未冠の大器のやり直し

Jaja

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第3章 秋までの道程

第64話 復活

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 ふむ。ふむふむふむ。

 「ふっかーつ!!」

 夏休みも中盤に入り、甲子園も盛り上がってきたある日。
 三波豹馬、復活しました。

 合宿が終わって練習も再開し、現在は練習試合もせずに個々の地力アップに努めている。
 試合経験も大事なんだけどね。

 俺はというと、今日からようやく練習復帰。
 まずは、落ちた体力と筋肉を取り戻すところからかな。

 「って事で、俺はジム行ってきますね」

 「話は聞いてるよ。早く戻ってきてね」

 早く練習参加して、ブルペンで投げたりもしたいんだけど、思ったより足腰が弱ってるんだよね。
 約1か月でこれほど衰えるとは。
 日々の練習って大事だよね。
 なので、我が家のジムのバイクでひたすら漕ぐ。
 足腰の筋肉と心肺機能を鍛えるならバイクが1番だと思う。
 これで、なんとか秋のブロック予選には間に合わなくても本戦には出れる様にしたい。
 指先の感覚も取り戻さないといけないし。
 やる事がいっぱいあって大変だけど、ようやく体を動かせる喜びの方が大きい。
 やっぱり俺は野球が好きなんだなと改めて思った。


 甲子園が終わった。
 優勝したのは愛知県の正徳高校。
 名門中の名門だよね。
 三高はベスト8で姿を消した。
 菊池が初回に出会い頭のホームランを打たれてそのままスミ1で終わった。
 霊山にドヤ顔されるのは腹立つけど、負けられるともっと腹立つ。
 折角俺たちを破って甲子園に行ったんだから優勝して欲しかったね。
 来年以降は我が龍宮高校が全てを持っていくが。

 「正徳かー。桐生が勝つと思ったけどなー」

 「桐生は毎年優勝候補だからな。大阪の他の高校が可哀想になるくらい強い」

 「野球しに高校行くみたいなもんだからな。練習もかなりきついらしいし」

 桐生なー。
 きつい練習を否定する訳じゃないけど、俺はちょっと耐えれそうにないな。
 なまじ前世の記憶があるから、無駄なトレーニングしてるようにみえちゃうんだよね。
 今はしてるのかわからないけど、1000本ノックとかグラウンド50周とか、馬鹿なのかとしか思えないし。
 試合中、ボールが飛んでくるのなんてせいぜい10回~20回ぐらいだしね。
 正確に捕球して、正確に送球する。これを徹底すれば守備は自然と上達していくと思う。
 しんどかったらいいってもんじゃない。
 まぁ、それで精神的にタフになったりするから一概に悪いとも言えない。
 難しいところだよね。


 「よっしゃ。甲子園も終わったし、練習再開しよか」

 「うーい」

 来年こそは絶対にあの舞台に立ちたいね。
 俺も早くまともに練習出来る様にリハビリ頑張らねば。
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