サイコパス、異世界で蝙蝠に転生す。

Jaja

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第六章 ゆるり旅

第176話 宝物庫到着

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 図書室の本をテレサが検分してる間に俺は別の事をする。

 「? 何をしてるのですか?」

 「秘密の部屋を探してます」

 【音魔法】のソナーを使って隠し部屋を探す。
 図書室には禁書庫があるもんだと勝手に思ってるんだよね。
 やばい研究の成果とか、やばい魔法とかの概要が書いてある本とかを保管しておく場所があっても良いと思います。

 「ないっぽい。ちょっとショックなんだけど」

 内心でワクワクしてたのに。異世界のお約束だろうがよ。この国は何も分かっちゃいねぇ。滅ぼしてやろうかえ。

 「何もしなくても滅びそうだけどな。これだけ王城が機能不全になってたらやばいだろ」

 「オークションの品が盗まれた補填もしなければなりません。宝物庫からも盗むのであれば、それも困難になるでしょう。最悪内乱からの戦争までありますね」

 「戦争か」

 そわぁっとしたのは仕方ないよね。
 参加したい。だめかな?

 「私達はレト様の判断に従うのみです」

 うむむむむ。参加したい。参加したい。
 戦争なんて始まった時点で、人が大量に死ぬのは確定なんだしさ。
 俺が殺そうが他人が殺そうが一緒じゃね? 
 ちょびっと被害が大きくなるだけじゃん。

 「うんうん。この理論でいこう。もし戦争が始まったら参戦じゃい!」

 「レト様。グレースお姉ちゃん。仕分けを手伝って欲しいの。ここは本屋さんよりも多いから大変なの」

 「ふむん。そういう事なら」

 「ムッ? ナンジャ?」

 今なら誰も入ってこないだろうと言う事でアギャインを追加。人手は多い方がいいからな。
 どうやら本を読んでいたらしく、本を片手にキョトンとしている。こいつ骨のくせに表情が分かりやすいんだよな。

 「本の仕分けを手伝ってもらおうと思って」

 「ナルホドノ。ソウイウ事ナラ 我ニ 任セルガ良イ」

 アギャインは持っていた本を影に投げ入れて、能力を行使する。
 魔法陣から出てきたのは、複数の普通のレブナント。そいつらに矢継ぎ早に指示を出すと、テレサの元に行き指示を仰いで仕分けを開始する。

 「お爺ちゃん。人手はありがたいけど、本を投げるのは良くないの。大事に扱って欲しいの」

 「スマヌ」

 仕分けを始めたレブナントを横目に、テレサがアギャインの元にやってきて『私、怒ってます』とばかりに腕を組み、むすっとした表情で説教をしている。
 骨を縮こまらせてシュンとしているアギャインは滑稽である。

 それから約一時間。
 持っていない本の回収は全て終わり、テレサはご満悦の様子。
 能力で出したアンデッドは、アギャインに雑に処理されてウェインに献上されていた。

 「そういえば、影の中に新入りが入っただろ? 何してんだ?」

 王城で見つけたエルフのキンブルを影に入れたまま放置してるのを忘れていた。
 今は中に魔物組しか居ないんだけど、上手くやってるんだろうか。

 「妲己ト アシュラニ 遊バレテオル。ガチガチニ 震エテオル 男ヲ 妲己ガ 必死ニ アヤソウト シテイタナ」

 流石聖母妲己。
 あいつに任せておけば何もかも上手くいく。
 今はビビられてるかもしれないが、時間をかければあいつの包容力が分かるはずだ。
 なんか面白そうだし、もう少し放置しておこう。

 「デハ 我ト オ嬢ハ 影ノ中ニ 戻ルゾ」

 そう言って、テレサを抱っこしてから影の中に飛び込むアギャイン。
 あいつの爺ムーブも見慣れてきたな。多分皮膚があったら顔がデレデレしてるんじゃなかろうか。
 日本なら事案だぞ?

 「ようやっと宝物庫に向かえるな。ちょっと時間がかかりすぎだし、こっからは巻きで行きたいところだけど」

 「王様やその子供の私室も見てみたいんだぞ! 後は似たような部屋ばっかりだろうし、飛ばしても問題ないと思うんだぞ!」

 「なら急ぎましょうか。レト様の言う通り時間が勿体ないです」



 今日の第二のメインイベント。
 王城の宝物庫。その部屋の前までやって来たんだけど。

 「なんか謁見の間の扉よりも頑丈そうだな」

 「王家の資産を守っているのです。当然でしょう」

 「レト様! この扉もお持ち帰りするんだぞ!」

 ウェイン君はいつだって自分に正直。
 欲望一直線って感じだね。羨ましい。
 俺はちょびっと竜王に枷を嵌められたのにさ。

 「いよいしょー!」

 吸血鬼の肉体を舐めてもらっては困る。
 頑丈そうな扉もなんのその。力でこじ開けて、そのまま影に放り込む。

 「ほわぁ」

 「流石ですね」

 扉を開けたら目に入ったのは、金銀財宝の山々。
 これはアギャインの保管庫にあったのに匹敵するぐらいあるぞ。

 「裏オークションとかを開催してるぐらいだしな。そりゃ資産も豊富ってか」

 「奥にまだ扉がありますね」

 「お宝がこれだけって事もないだろうしな」

 金銀財宝も確かに凄い。
 これだけで人生100周遊び倒すのも余裕だろう。
 でもそれだけ。魔道具とか武器とかが見当たらない。それは更に奥の扉って事だろう。

 「逆に言えば、この金銀財宝よりも価値があるものがあそこに保管されてるって事だよな」

 「それは…。期待が高まりますね」

 あ、そうだ。

 「金銀財宝で思い出した。オークションの参加者のリストとかないのかな? オークションに参加するぐらいだし、資産はいっぱい持ってきてるだろ。ついでに盗んじゃおうぜ」

 「王の私室か執務室にある可能性がありますね」

 むふ。後で忘れずに入手します。
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