまーす!」
スパッと二人の男の首を刎ねる。
別に殺す必要は無かったけど、せっかくだから童貞を卒業させてもらおうかなと。
「いえーい! 初めての王殺し! 経験値を100獲得しました!」
「おめでとうございます」
俺ってば高貴な人間を殺したの初めてでは?
流れで死んだ奴もいるだろうけど。殺した数ならテレサの方が多いかもな。
あの子は魔王戦と迷宮都市で放った魔法の戦果が凄まじいからね。
「よし。気を取り直して、部屋を漁ろう。なんか面白い物はあるのかなっと」
一人の部屋にしては大きすぎるけど、王の部屋ってのはこんなもんなんだろう。
泥棒するのも一苦労だ。こっちの気持ちも考えてくれよな。
「あ、王冠だ。もらってこ」
「大した物はありませんね。多少の金銭と護身用武器程度です」
そんなもんなのか。ちょっと期待外れ。
まぁ、王を殺せたから良しとしよう。
その後執務室に向かい、無事にオークション参加予定者の名簿を獲得。
ご丁寧に商人や他国から参加予定のお偉いさんの宿泊先まで書いてある。
「このまま向かうか。日が昇る前には終わらせたい」
「かしこまりました」
この異世界で盗んだ総額の最高額を更新したのでは? そんなん記録取ってるか分からないけどさ。
俺には泥棒の才能があるぜ。
「【影支配】があれば子供でも盗めますよ」
正論なんて聞きたくない。
18
あなたにおすすめの小説
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
スライムに転生した俺はユニークスキル【強奪】で全てを奪う
シャルねる
ファンタジー
主人公は気がつくと、目も鼻も口も、体までもが無くなっていた。
当然そのことに気がついた主人公に言葉には言い表せない恐怖と絶望が襲うが、涙すら出ることは無かった。
そうして恐怖と絶望に頭がおかしくなりそうだったが、主人公は感覚的に自分の体に何かが当たったことに気がついた。
その瞬間、謎の声が頭の中に鳴り響いた。
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』
チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。
気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。
「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」
「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」
最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク!
本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった!
「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」
そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく!
神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ!
◆ガチャ転生×最強×スローライフ!
無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!
勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。
克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…
アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。
そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる